平成15年6月19日
お得意様各位
株式会社日新 現業部
横浜市中区尾上町6-84
TEL 045-671-6335
FAX 045-671-6338
山本史哉
ニュージーランド出張報告
期間:6月6日(金)から8日(日)まで
1.訪問先:VAN ZANTEN FLOWERBULBS LTD (南島ラカイヤ)
面談者:MR.KEES VAN PETERSEN(MANAGING DIRECTOR)/MR.HANS GLORIE
オランダ大手ユリ球根輸出会社VAN ZANTEN社は、土質が重すぎるという理由から、昨年より南島のゴア近郊からラカイアに生産拠点を移した。栽培面積は35hでユリ14品種を栽培。日本をはじめ、アメリカ・カナダ・台湾・オランダへ年間 約50本/FEUを輸出し、その内日本へは、約30本/FEU輸出している。倉庫面積は、約10,000M2 平屋建て。洗浄機・サイジング機・パッキング機等は、オランダ製を使用。
栽培地は、数カ所に分けて、1年間のレンタル契約を行っている。ソルボンヌ・カサブランカ・トロピカ等で使用している栽培地は土質が重いようだが、ブリタニア・ティアラ・ラグナ等で使用している栽培地は、砂地のため非常に軽い土質であった。場所によって土質に差があることが確認出来た。VAN ZANTEN社は、昨年土が取りきれないまま日本へ球根を輸出したため、植物防疫所の輸入検査で大量の不合格品を発生させた。そのため本年、以下の通りいくつかの機械設備・施設を改修し、土壌洗浄を強化した。
*フィールド洗浄
新規増設
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振動機 |
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バケット貯水漕 |
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シャワー付き振動機 |
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ドラム回転式洗 浄機 |
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洗浄水は、リサイクル利用をしている。使用した後の泥の混じった水は、貯水池に流し時間をかけて流動させ、池の底に泥を沈殿させる。貯水池を一周し浄化された上澄み水は、地下水と混合されて再利用される。本年、貯水池を2カ所増設し、再生度を高めている。
振動機に付着している土壌の状態を見ると、オランダと比較して粘性があるように見えた。しかし、振動機を強化しているので、土壌除去率は高いように思われます。
フィールドでの洗浄は、トラクターで土と一緒に堀上げられた球根の外回りを大雑把に洗い落とすことが目的で、今回の洗浄強化により、球根内部もかなりきれいになっていた。
*輸出洗浄
新規増設
大型シャワー |
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輸出用強力洗浄機 |
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洗浄機 |
約2時間
洗浄水は、地下水を利用。シャワーを増設したが、木箱の置き方に問題があったので指摘した。シャワーと増設した洗浄機の水圧が低いように思われます。
この輸出洗浄で、鱗片からステムホールの細かい隙間の土壌まで落とさなければならない。今回の改善策で球根に与える水量は、間違いなく増加していると思われるが、品種によって、土壌を落とし切れていないものが見受けられた。
最も鱗片の開いている品種「トロピカ」を使い、一回の洗浄工程を終えた球根400球を抽出し、小職で検品した。その結果、鱗片の隙間とステムホールに、取りきれない土が残存していた。割合は、10%であった。ソルボンヌ等の鱗片が閉まった品種は、容易に洗浄できるが、トロピカ等の品種については、洗浄工程を数回繰り返して行う必要がある。VAN ZANTEN社に、植防の検査水準と土壌の付着し易いポイント、見分け方を説明した。最終的には問題がないかどうかをチェック・選別しながら、再度洗浄した上で、「完全に土壌を取り除いた球根のみを輸出すること」また、「検査水準に満たない球根は、輸出しないこと」を確認し合った。
また、昨年は1ロットの数量が非常に多かったが、本年はロットを小さく分けたようである。
その他
ニュージーランド農務部の輸出検査官は、クライストチャーチから来訪。半日かけて検査を行う。船社ブッキング・コンテナー輸送は自社で行い、通関のみエージェントへオーダーしている。ピークシーズンでの予備冷蔵は、自社冷蔵庫だけでは足りないため、クライストチャーチの冷蔵庫会社に2〜3ヶ月委託する。プラスチックケースとピートモスは、現地で調達。
2.訪問先:BAKKER BULBS LTD. (南島ラカイヤ)
P.F.ONINGS社がユリ球根を委託栽培している輸出者である。
規模は、VAN ZANTEN社よりかなり小さい。洗浄機は、オランダ製を設置している。
スターゲーザーをチェックしたが、土付着は見受けられなかった。
まとめ
昨年より、オランダ資本によるニュージーランドでの生産が本格的に始まったわけであるが、ニュージーランドの気候(日較差が大)の問題・検疫のトラブル等で、品質はあまり安定していないようだ。VAN ZANTEN社は、今だ規模は小さいが、ニュージーランドという新しい環境の中で、品質の向上・安定供給に向けて、真摯に努力する姿勢が感じられた。今回土付着の問題が主な目的であったが、実際に自身の目で確かめたため、実体を把握することが出来た。輸出者側にも、日本の検疫事情を理解して頂いたように思います。本年も早いものは9月に日本に到着する予定であるが、昨年から大きく改善された球根が輸出されてくるものと思われます。
以上