オランダ視察報告
視察の目的
オランダ産球根の掘り取り処理状況および球根情勢の視察
カサブランカ球根情勢の視察
日程
12月9日〜13日
研修参加者(12名敬称略)
森山 保(山喜農園)
江口 一衛(津南)
藤木 正光(津南)
大口 勝照(津南)
桑原 一 (津南)
藤木 隆嗣(津南)
石川 清和(岩手 西和賀)
高山 浩亮(新潟 高山農園)
森山 行雄(ほりのうち)
森山 武 (ほりのうち)
滝沢 秀美(ほりのうち)
視察先
12月10日
花市場 オランダ花市場(案内:オーニングス社)
輸出業者 オーニングス社
切花生産 ムールマン社(案内:オーニングス社)
切花生産 マーレル社(案内:オーニングス社)
切花生産 ダウン社(案内:オーニングス社・フレッタ & デ ハーン社)
12月11日
輸出業者 デ ヨング社
球根生産 バルガー & デ ブランク社(案内:デ ヨング社)
球根生産 ロイター社(案内:デ ヨング社)
球根生産 オリエンタル アンダイク社(案内:デ ヨング社)
球根生産 エチテルト社(案内:ヤン デ ビット社)
球根生産 ワールドフラワー社(案内:ザボープラント社)
輸出業者 ザボープラント社
12月12日
輸出業者 バンザンテン社
感じたこと、考察変化・目標・人
9年前オランダを視察し、個人消費を前提としたコストパフォーマンス生産を目指している切花生産、そしてそのためのシステム作りを視察した。
○ 9年前は
コスト、システム
○ 今回は
変化・目標・人
曰く
「生物はその進化の中で生き残ったものは、強いものではなく環境に適応し変化したものであった」
*オランダは変化していたようだ。状況変化に対応するための情報の収集・分析・そして実行できる体制が必要だと感じられた
「今回の“ほりのうち”の販売部会制改革はやはり必要なことだ」と感じられた
1、9年前との情勢変化
・ オランダ〜EUへ
・ ギルダー〜ユーロへ
・ どんどん上がるユーロ
・ 南半球産ユリ球根の増加
2、9年ぶりの第一印象
・ 円の弱さ(ユーロ高)空港での両替での1万円札の値打ちの無さ
・ 物価の高騰(ホテル価格ではあるがハンバーグが8ユーロ・ペプシが2ユーロ、そして物価はギルダー時からは2倍?(円換算ならば3倍?)これで何故合う?
・ 質素倹約がオランダの美徳ではなかったんでしたっけ?・・・自転車の減少、小型車から中型車へ
・ ハーグ周辺の土地バブル?
・ 9年前とは明らかに変化したと感じられた
3、
“9年前オランダ切花にはコストという考え方しかなかったのでは?”
今オランダでは切花の品質消費が発生・・・“目標を絞った切花生産販売”
4、
何が変わったのか?
・ EU統合、ロシアへの商圏拡大により高付加価値ユリ切花マーケットが出現
・ ユーロ高、土地バブルにより余剰金が生まれ品質消費の発生
・ 100%の時計ゼリによる切花の価格形成でも高いものは高く明らかに2極化が進んでいる
・
単価の2極化:切花単価の日本よりも高い物・同等の物の出現:ロシア向けシベリア400円
・
メロースター(古い品種ですが)20円〜200円の価格差
・
シンビジウム切花4.25ユーロ(680円・・1ユーロ=160円として)
* 今オランダの切花単価 ≠ コストのようだ
<写真>
中卸・販売単価
LAの方がオリエンタルより高い
写真):中卸安オリエンタル.JPG
中卸高LA.JPG
チューリップの価格差 大きい
写真):中卸高チューリップ.JPG
中卸安チューリップ.JPG
今日本で人気のラナンキュラス 価格差大きい
写真):中卸ラナンキュラス.JPG
シンビジウム 多分日本より高いのでは?
