オランダ視察報告

視察の目的

 オランダ産球根の掘り取り処理状況および球根情勢の視察

 カサブランカ球根情勢の視察

日程

 129日〜13

 

研修参加者(12名敬称略)

 森山 隆(山喜農園)

 森山 保(山喜農園)

 江口 一衛(津南)

 藤木 正光(津南)

 大口 勝照(津南)

 桑原 一 (津南)

 藤木 隆嗣(津南)

 石川 清和(岩手 西和賀)

 高山 浩亮(新潟 高山農園)

 森山 行雄(ほりのうち)

 森山 武 (ほりのうち)

 滝沢 秀美(ほりのうち)

 

視察先

 1210

花市場  オランダ花市場(案内:オーニングス社)

   輸出業者 オーニングス社

  切花生産 ムールマン社(案内:オーニングス社)

  切花生産 マーレル社(案内:オーニングス社)

  切花生産 ダウン社(案内:オーニングス社・フレッタ & デ ハーン社)

 1211

輸出業者 デ ヨング社

  球根生産 バルガー & デ ブランク社(案内:デ ヨング社)

  球根生産 ロイター社(案内:デ ヨング社)

  球根生産 オリエンタル アンダイク社(案内:デ ヨング社)

  球根生産 エチテルト社(案内:ヤン デ ビット社)

  球根生産 ワールドフラワー社(案内:ザボープラント社)

  輸出業者 ザボープラント社

 1212

輸出業者 バンザンテン社

 

感じたこと、考察変化・目標・人  

9年前オランダを視察し、個人消費を前提としたコストパフォーマンス生産を目指している切花生産、そしてそのためのシステム作りを視察した。

     9年前は

コスト、システム

     今回は

変化・目標・人

曰く

 「生物はその進化の中で生き残ったものは、強いものではなく環境に適応し変化したものであった」

*オランダは変化していたようだ。状況変化に対応するための情報の収集・分析・そして実行できる体制が必要だと感じられた

「今回の“ほりのうち”の販売部会制改革はやはり必要なことだ」と感じられた

 

1、9年前との情勢変化

     オランダ〜EU

     ギルダー〜ユーロへ

     どんどん上がるユーロ

     南半球産ユリ球根の増加

 

2、9年ぶりの第一印象

     円の弱さ(ユーロ高)空港での両替での1万円札の値打ちの無さ

     物価の高騰(ホテル価格ではあるがハンバーグが8ユーロ・ペプシが2ユーロ、そして物価はギルダー時からは2倍?(円換算ならば3倍?)これで何故合う?

     質素倹約がオランダの美徳ではなかったんでしたっけ?・・・自転車の減少、小型車から中型車へ

     ハーグ周辺の土地バブル?

     9年前とは明らかに変化したと感じられた

 

3、             “9年前オランダ切花にはコストという考え方しかなかったのでは?”

今オランダでは切花の品質消費が発生・・・“目標を絞った切花生産販売”

     オランダ花市場でのセリ見学

9年前は・・

生産地側にある花市場として世界中に花を届ける分荷機能しか見えなかった

今回は・・

もの凄いスピードでセリをしながらも“価格形成”もちゃんとされていた

当日のセリ値

 輪菊・高値100円以上

 中卸・価格差が大きい

=やはり「9年前とは違う」と強く感じられた

 

 

<写真>

オランダ花市場視察

     世界中から花を集め、また世界中に発送していく拠点。9年前よりさらにその機能が拡大しているようだ。

     9年前は花の分荷機能としてしか見えなかったが今回はあのスピードで価格形成機能も持っている。

写真):オランダ花市場フラコン.JPG

 

写真):オランダ花市場荷置き場.JPG

 

写真):オランダ花市場説明.JPG

 

 写真):オランダ花市場バラ.JPG

 

 

 

 

4、             何が変わったのか?

     EU統合、ロシアへの商圏拡大により高付加価値ユリ切花マーケットが出現

     ユーロ高、土地バブルにより余剰金が生まれ品質消費の発生

     100%の時計ゼリによる切花の価格形成でも高いものは高く明らかに2極化が進んでいる

     単価の2極化:切花単価の日本よりも高い物・同等の物の出現:ロシア向けシベリア400

     メロースター(古い品種ですが)20円〜200円の価格差

     シンビジウム切花4.25ユーロ(680円・・1ユーロ=160円として)

     今オランダの切花単価 ≠ コストのようだ

 

 <写真>

中卸・販売単価

  LAの方がオリエンタルより高い

  写真):中卸安オリエンタル.JPG

     中卸高LA.JPG

 

 

  チューリップの価格差 大きい

  写真):中卸高チューリップ.JPG

     中卸安チューリップ.JPG

 

 

  今日本で人気のラナンキュラス 価格差大きい

  写真):中卸ラナンキュラス.JPG

 

 

  

シンビジウム 多分日本より高いのでは?

