平成23年12月19日
お客様各位
株 式 会 社 山 喜 農 園
新 潟 県 魚 沼 市 原1280-1
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球根情勢報告
12月期オランダ出張報告
平素よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。
はやいものでもう12月。今年ももうすぐ終了です。
切花園芸はこれから年末切花/春彼岸に向けての定植/栽培に入るわけですから、忙しいピークを迎えることになります。
ハッと気がついてみたら、「百合の球根屋って、一年中、暇な時期って無いんだ……。」
若い時はそれに気が付かなかったのに、今更気が付きました。
バカですね!
年明け1月/2月期のスケジュールを組んでみたら、ほとんど新潟にいれません。
今年は上の娘が受験なのに…。
カビやインフルエンザを家族に持ち込まない位しか協力できることが無い…。
景気が悪くて売り上げが落ちる。お客様の数が減る。それなのにどんどん忙しくなる。
こんな田舎の会社は、働いて稼ぎ出すしかないんだから、仕事が出来るだけ幸せだと思いたい。
良い球根を買って、売って、納品して、栽培してもらって、儲けてもらう。1年/2年じゃなくて、これまでの20数年、これからの5年、10年、20年(私はあと15年くらいだと思いますが…。)これから先は、日本だけでなく、アメリカも、ヨーロッパも、地道に「自分の仕事」をこなして行く、そんな事になるんでしょうね〜。
サラリーマンの人は職を失う人もいっぱいいます。農業を続けられなくなる人も出てくるかもしれない。球根屋だって、今まで通りじゃないですよね…。
だけれどもやれることはそんなにあるわけじゃないし、変わりもしない。
ひたすら頑張るだけです。
平成16年から(中越地震のあった年に11月期→12月期に変更)重ねて8回目の12月期オランダ研修旅行。当社が取引していただいている9件の輸出業社を訪問して、痛切に実感した次第です。(ずいぶん頑張ってました。)
今回は埼玉県の農協職員、横浜の球根業社の若手職員(当社、埼玉における最大のライバル会社)と一緒に確認作業を行いました。
ここ3〜4年は同業他社の若手職員との出張がやたら増えています。(まず一人で行くことは無い。)刺激を受けます。ありがたい話です。
11年産国産百合球根
早掘り
作はあまり良くなかった。小球が多くて、ドライセール用球根販売先には随分と迷惑をかけた。来年はがんばります。国内流通在庫は少ない様です。
遅堀り
品質は良さそう。掘り取り収穫率・販売可能サイズ率ともに良かった。Plamvなど逆風も多いが、頑張っていきたい。(収穫率の高さと、販売可能サイズ率の高さは品質の良さの裏付けとなります。)
11年産南半球産百合球根
Plamv問題を踏まえて、当社のみでなく全国的に、N.Z産増加。
A.H/L.Aは約 |
4,100,000 |
球 |
O.H/O.Tは約 |
23,350,000 |
球 N.Z+C.Hあわせて |
くらい入荷する予定。(まだ入荷終了していない。)
N.Zの特定圃場でLMOV問題発生。大きな被害が出る様子。
90年代初頭には良く合った問題だが、今頃、しかもこんなにも大きな事故が起きるとは…。
遅くとも年内中には状況と問題処理についての方向性を出したいと考えています。(もうちょっと時間がかかるかもしれません。)
シベリアの市場流通数に影響が出そうですね!この球根、韓国にも中国にも行ってます……。
この問題を12年産にも引きずらない為に、何をするべきか考えて準備を進めたいと考えています。
ほぼすべての輸入業者がかかわる問題です。(だって南半球産対日最大輸出業社の事故ですもの。)
Plamv問題と似ている業界問題。(1件の輸出業社はこの問題の責任を1件だけでとらなくてはいけない。輸入業社の協力がものすごく大事だと思います。)Plamv問題は責任の取り方が依然曖昧。他の輸出業者は悪口言わずに黙ってみてろ!
あ〜〜〜在庫ダンピングして売るんじゃなかった!結果論…。
11年産オランダ産百合球根
作況/品質予測
一言でいえば「わからない」、「予測したくないです。」
特に品質については過去3年間「良くない良くない」「悪い」と言っていたのに、結果的には「良かった」とは言えないけれど、「悪くない」まずまずの結果という年が続いています。(10年産については、8月以降から急速に球根の力は落ちた様ですが…。)
それでも我慢して予測します。(オオカミ少年とは呼ばれたくない…。結果で評論する人はいいよなあ〜。)
@ 意外ですけど10年産オランダ産の養成球品質は悪くなかった。(国産11年産からもそれが窺える。)
A 3〜5月は遅霜被害はあったけれど、初期生育には良い天気だった。(ここが品質/作況の為、最も重要なピリオド。)
B 6〜8月は一か月の平均気温が18℃を超えた月が1回も無い。(力は付きにくいけれど初期の貯金あり。)
C 9〜11月あったか過ぎ。雨降らな過ぎ。肥大、品質の為にはプラスだけれど、充実の為・休眠打破の為の低温積算の為にはマイナス。
D 各コンディション別の休眠打破の目安。
O.H/O.T系の目安
T Tubo球…1月20日以降 低温庫から出庫するイメージ。
U 標準球…1月25日以降
(1) ルレーブ2Nコンディション球は、1月20日以降
(2) 標準品種標準コンディションは、1月25日以降
V OT球
(1) ワールドブリーディング系は、1月20日以降
(2) その他の育種苗社のO.Tは、2月1日以降
W 晩成系O.Hの標準コンディションは、2月1日以降(シベリア・カサブランカ・ユニバースなど)
X A.H/L.A…思い切って今まで通りの時期に使ってみてください。
スペシャル促成輸入0.00〜0.50度で6週間輸入して休眠打破促進したつもりです。
一つの目安としてください。(地域、温室設定温度などで異なる。無加温/低加温温室ならもうちょっと早くても良いかな…。)
抑制作型については……。
A.H/L.Aは、たぶん大丈夫…。
O.H/O.Tは、11月の低温期前掘り取りについては、青カビ/りんぺん腐敗が怖い。(概ね11月15日以前掘り取りが…。)
11月低温期以降の掘り取り分については良いと思う。天候具合で芽は大きく成長しているのに、休眠打破のための低温積算を、掘り取り前圃場では十分されていない。逆に言えば、冷蔵設定温度を下げ過ぎなければ、10年産に比べて、球根農家/球根業社レベルで冷蔵冷凍管理がしやすいとも言える。
したがって、抑制作型は良くなるような気がする。
切花作期に合わせて早掘球、遅堀球をちゃんと輸入して使いこなせれば、11年産は「まずまず」の年となるのではないか?