写真):中卸シンビジウム.JPG
産地宣伝?の垂れ幕 オランダでも産地ブランド的な販売が出始めているらしい
写真):中卸産地宣伝.JPG
12月10日の切花単価
2007年12月10日:オランダ花市場ユリ市況 |
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|
円(1€=160円) |
|
品目 |
品種名 |
入荷量 |
平均単価 |
高値 |
スカシ |
モンテネグロ |
39,670 |
30.1 |
51.2 |
スカシ |
トレサー |
31,810 |
33.1 |
57.6 |
スカシ |
バルディソル |
14,790 |
36.6 |
52.8 |
スカシ |
ナボナ |
9,480 |
25.3 |
54.4 |
スカシ |
ゴルフ |
5,520 |
33.8 |
40.0 |
スカシ |
ベルメール |
4,760 |
34.2 |
51.2 |
スカシ |
ブラックアウト |
4,500 |
29.6 |
41.6 |
スカシ |
ギロンデ |
3,890 |
33.6 |
44.8 |
スカシ |
レッドセンセーション |
720 |
81.1 |
86.4 |
スカシ |
スカシ計 |
128,050 |
32.3 |
86.4 |
|
|
|
|
|
LA |
ブリンディジ |
14,600 |
38.6 |
65.6 |
LA |
サーモンクラッシック |
12,490 |
51.0 |
84.8 |
LA |
セラダ |
6,090 |
27.0 |
48.0 |
LA |
ロイヤルサンセット |
3,910 |
37.3 |
57.6 |
LA |
カリフォルニア |
2,640 |
85.8 |
97.6 |
LA |
リトウウェン |
2,570 |
39.7 |
60.8 |
LA |
ロイヤルファンタジー |
2,080 |
80.6 |
102.4 |
LA |
ファンギオ |
1,380 |
30.2 |
41.6 |
LA |
オリジナルラブ |
840 |
144.0 |
153.6 |
LA |
LA計 |
63,420 |
47.5 |
153.6 |
|
|
|
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|
|
|
|
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|
円(1€=160円) |
|
品目 |
品種名 |
入荷量 |
平均単価 |
高値 |
オリエンタル |
リアルト |
33,190 |
69.8 |
180.8 |
オリエンタル |
メロースター |
26,680 |
67.0 |
198.4 |
オリエンタル |
ヒルベチア |
21,190 |
73.4 |
124.8 |
オリエンタル |
シベリア |
12,510 |
128.0 |
312.0 |
オリエンタル |
ポンペイ |
12,320 |
82.2 |
184.0 |
オリエンタル |
スターゲーザー |
10,760 |
48.5 |
57.6 |
オリエンタル |
ソルボンヌ |
9,690 |
77.8 |
134.4 |
オリエンタル |
Wアルベルティ |
8,770 |
114.9 |
172.8 |
オリエンタル |
サッポロ |
8,010 |
105.6 |
195.2 |
オリエンタル |
ティバー |
6,330 |
58.2 |
102.4 |
オリエンタル |
コロラド |
5,820 |
70.2 |
124.8 |
オリエンタル |
コブラ |
5,060 |
53.6 |
120.0 |
オリエンタル |
リオネグロ |
3,550 |
167.2 |
222.4 |
オリエンタル |
カロラインテンセン |
2,540 |
134.7 |
182.4 |
オリエンタル |
ロビーナ |
2,470 |
236.5 |
288.0 |
オリエンタル |
カサブランカ |
2,280 |
71.8 |