  写真):中卸シンビジウム.JPG

 

 

  産地宣伝?の垂れ幕 オランダでも産地ブランド的な販売が出始めているらしい

  写真):中卸産地宣伝.JPG

 

1210日の切花単価   

20071210日:オランダ花市場ユリ市況

 

 

 

 

(1160円)

品目

品種名

入荷量

平均単価

高値

スカシ

モンテネグロ

39,670

30.1

51.2

スカシ

トレサー

31,810

33.1

57.6

スカシ

バルディソル

14,790

36.6

52.8

スカシ

ナボナ

9,480

25.3

54.4

スカシ

ゴルフ

5,520

33.8

40.0

スカシ

ベルメール

4,760

34.2

51.2

スカシ

ブラックアウト

4,500

29.6

41.6

スカシ

ギロンデ

3,890

33.6

44.8

スカシ

レッドセンセーション

720

81.1

86.4

スカシ

スカシ計

128,050

32.3

86.4

 

 

 

 

 

LA

ブリンディジ

14,600

38.6

65.6

LA

サーモンクラッシック

12,490

51.0

84.8

LA

セラダ

6,090

27.0

48.0

LA

ロイヤルサンセット

3,910

37.3

57.6

LA

カリフォルニア

2,640

85.8

97.6

LA

リトウウェン

2,570

39.7

60.8

LA

ロイヤルファンタジー

2,080

80.6

102.4

LA

ファンギオ

1,380

30.2

41.6

LA

オリジナルラブ

840

144.0

153.6

LA

LA

63,420

47.5

153.6

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(1160円)

品目

品種名

入荷量

平均単価

高値

オリエンタル

リアルト

33,190

69.8

180.8

オリエンタル

メロースター

26,680

67.0

198.4

オリエンタル

ヒルベチア

21,190

73.4

124.8

オリエンタル

シベリア

12,510

128.0

312.0

オリエンタル

ポンペイ

12,320

82.2

184.0

オリエンタル

スターゲーザー

10,760

48.5

57.6

オリエンタル

ソルボンヌ

9,690

77.8

134.4

オリエンタル

Wアルベルティ

8,770

114.9

172.8

オリエンタル

サッポロ

8,010

105.6

195.2

オリエンタル

ティバー

6,330

58.2

102.4

オリエンタル

コロラド

5,820

70.2

124.8

オリエンタル

コブラ

5,060

53.6

120.0

オリエンタル

リオネグロ

3,550

167.2

222.4

オリエンタル

カロラインテンセン

2,540

134.7

182.4

オリエンタル

ロビーナ

2,470

236.5

288.0

オリエンタル

カサブランカ

2,280

71.8

78.4

オリエンタル

ベスプッチ

2,180

157.9

166.4

オリエンタル

ビビアナ

1,950

132.3

161.6

オリエンタル

レジェンド

1,830

166.6

216.0

オリエンタル

メデューサ

1,700

54.6

80.0

オリエンタル

コルソ

1,580

132.5

200.0

オリエンタル

パンドラ

1,560

155.7

177.6

オリエンタル

クリスタルブランカ

1,480

202.7

248.0

オリエンタル

マレロ

1,160

40.0

40.0

オリエンタル

シェルブルグ

1,140

227.4

272.0

オリエンタル

アクティバ

1,040

59.2

59.2

オリエンタル

サンテンダー

1,020

243.0

256.0

オリエンタル

チリ

920

171.8

248.0

オリエンタル

ノバセンブラ

860

268.2

280.0

オリエンタル

マザーズチョイス

780

164.5

168.0

オリエンタル

グルーワイン

700

211.2

256.0

オリエンタル

リオブランコ

660

278.1

360.0

オリエンタル

スマトラ

560

243.4

296.0

オリエンタル

セラノ

480

158.7

176.0

オリエンタル

マニサ

400

259.5

272.0

オリエンタル

フロリアン

360

222.1

243.2

オリエンタル

シーラ

220

207.0

225.6

オリエンタル

モンテズマ

160

229.0

240.0

オリエンタル

レークウィニペグ

40

193.6

193.6

オリエンタル

オリエンタル計

244,340

89.1

360.0

 