「3年連続で予想を外した人間の分析」です。念のため。
他の人の分析も聞いてみたいものです。
輸出業者ごとのパッキング作業について
Tピートモス供給会社…3〜4件のピートモス供給会社があった。
@BVB社 PO社 VDB社
Aバンエグモンド社 VZ社 JW社 ST社 VDZ社
Bクラースマン社 ZB社 VWS社
C不明(調査中) DJ社
Uピートモスの階級…ピートモス供給会社が同じでも、大まかに3クラスあるそれぞれ粒子の大きさや水持ちの異なる各階級の混合率は、各輸出業社の考えが反映されているので、全て異なる。(これが大事で、ピートモス供給会社の差は、地理的に各社に近いか遠いかとか、取引条件などの違いの様です。)
当然、各輸出業者ごとにピートモスの水分率も全部違う。
@トップレイヤー(地表に近い、繊維の長い物。水持ちが悪い。乾きやすい。)
Aミドルレイヤー(中間くらい。)
Bボトムレイヤー(百合パッキング用としては一番深い所から掘り取られるピートモス。繊維が細かく、色が黒っぽい。水持ちも良く、乾きにくい。)
V量…昨年までより、1ケース当たりのピートモスの入れる量が少ないという指摘を受けていた会社、上段に隙間が空いていて乾燥しやすいのではないかと言われていた輸出業者は、ほぼ全社的に1〜2ℓくらい量を増やしていた。ピートモスとダンボールふたの間にほとんど隙間が無くなっている。ほぼ全社的に増やしている。ビニールシート型のZP社は他と比較できないが、やはり昨年よりは明らかに多い様です。
W水分率…10年産比較で水分率を変えていないのは、PO社・ST社・VZ社。残りの会社は全て量や湿度を上げていた。
作業を1時間あたりにこなさなければいけない箱数(1台当りの機械で)が多い会社は攪拌を機械的にうまく行おうとする為、やや乾燥型のように感じた。(ZP社は依然ウエット型と言われていたのが、ここのところ乾燥型に変わってきた理由?今年はかなり湿度上げています。)元々乾燥型のPO社は大きく湿度を上げてきていなかった。11年産の球根コンディションから、湿度は極端に変えないほうが良いという考え方の様です。
箱詰めの段階で各社が使っているシェーキングマシーンが会社ごとにかなり違う。(触れ幅、触れる速度、触れ方などなど…。)
ピートモス/球根の箱内均一性を考える時、この仕上げの為のファイナルタッチがものすごく重要。
1台の機械が1時間当たりこなす速度
1番少ない会社は 150ケース×6台。
1番多い会社は 380〜450ケース×1台。
これだけ違えば、いくら最後のところで人間が手を加えても、仕上がり方が違って当然です。
各社ごとに考え方が違うので、良い悪いはあえて言いません。これって長い目で見て必ず影響出てくるような気がします。
シェーキングマシンで均一性を整えるより、人間が実際箱の中に手を突っ込んでかき混ぜるやり方の方がやっぱり良くなっている様に見えました。(あえて言います。VZ社・PO社・JW社は、人間が手を2本とも箱の中に突っ込んでかき混ぜてました。シーリングの会社がいまいちなのは、この辺に差が出るんでしょうね〜。)
*来年は「球根洗浄方法による差」をテーマに調査したいと思います。
球根市場動向
A.H/L.Aは、11月中に底値をついて、12月になって価格が上昇し始めた。今までのパターンだと下りっぱなしだったのだが、今回は価格が春先の価格ではないが、戻ってくるというのは新しい動き。
O.H/O.Tは、12月に入って底値を迎えた。A.H/L.A同様価格が上昇に転じるかどうかはわからない。取りあえず、イエローウィンとソルボンヌは上昇に転じるようです。
輸出/入業社ともに、過剰に在庫は作らないようなので、いずれ落ち着いた動きとなる様です。
以上
たぶん年内最後の情勢報告となります。
大変ありがとうございました。
来年もよろしくお願い致します。
森山 隆