78.4 |
オリエンタル |
ベスプッチ |
2,180 |
157.9 |
166.4 |
オリエンタル |
ビビアナ |
1,950 |
132.3 |
161.6 |
オリエンタル |
レジェンド |
1,830 |
166.6 |
216.0 |
オリエンタル |
メデューサ |
1,700 |
54.6 |
80.0 |
オリエンタル |
コルソ |
1,580 |
132.5 |
200.0 |
オリエンタル |
パンドラ |
1,560 |
155.7 |
177.6 |
オリエンタル |
クリスタルブランカ |
1,480 |
202.7 |
248.0 |
オリエンタル |
マレロ |
1,160 |
40.0 |
40.0 |
オリエンタル |
シェルブルグ |
1,140 |
227.4 |
272.0 |
オリエンタル |
アクティバ |
1,040 |
59.2 |
59.2 |
オリエンタル |
サンテンダー |
1,020 |
243.0 |
256.0 |
オリエンタル |
チリ |
920 |
171.8 |
248.0 |
オリエンタル |
ノバセンブラ |
860 |
268.2 |
280.0 |
オリエンタル |
マザーズチョイス |
780 |
164.5 |
168.0 |
オリエンタル |
グルーワイン |
700 |
211.2 |
256.0 |
オリエンタル |
リオブランコ |
660 |
278.1 |
360.0 |
オリエンタル |
スマトラ |
560 |
243.4 |
296.0 |
オリエンタル |
セラノ |
480 |
158.7 |
176.0 |
オリエンタル |
マニサ |
400 |
259.5 |
272.0 |
オリエンタル |
フロリアン |
360 |
222.1 |
243.2 |
オリエンタル |
シーラ |
220 |
207.0 |
225.6 |
オリエンタル |
モンテズマ |
160 |
229.0 |
240.0 |
オリエンタル |
レークウィニペグ |
40 |
193.6 |
193.6 |
オリエンタル |
オリエンタル計 |
244,340 |
89.1 |
360.0 |
5、切花生産の2分化
A 品質型生産のための投資拡大(屋根オープンハウス、移動ハウス)
B 品質型生産のための経費付加(高EC栽培・電照・粗植・敷き藁・培土の1回使い・ブランドシ
ール・ブランドフラワーキャップ)
C ブランド販売のための戦略(オリジナル品種・雪美人販売法・荒川販売法)
D コストパフォーマンス販売のための生産体制投資(今回は視察無しだが凄いらしい)
E コストパフォーマンス販売のための海外生産(アフリカでのバラ10億本生産)
6、日本におけるカサブランカの価値は、生産・販売・流通により値打ちを作り上げ維持されている?
オランダにおいてのカサブランカ切花も以前は500円・600円していたそうであるが、現在は高品質側にも量産型にも向かない、要らない品種になってしまった(下向き・柔らかい・蜜植に向かない)
切花農家ムールマン氏曰く「日本はカサブランカの価値を保ち続けている事は大したものだ」と感していた。
視察先切花生産農家3社の販売戦略
<写真>
@
ムールマン氏
屋根が完全に開く腰高のハウス、上下可動式の温湯パイプ、10℃・3週間のルーティングにより、葉焼け品種を作りこなしオリジナリティを発揮している。またオリジナル品種(コロラド等)販売も展開しブランド販売を目指す。
写真):・ムールマン高ハウス.JPG
・ムールマン上下温湯パイプ.JPG
球根養成も行いサイズの小さい球根は古いハウス(親父さんが建てた)に植え、こちらはスーパー向けに分けて販売
写真):・ムールマン低いハウス.JPG
ブランド販売を目指すものは出荷箱にブランド品種シールを貼ると共にブランド名入りのフラワーキャップを使用する
写真):・ムールマンブランドラップ.JPG
ムールマン無地ラップ.JPG
ムールマン箱ラベル.JPG