 

5、切花生産の2分化

A     品質型生産のための投資拡大(屋根オープンハウス、移動ハウス)

B     品質型生産のための経費付加(高EC栽培・電照・粗植・敷き藁・培土の1回使い・ブランドシ            

ール・ブランドフラワーキャップ)

C     ブランド販売のための戦略(オリジナル品種・雪美人販売法・荒川販売法)

D     コストパフォーマンス販売のための生産体制投資(今回は視察無しだが凄いらしい)

E     コストパフォーマンス販売のための海外生産(アフリカでのバラ10億本生産)

 

 

 

6、日本におけるカサブランカの価値は、生産・販売・流通により値打ちを作り上げ維持されている?

オランダにおいてのカサブランカ切花も以前は500円・600円していたそうであるが、現在は高品質側にも量産型にも向かない、要らない品種になってしまった(下向き・柔らかい・蜜植に向かない)

切花農家ムールマン氏曰く「日本はカサブランカの価値を保ち続けている事は大したものだ」と感していた。

 

 視察先切花生産農家3社の販売戦略

<写真>

 

@    ムールマン氏

屋根が完全に開く腰高のハウス、上下可動式の温湯パイプ、10℃・3週間のルーティングにより、葉焼け品種を作りこなしオリジナリティを発揮している。またオリジナル品種(コロラド等)販売も展開しブランド販売を目指す。

     写真):・ムールマン高ハウス.JPG

        ・ムールマン上下温湯パイプ.JPG

 

球根養成も行いサイズの小さい球根は古いハウス(親父さんが建てた)に植え、こちらはスーパー向けに分けて販売

     写真):・ムールマン低いハウス.JPG

 

ブランド販売を目指すものは出荷箱にブランド品種シールを貼ると共にブランド名入りのフラワーキャップを使用する

     写真):・ムールマンブランドラップ.JPG

ムールマン無地ラップ.JPG

ムールマン箱ラベル.JPG

 

植込みライン:切終わった箱の廃床を空ける事と植込みを同時に行うライン。予冷庫のルーティングと合わせ他人の物も請負施設の償却を図る

     写真):・ムールマン植込みライン.JPG

 

A    マーレル氏

とにかく葉色が濃い。EC2.2という大変高い肥料濃度で栽培していた(ちなみにムールマン氏はEC0.4でスタートと言っていた)鉄材をうまく使っているらしい。高ECで鉄材も使っても葉に障害を出さないのが技術だと言っていた。

写真):マーレル切花.JPG

 

マーレル氏も個人ブランドのフラワーキャップを使い、そのブランドでは3F以下は出荷しないと言っていた。またブランド販売のためのオリジナル品種戦略を組んでいた。品種選択についても高EC栽培に向く(硬い、根が強い)品種、を選んでいた

     写真):マーレル箱置きマシン.JPG

 

高品質向け新設ハウス:土地まで含めると300万ユーロ(5億円以上)の投資。穴の開いたジーンズをはき「農民はいつも貧乏だ」と笑っていた。

球根養成また球根養成委託も行っており、小さいサイズの球根は春露地で栽培し別販売をしているらしい。

     写真):マーレル箱設置直後.JPG

 

Bダウン氏

既に薄暗く、寒い中、合羽を着込み切下養成球根を掘っていた。切下球根を使った高品質とは何だと思ったが、フレッタ&デ・ハーンの新品種をかなりの割合で作っているらしい。(だからリアン・フレッタ氏が案内してくれたらしい)また移動式ハウスを用い露地栽培に近い硬くボリュームのある切花を生産している。(オランダでは日本ほどバイラス蔓延のリスクは少ないらしい)

     写真):ダウン切下堀.JPG

 

倒伏防止用のネットの無いシベリア(良い出来です)

箱植えではなく地植え。日本並みの栽植密度、相当に明るい電照。ロシア向け高値(400円)シベリア

     写真):ダウンシベリア.JPG

         ダウンシベリア根元.JPG

 

まるで日本のハウスを見ている様なサンテンダー

1本平均単価2.5ユーロを目指しているとの事。(実際はそこまではいかないらしいが)新品種戦略と移動式ハウスでの高値販売を目指している。

切下を利用して経営リスクの回避

     写真):ダウンサンテンダー.JPG

       ダウンサンテンダー2.JPG

 

4人兄弟でユリ40万本、チューリップ80万本経営

オランダでは極小規模の経営だと思われる。オランダでこのような経営をやっているということは驚きだった。

     写真):ダウン色物.JPG

 

