平成16年7月27日
お客様各位
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2004年産オランダ産百合球根作付け面積統計送付にあたり
平素よりお引き立ていただきありがとうございます。
04年産オランダ産ユリ球根作付け面積表が発行されました。ほぼ予測した範囲の減少率となっていますが、一部ではそれを超えた大きな動きとなっているものが出たようです。
透かし百合
開花球全体で23.6%の減少。春先の予測を大きく上回る減少率となっています。
黄色系 |
約30%の減少。これは減りすぎです。アデリナ以外のO.B.F.系(アメリカ育成種)、ポリアナ,コーデリア,ドリームランドなどが激減しました。モナはなんとか10haを維持、ギロンデは大きく減少し(オランダ切花価格低迷)、ヒルデが遂に2haを切ってしまいました。球根価格は下支えされています。まだ価格にははっきりした上昇傾向は見て取れませんが、必要な方は早めの手配をお勧めします。 |
ピンク系 |
約33%の減少。昨年のピンク系,透かし/L.A.の大暴落を踏まえるとこの動きは止むを得ません。球根品質不安定な花色です。必要な人は早めに手配した方が良いです。 |
白系 |
約3%の増加。ピンクの面積が約70haしかなくなったのに対して、白は約140haもあります。鉄砲百合やL.A.の白も、全体が減少している中で増加しています。オリエンタルの白とは一線を画す、必要な花色ということなのでしょうか?日本では一部、白・L.A.に力を入れ始めてくれた市場もありますが、全体的な傾向とはいえません。慌てる必要は無いのでは? |
オレンジ系 |
約27%の減少。エリート,プラトー,ベイトリックス,リガタの減少が目に付きます。ベイトリックスは03年産減少といわれていたのに減りませんでしたが、それが今年になって減少したようです。ブルネロ,トレザーは減りませんでした。ブルックリンが大幅に減ったのはショックです。リガタ・ベイトリックスは早めに手配した方が良いです。 |
赤系 |
約15%の減少。需要は強いにもかかわらず減少したのは、結局良い品種が無いからです。 |
バイカラー・ アプリコット系 |
バイカラーは全体的なムードの中での減少率は約26%。アプリコットの減少率は約34%で、イタリアの不調によるものです。もっと減っても良いです。 |
L.A.ハイブリッド
約5%の減少。これを予測した人はまず一人もいませんでした。
黄色系 |
約27%の増加。ただし面積的には30haしか増えておらず、しかも増加面積の中の12haがゴールデンタイクーンです。セベコデジール,セベコグロウ,パビア,セラダの増加は充分とはいえません(透かし百合黄色の面積減少は約92haも減っている)。これはまずいです。早く必要数を確保してください(特にセベコデジールとセベコグロウ)。 |
ピンク系 |
約21%の減少。透かし百合ピンク同様、この動きは止むを得ません。安い品種の価格が下支えされればと期待しています。 |
白系 |
約17%の増加。透かし百合の白と同様、ヨーロッパの消費に支えられての動きのようです。特にイギリス,ドイツなどのスーパーマーケットの消費が原因と思われます。 |
オレンジ系 |
約23%の減少。これは大変残念。おそらく不足という状況になると思われます。 |
赤・濃赤系 |
約40%の減少。ひたすらファンギオの減少が影響しています。 |
アプリコット系 |
約7%の減少。もっと減るべきでなかったかと思います。 |
オリエンタル(O.T.・O.A.・L.O.含む)
約10%の減少。全体の減少面積166haのうち、赤/白縁が83ha、白が48haで、この2つの花色の減少がオリエンタル系の大幅減少という印象を与えています。
淡ピンク系 |
約10%減少。これはマルコポーロとエクスプレッションという2大品種の減少が原因です。この2つで約20ha減っているのに全体で10haしか減らなかったのは、この花色の新品種開発に力が入っていたせいなのだろうと思います。 |
ピンク系(赤・ 濃赤・ピンク/ 白縁など) |
普通タイプのピンク,濃いピンク,赤,ピンク・赤/白縁については、輸出業者ごとに色分けの仕方が違います。さらにいえば日本においても西日本/東日本、または作型ごとに色の表現が変わるので、色別の増減分析はできませんし、無理やり行なっても正しい傾向は示せません。したがって、品種ごとに良く見てくださいということになります。 最も重要なソルボンヌの栽培面積が大きく変わっていないことが救いといえます。ルレーブ,ロンバルディア,メデューサ,ティバー,アカプルコ,アクティバなども動きが少なく、日本には大きな影響は無さそうです(ただし、スターゲーザーと重複するタイプの品種は必要なら早めの確保を)。 スターゲーザー,メロースターといった、ヨーロッパのスーパーマーケット用の品種が大幅に減少しているようです(実は色物オリエンタルの減少のほとんどがこの白縁タイプ)。ちなみにエクスプレッションもヨーロッパのスーパーマーケット用で、これは淡ピンクではなく「白」として扱っているそうです(茎が固くできるから)。ヨーロッパのスーパーマーケット需要は順調に推移しているとのことでしたが、なぜこれほどの減少が起きてしまったのかよくわかりません。 濃赤が増加できないのは、良い品種が無いという透かし/L.A.の赤と同様の理由と思われます。 |
白・白黄系 |
約11%と、大きな減少となりました。オリエンタル全体の減少率(黄色O.T.含む)と同様といえばそれまでですが、白のオリエンタルは日本及びアジア諸国(中国/台湾)にとって大変重要な花色で、かなり影響を受けそうです。シベリアとシンプロン,ベスプッチの減少が目に付きます。一方、カサブランカが予測より減少しなかったこと(養成球は減っています)、リアルト,ノバセンブラ,コンスタンタ,クリスタルブランカが増加したのは救いです。 どの程度の価格帯が妥当なのかわかりませんが、必要な人は確保率を上昇させた方が良いと思います。 |
黄色系(オレンジ・ バイカラーなど) |
約40%増加。淡ピンク系同様、近年では最も注目されていた花色ですので、当然面積は増加します。そうはいってもまだ84haほどしかなく、オリエンタル全体の6%弱しかないことになります。03年で球根暴落、04年でも球根価格が相当安く抑えられていますので、世界消費は伸びると思います。実はこの花色も必要なら早めに押さえられた方がよいという花色なのかもしれません(一部の普及していない品種を除く)。 |
鉄砲百合
約15%の増加。切花の消費が安定しているせいでしょうか。または経費削減のため、フランスでの生産面積を減少させてオランダに移したということも考えられます(元々はフランスでの栽培面積のほうが多いくらい)。
燐片面積の動き
オリエンタル系の場合、04年産の燐片栽培面積は06年/07年の開花球面積に影響を与えることになります。透かし百合/L.A.については05年の開花球面積、O.T.については06年の開花球面積に影響すると考えてよいと思います。ただし、99年以降の燐片面積の推移と次年度以降の開花球面積との相関関係はあまり無く、ひたすらセールスシチュエーションにより面積の増減が発生しているように見えます。
まとめ
全体的には、栽培面積の減少が大きかったことと、作況予測があまりよく無いと予測されていますので、球根価格の下落は起きないのではないかといわれ、安定した消費があるのに球根価格が安く抑えられている品種は順調に販売が進んでいくと考えられているようです。
以上。