植込みライン:切終わった箱の廃床を空ける事と植込みを同時に行うライン。予冷庫のルーティングと合わせ他人の物も請負施設の償却を図る
写真):・ムールマン植込みライン.JPG
A
マーレル氏
とにかく葉色が濃い。ECは2.2という大変高い肥料濃度で栽培していた(ちなみにムールマン氏はEC0.4でスタートと言っていた)鉄材をうまく使っているらしい。高ECで鉄材も使っても葉に障害を出さないのが技術だと言っていた。
写真):マーレル切花.JPG
マーレル氏も個人ブランドのフラワーキャップを使い、そのブランドでは3F以下は出荷しないと言っていた。またブランド販売のためのオリジナル品種戦略を組んでいた。品種選択についても高EC栽培に向く(硬い、根が強い)品種、を選んでいた
写真):マーレル箱置きマシン.JPG
高品質向け新設ハウス:土地まで含めると300万ユーロ(5億円以上)の投資。穴の開いたジーンズをはき「農民はいつも貧乏だ」と笑っていた。
球根養成また球根養成委託も行っており、小さいサイズの球根は春露地で栽培し別販売をしているらしい。
写真):マーレル箱設置直後.JPG
Bダウン氏
既に薄暗く、寒い中、合羽を着込み切下養成球根を掘っていた。切下球根を使った高品質とは何だと思ったが、フレッタ&デ・ハーンの新品種をかなりの割合で作っているらしい。(だからリアン・フレッタ氏が案内してくれたらしい)また移動式ハウスを用い露地栽培に近い硬くボリュームのある切花を生産している。(オランダでは日本ほどバイラス蔓延のリスクは少ないらしい)
写真):ダウン切下堀.JPG
倒伏防止用のネットの無いシベリア(良い出来です)
箱植えではなく地植え。日本並みの栽植密度、相当に明るい電照。ロシア向け高値(400円)シベリア
写真):ダウンシベリア.JPG
ダウンシベリア根元.JPG
まるで日本のハウスを見ている様なサンテンダー
1本平均単価2.5ユーロを目指しているとの事。(実際はそこまではいかないらしいが)新品種戦略と移動式ハウスでの高値販売を目指している。
切下を利用して経営リスクの回避
写真):ダウンサンテンダー.JPG
ダウンサンテンダー2.JPG
4人兄弟でユリ40万本、チューリップ80万本経営
オランダでは極小規模の経営だと思われる。オランダでこのような経営をやっているということは驚きだった。
写真):ダウン色物.JPG
7、明確な目標を持った生産販売が重要性
“花市場・切花生産者を視察した感想のまとめ”
(ア) 9年前視察したヨープ・ファン・フェーン、バッカーは凄まじいコストパフォーマンス経営を目指していると感じられた。また当時品質型経営ということで見せていただいたパンク・ファン・レーウェンは今思えば今回見せていただいた切花農家に比べれば目標が明確でなかったように感じられる
(イ) 今回の視察は明確に、存在する(もしくは存在するであろう)品質型の消費マーケットを目指し生産販売を行っていた、視察先の各農家が明らかに違うアプローチをしていた事が大変興味深かった
(ウ) 日本のマーケットは明らかに品質型の消費が主であるのであるから、より目標を明確にした生産販売が重要と感じられた
8、
変化に対応するための情報の収集・分析の重要性
“なぜ2007年オランダ球根は暴落したのか?”
「ようするに俺たちはバカだった。でもそれが農家だろ」(ロイター氏)
(エ) 南半球産が増加しているとともに、世界的なオリエンタル球根の減少傾向(伸び悩み傾向)にも係らず、オリエンタル球根の栽培面積を増加させてしまった事による生産過剰(25%過剰?)が最大の原因
(オ) 中国の球根マーケットの読み違え
(カ) 生産計画(品種選択、生産数量)は3年前から始まる・母球確保は球根農家の判断
=生産農家の情勢分析の甘さ
(キ) 生産規模の拡大による採算分岐生産量の増加
(ク) 輸出業者とのコミュニケーション不足
(ケ) 生産調整をするシステムが無い(今後も無い)
9、ようするに“人=信用・信頼”なのだ
“オランダでの球根生産事情を理解しなければ良質な球根確保は難しい”
・球根生産の流れ(これが解らなければ始まらない)
@ 球根農家は作付け計画をBKDに提出・公開する(1・2月頃か?)