7、明確な目標を持った生産販売が重要性

“花市場・切花生産者を視察した感想のまとめ”

(ア)  9年前視察したヨープ・ファン・フェーン、バッカーは凄まじいコストパフォーマンス経営を目指していると感じられた。また当時品質型経営ということで見せていただいたパンク・ファン・レーウェンは今思えば今回見せていただいた切花農家に比べれば目標が明確でなかったように感じられる

(イ)  今回の視察は明確に、存在する(もしくは存在するであろう)品質型の消費マーケットを目指し生産販売を行っていた、視察先の各農家が明らかに違うアプローチをしていた事が大変興味深かった

(ウ)  日本のマーケットは明らかに品質型の消費が主であるのであるから、より目標を明確にした生産販売が重要と感じられた

 

8、             変化に対応するための情報の収集・分析の重要性

  “なぜ2007年オランダ球根は暴落したのか?”

「ようするに俺たちはバカだった。でもそれが農家だろ」(ロイター氏)

(エ)  南半球産が増加しているとともに、世界的なオリエンタル球根の減少傾向(伸び悩み傾向)にも係らず、オリエンタル球根の栽培面積を増加させてしまった事による生産過剰(25%過剰?)が最大の原因

(オ)  中国の球根マーケットの読み違え

(カ)  生産計画(品種選択、生産数量)は3年前から始まる・母球確保は球根農家の判断

=生産農家の情勢分析の甘さ

(キ)  生産規模の拡大による採算分岐生産量の増加

(ク)  輸出業者とのコミュニケーション不足

(ケ)  生産調整をするシステムが無い(今後も無い)

 

9、ようするに“人=信用・信頼”なのだ

“オランダでの球根生産事情を理解しなければ良質な球根確保は難しい”

・球根生産の流れ(これが解らなければ始まらない)

@       球根農家は作付け計画をBKDに提出・公開する(12月頃か?)

A       球根輸出業者は@の作付け計画を元に売買契約(先物)を、主にCNBを通して結ぶ。契約は@以降随時行われていく

B       球根農家は秋、品目・品種・売買契約を元に掘り取りを開始する

C       球根農家は掘り取った球根を粗洗浄+消毒(消毒の義務は本当は無い)する

D       球根農家は洗浄・消毒後の球根をサイズ・芽数・傷み等で選別し、球数を数えサイズごとに決められた球数をパッキン無しでコンテナに詰める選別、計数は球根農家の仕事

E       球根農家は輸出業者と契約した球数Dを輸出業者に納品する。(契約球数以上の球数の取り扱いは両者協議の上決定)

F       輸出業者は球根農家から納品された球根を、抽出検査で品質検査(サイズ・球数・芽数・傷み等)を行う

G       輸出業者はFで不合格の物は再選別の指示、もしくは返品する

H       輸出業者はFで合格したものをさらに洗浄(日本・アメリカ向け)+消毒しピートモスでパッキングしラベルを貼り輸出用球根として仕上げる

I       輸出業者はHで植物防疫所の検査を受ける

*球根は掘り取り後、輸出業者に納品されるまで1週間、輸出業者でパッキングされるまで1週間程度かかる(都合によりこの期間が長くかかると品質低下する場合が考えられる)

 

 

(ア) 信頼できる“人”=球根農家を探し出す

優良ロットのチェックの重要性

(コ)  球根の選別制度・計数の精度は球根農家にかかっている

(サ)  ウィルス罹病のリスク(母球管理・養成元球管理)は球根農家の責任・判断によっている

(シ)  掘り取り後の球根のノーパッキングによる品質低下リスクは球根農家の輸出業者の処理能力にかかっている

(ス)  球根の選別精度は球根農家にかかっている

(セ)  球根選別調整には人手を多く使っている(ポーランド人95%、パート代金=時給13ユーロ)人件費は高い。仕事の精度を上げるためには毎年概ね同じ人を雇わなければ難しい=人件費削減は難しい

(ソ)  球根の選別システムは各球根農家が独自(部分的には共通)のシステムを組んでいるので、処理効率には大きな差があると思われる(効率の差は品質低下リスク)

*輸出業者の行う品質検査は抽出検査で不完全なので、所詮輸出業者は球根農家との信頼関係で球根を仕入れる

(イ)  信頼できる輸出業者を選択するの重要性

・輸出業者は球根生産農家から納品された球根を品質(数量・サイズ・2芽混入・根傷み・リンペン腐敗)などを一定の割合で抽出検査し基準を満たせば、再洗浄・消毒・パッキングを行い販売用球根に仕上げる。数量・サイズ・2芽混入率が不適格の場合は再選別返品。腐敗等の問題の場合は完全返品。