A 球根輸出業者は@の作付け計画を元に売買契約(先物)を、主にCNBを通して結ぶ。契約は@以降随時行われていく
B 球根農家は秋、品目・品種・売買契約を元に掘り取りを開始する
C 球根農家は掘り取った球根を粗洗浄+消毒(消毒の義務は本当は無い)する
D 球根農家は洗浄・消毒後の球根をサイズ・芽数・傷み等で選別し、球数を数えサイズごとに決められた球数をパッキン無しでコンテナに詰める(選別、計数は球根農家の仕事)
E 球根農家は輸出業者と契約した球数Dを輸出業者に納品する。(契約球数以上の球数の取り扱いは両者協議の上決定)
F 輸出業者は球根農家から納品された球根を、抽出検査で品質検査(サイズ・球数・芽数・傷み等)を行う
G 輸出業者はFで不合格の物は再選別の指示、もしくは返品する
H 輸出業者はFで合格したものをさらに洗浄(日本・アメリカ向け)+消毒しピートモスでパッキングしラベルを貼り輸出用球根として仕上げる
I 輸出業者はHで植物防疫所の検査を受ける
*球根は掘り取り後、輸出業者に納品されるまで1週間、輸出業者でパッキングされるまで1週間程度かかる(都合によりこの期間が長くかかると品質低下する場合が考えられる)
(ア) 信頼できる“人”=球根農家を探し出す
優良ロットのチェックの重要性
(コ) 球根の選別制度・計数の精度は球根農家にかかっている
(サ) ウィルス罹病のリスク(母球管理・養成元球管理)は球根農家の責任・判断によっている
(シ) 掘り取り後の球根のノーパッキングによる品質低下リスクは球根農家の輸出業者の処理能力にかかっている
(ス) 球根の選別精度は球根農家にかかっている
(セ) 球根選別調整には人手を多く使っている(ポーランド人95%、パート代金=時給13ユーロ)人件費は高い。仕事の精度を上げるためには毎年概ね同じ人を雇わなければ難しい=人件費削減は難しい
(ソ) 球根の選別システムは各球根農家が独自(部分的には共通)のシステムを組んでいるので、処理効率には大きな差があると思われる(効率の差は品質低下リスク)
*輸出業者の行う品質検査は抽出検査で不完全なので、所詮輸出業者は球根農家との信頼関係で球根を仕入れる
(イ) 信頼できる輸出業者を選択するの重要性
・輸出業者は球根生産農家から納品された球根を品質(数量・サイズ・2芽混入・根傷み・リンペン腐敗)などを一定の割合で抽出検査し基準を満たせば、再洗浄・消毒・パッキングを行い販売用球根に仕上げる。数量・サイズ・2芽混入率が不適格の場合は再選別返品。腐敗等の問題の場合は完全返品。
=再選別指示品はノーパッキンによる品質低下リスクが拡大する
=完全返品ロットはダンピングマーケットへの流出する可能性あり
(タ) 輸出業者の行う品質検査は不完全(抽出検査であるため)、よって輸出業者の球根品質は取引する生産農家の質。すなわち輸出業者がどの球根農家を得意取引先にしているかが重要である。
(チ) 球根農家から納品された球根は輸出業者の処理能力により品質が劣化する可能性が高い
(ツ) パッキング人件費(直接経費は別)は45セント/1cs(バンザンテン談)。機械化なのか人間の目なのか、高性能機械なのか低性能機械×台数なのか?