=再選別指示品はノーパッキンによる品質低下リスクが拡大する

=完全返品ロットはダンピングマーケットへの流出する可能性あり

(タ)  輸出業者の行う品質検査は不完全(抽出検査であるため)、よって輸出業者の球根品質は取引する生産農家の質。すなわち輸出業者がどの球根農家を得意取引先にしているかが重要である。

(チ)  球根農家から納品された球根は輸出業者の処理能力により品質が劣化する可能性が高い

(ツ)  パッキング人件費(直接経費は別)は45セント/1cs(バンザンテン談)。機械化なのか人間の目なのか、高性能機械なのか低性能機械×台数なのか?

(テ)  輸出業者のパッキング処理機械能力

オーニングス  24秒/箱 × 6

バンザンテン  35秒/箱 × 4台(かなり旧式)

デ・ヨング    8秒/箱 × 1台(故障多し)

ザボー      8秒/箱 × 1台(故障多し)

*近年掘り取り後処理に係るクレームが最も少ないのはバンザンテンらしい(山喜談)

「機械より人間の目だろ」(ハンス・ダーマン氏)

 

(ウ) 球根情勢に合わせた仕入れ時期の決定の重要性

売れ残り球根もしくは契約以上の球数はノーパッキングで保存されるので、品質低下リスクが大きい(球根生産農家はパッキングしない)

 

<写真>

返品カードが貼られたロット(オーニング)

写真):PO返品ロット.JPG

 

オリエンタル アンダイク社

写真):アンダイク.JPG

 

洗浄+消毒した球根を送風口(正面穴)につけ水分を飛ばしている

写真):アンダイク送風.JPG

 

大型選別ラインだが選別するのは人間の目

写真):アンダイク選別.JPG

 

球根消毒:本来球根農家には球根消毒の義務は無いが近年クレーム(リンペン腐敗)低減のため行われていることが多い

写真):アンダイク球消毒.JPG

 

これから掘る畑に空の掘り取り箱を運ぶ

写真):アンダイク空箱運搬.JPG

 

ポーランドでむかれたリンペン:リンペンむき機もあるらしいが、リンペンに傷が付くので最近はポーランドに委託も始めているらしい

写真):アンダイクLAリンペン.JPG

 

リンペンにパーライトを混ぜリンペン繁殖を行う

写真):アンダイクリンペン繁殖.JPG

 

掘り取られ粗洗浄された球根(ソルボンヌ)これから選別されます

写真):バルガー選別前ソルボンヌ.JPG

 

オーニング・パッキングライン

写真):POパッキングライン.JPG

   POパッキングライン2.JPG

   POパッキングライン3.JPG

   POパッキングライン4.JPG

   POパッキングライン5.JPG

 

バンザンテン・リンペンばらまき据置球根(シーラ)

     写真):VZシーラリンペン据置球.JPG

        VZリンペン据置球2.JPG

        VZ球根糖度計測.JPG

 

10、       カサブランカ球根情勢

カサブランカは実は球根の作況が安定しない品種らしい(ワールドフラワー談)。よってより大きなロットで生産しなければ目的とするサイズが収穫できない品種。そのためさまざまなサイズが売れてこそ儲かる品種。今の球根販売情勢では球根養成の継続が難しい

 ・情勢

@     オランダでのカサブランカ切花は価格の下落(カロラインテンセンより安い)のため高品質側にも量産型にも向かない品種となっており球根需要がない(柔らかい・下向き・輪付きが悪い等)

A     日本におけるカサブランカ需要は養成球根(10/1214/16)と切花用大球(20/+以上)しか需要しない(養成球根:10/12は亀屋12/1414/16は津南を筆頭にした新潟県が主に使用)

B     日本の需要しない16/1818/20は今まで台湾・メキシコに売れていたが、現在はカサブランカから黄色系OTに変わっているため需要が無くなった

 

*カサブランカは日本にとってオリエンタルユリの価格リーダー。守るべき存在なのでは?