(テ) 輸出業者のパッキング処理機械能力
オーニングス 24秒/箱 × 6台
バンザンテン 35秒/箱 × 4台(かなり旧式)
デ・ヨング 8秒/箱 × 1台(故障多し)
ザボー 8秒/箱 × 1台(故障多し)
*近年掘り取り後処理に係るクレームが最も少ないのはバンザンテンらしい(山喜談)
「機械より人間の目だろ」(ハンス・ダーマン氏)
(ウ) 球根情勢に合わせた仕入れ時期の決定の重要性
売れ残り球根もしくは契約以上の球数はノーパッキングで保存されるので、品質低下リスクが大きい(球根生産農家はパッキングしない)
<写真>
返品カードが貼られたロット(オーニング)
写真):PO返品ロット.JPG
オリエンタル アンダイク社
写真):アンダイク.JPG
洗浄+消毒した球根を送風口(正面穴)につけ水分を飛ばしている
写真):アンダイク送風.JPG
大型選別ラインだが選別するのは人間の目
写真):アンダイク選別.JPG
球根消毒:本来球根農家には球根消毒の義務は無いが近年クレーム(リンペン腐敗)低減のため行われていることが多い
写真):アンダイク球消毒.JPG
これから掘る畑に空の掘り取り箱を運ぶ
写真):アンダイク空箱運搬.JPG
ポーランドでむかれたリンペン:リンペンむき機もあるらしいが、リンペンに傷が付くので最近はポーランドに委託も始めているらしい
写真):アンダイクLAリンペン.JPG
リンペンにパーライトを混ぜリンペン繁殖を行う
写真):アンダイクリンペン繁殖.JPG
掘り取られ粗洗浄された球根(ソルボンヌ)これから選別されます
写真):バルガー選別前ソルボンヌ.JPG
オーニング・パッキングライン
写真):POパッキングライン.JPG
POパッキングライン2.JPG
POパッキングライン3.JPG
POパッキングライン4.JPG
POパッキングライン5.JPG
バンザンテン・リンペンばらまき据置球根(シーラ)
写真):VZシーラリンペン据置球.JPG
VZリンペン据置球2.JPG
VZ球根糖度計測.JPG
10、 カサブランカ球根情勢
カサブランカは実は球根の作況が安定しない品種らしい(ワールドフラワー談)。よってより大きなロットで生産しなければ目的とするサイズが収穫できない品種。そのためさまざまなサイズが売れてこそ儲かる品種。今の球根販売情勢では球根養成の継続が難しい
・情勢
@ オランダでのカサブランカ切花は価格の下落(カロラインテンセンより安い)のため高品質側にも量産型にも向かない品種となっており球根需要がない(柔らかい・下向き・輪付きが悪い等)
A 日本におけるカサブランカ需要は養成球根(10/12〜14/16)と切花用大球(20/+以上)しか需要しない(養成球根:10/12は亀屋12/14〜14/16は津南を筆頭にした新潟県が主に使用)
B 日本の需要しない16/18、18/20は今まで台湾・メキシコに売れていたが、現在はカサブランカから黄色系OTに変わっているため需要が無くなった
*カサブランカは日本にとってオリエンタルユリの価格リーダー。守るべき存在なのでは?
11、 オランダユリ経営の戦略
@ 品目複合化によるリスクの軽減(ユリだけでない複数の球根養成経営)
A 受託複合によるリスクの軽減(ユリ球根単作経営であるが栽培受託を入れ経営を安定)
B 経営品目複合によるリスクの軽減(ユリ切花とユリ球根、シャクヤクとユリ球根)
C 球根栽培手法による効率向上(養成年数の短縮=粗い密度、1作球を母球に使う)
D 球根栽培手法によるコストダウン(リンペンばら撒き、据え置き=2n)
E 新品種更新+切下切花によるコストの軽減(ウィルス汚染の少ない新品種導入、粗植、移動ハウス)
F 高品質切花による付加価値の増大とそのための投資(オープンハウス、温湯ユリ側暖房
G 栽培法に合わせた品種選択(茎の硬さ、輪付き、根の強さ等)
H オリジナル品種確保によるブランド化とそれによる付加価値の増大とそのための投資
I 販売先に合わせた選別によるブランド力維持・増進
12、 経営判断の重要性
事例)07産球根オランダ球根農家の販売の場合
@ 完全なる過剰生産と思われ、07年産球根の先物相場は相当きびしい状況が予測された
A 春に開始された先物取引では球根農家に対し採算ギリギリのオファー
B 明らかに過剰生産であると判断してAでほぼ売り切った球根農家はギリギリ採算確保
C Aの時点で売る事を決断しなかった農家の球根はどんなに品質が良くても現在買い手がついていない。球根の掘り取り調整作業は行っている場合が多い(赤字の累積)
*栽培受託を多くしている農家はリスク分散されている
13、 まとめ
・今まではどうか?
今までは産地の販売目標は無かった。これからは販売目標は必要だ
どうなりたいのか?
目標はどこか?
・チームという概念が必要?
自分一人でやれることはごく僅かである。例え個選でも目標実現のためには生産と販売の機能を利用しなければ何も出来ない
*オランダは情勢に合わせ変化を続けている