 

 

11、       オランダユリ経営の戦略

@     品目複合化によるリスクの軽減(ユリだけでない複数の球根養成経営)

A     受託複合によるリスクの軽減(ユリ球根単作経営であるが栽培受託を入れ経営を安定)

B     経営品目複合によるリスクの軽減(ユリ切花とユリ球根、シャクヤクとユリ球根)

C     球根栽培手法による効率向上(養成年数の短縮=粗い密度、1作球を母球に使う)

D     球根栽培手法によるコストダウン(リンペンばら撒き、据え置き=2n)

E     新品種更新+切下切花によるコストの軽減(ウィルス汚染の少ない新品種導入、粗植、移動ハウス)

F     高品質切花による付加価値の増大とそのための投資(オープンハウス、温湯ユリ側暖房

G     栽培法に合わせた品種選択(茎の硬さ、輪付き、根の強さ等)

H     オリジナル品種確保によるブランド化とそれによる付加価値の増大とそのための投資

I     販売先に合わせた選別によるブランド力維持・増進

 

 

12、       経営判断の重要性

事例)07産球根オランダ球根農家の販売の場合

@     完全なる過剰生産と思われ、07年産球根の先物相場は相当きびしい状況が予測された

A     春に開始された先物取引では球根農家に対し採算ギリギリのオファー

B     明らかに過剰生産であると判断してAでほぼ売り切った球根農家はギリギリ採算確保

C     Aの時点で売る事を決断しなかった農家の球根はどんなに品質が良くても現在買い手がついていない。球根の掘り取り調整作業は行っている場合が多い(赤字の累積)

*栽培受託を多くしている農家はリスク分散されている

 

 

13、       まとめ

・今まではどうか?

   今までは産地の販売目標は無かった。これからは販売目標は必要だ

どうなりたいのか?

目標はどこか?

・チームという概念が必要?

   自分一人でやれることはごく僅かである。例え個選でも目標実現のためには生産と販売の機能を利用しなければ何も出来ない

  *オランダは情勢に合わせ変化を続けている

 

[POパッキングライン.JPG]
POパッキングライン.JPG
[POパッキングライン2.JPG]
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オランダ花市場シャクヤク.JPG
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オランダ花市場バラ.JPG
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オランダ花市場フラコン.JPG
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オランダ花市場荷置き場.JPG
[オランダ花市場説明.JPG]
オランダ花市場説明.JPG
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ダウンサンテンダー.JPG
[ダウンサンテンダー2.JPG]
ダウンサンテンダー2.JPG
[ダウンシベリア.JPG]
ダウンシベリア.JPG
[ダウンシベリア根元.JPG]
ダウンシベリア根元.JPG
[ダウン色物.JPG]
ダウン色物.JPG
[ダウン切下堀.JPG]
ダウン切下堀.JPG
[バルガー.JPG]
バルガー.JPG
[バルガー2.JPG]
バルガー2.JPG
[バルガー3.JPG]
バルガー3.JPG
[バルガー球傷み防止.JPG]
バルガー球傷み防止.JPG
[バルガー選別前ソルボンヌ.JPG]
バルガー選別前ソルボンヌ.JPG
[マーレル切花.JPG]
マーレル切花.JPG
[マーレル箱設置直後.JPG]
マーレル箱設置直後.JPG
[マーレル箱置きマシン.JPG]
マーレル箱置きマシン.JPG
[ムールマンブランドラップ.JPG]
ムールマンブランドラップ.JPG
[ムールマン結束ライン.JPG]
ムールマン結束ライン.JPG
[ムールマン高ハウス.JPG]
ムールマン高ハウス.JPG
[ムールマン上下温湯パイプ.JPG]
ムールマン上下温湯パイプ.JPG
[ムールマン植込みライン.JPG]
ムールマン植込みライン.JPG
[ムールマン低いハウス.JPG]
ムールマン低いハウス.JPG
[ムールマン箱ラベル.JPG]
ムールマン箱ラベル.JPG
[ムールマン無地ラップ.JPG]
ムールマン無地ラップ.JPG
[ロイター球根大箱.JPG]
ロイター球根大箱.JPG
[ロイター送風.JPG]
ロイター送風.JPG
[中卸シンビジウム.JPG]
中卸シンビジウム.JPG
[中卸ラナンキュラス.JPG]
中卸ラナンキュラス.JPG
[中卸安オリエンタル.JPG]
中卸安オリエンタル.JPG
[中卸安チューリップ.JPG]
中卸安チューリップ.JPG
[中卸高LA.JPG]
中卸高LA.JPG
[中卸高チューリップ.JPG]
中卸高チューリップ.JPG
[中卸産地宣伝.JPG]
中卸産地宣伝.JPG
[中卸手数料.JPG]
中卸手数料.JPG