平成23年7月21

 

お客様各位

株 式 会 社  山 喜 農 園

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球根情勢報告

 

11年産 南半球産 百合球根 在庫表送付にあたり

 

 

 平素よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。

 

 魚沼地方は、今年も昨年同様、大変暑い夏となっています。

 日本だけではなく、世界中が異常気象で大変な事になっています。

 

 世界の経済も、大きく変化する様ですが、我が球根生産流通業界にも、様々な影響が出てくる様です。

 

 「球根情勢報告」も、「3月1日発行分」の「南半球産百合球根の受注変更について」を発行して以来、本日まで、報告らしい報告をあげておりませんでした。

 

 この4ヶ月半の間にも、様々な事が起きていましたが、それらの現象がどの様な形で、日本の百合切花産業に影響してくるのか、極めて解りにくい情勢となっています。

 「意識的に書かなかった」のではなく、「書く事が出来なかった」という事です。

 

 「球根情勢報告」らしいものを書くのは、昨年の9月以来です。

 

 相変わらずの乱文ですが、ちょっとお付き合い下さい。

 

 

国産百合球根

 

 10年産新潟産早掘(促成用)

 良かった。

 

 10年産小清水産(促成用)

 良かった。

 

 10年産新潟産遅堀(抑制用)

 少なくとも08/09年産よりは、良い結果が出ると思う。

 結局、天候(球根養成時)が、その年の球根品質の大半を決めるという事です。(10年産オランダ産より、今のところ、良いと思いますよ!)

 

 10年産小清水産遅堀(抑制用)

 良くなる予定です。

 

 11年産新潟産早掘・遅堀

 近年では、最も順調に肥大中。

 初期生育がこんなに良いのは久しぶり。

 ノーストレスコンデション。(8月の新潟では、球根肥大が夏休みの時期。)

 

 

オランダ産百合球根

 

 10年産

 日本全体の入荷予定数は、6月末までの植検対象球数では昨年並みの入荷量で、最終的な入荷球数はまだわかりません。

 国内の流通状況と、オランダ輸出業者のコメントから分析すると、「ドライセール用球根」の養成球の入荷数は、大きく減少している様です。

 「営利切花栽培用球根」は、横ばいからやや増加しているのでは、ないかと思います。

 

 当社の場合、09/10年産で取扱い予定数が、ほぼ同数となる様です。(約34,650,000球)

 

 6月中旬球根出庫切花作型分までは、予測していたよりも、かなり良い仕事をしてくれていると思います。

 

 一部、12月後半から2月末までに納品した球根の中で、低温積算が十分にされていない…???、もしくは、休眠が綺麗に打破されていない球根…???があった様です。(O.Tの一部・L.Aの一部・オリエンタルの主に晩性種。)

 

 早い作型で、球根の力が発揮しきれなかった事は、シーズンに入る前には、分析しきれませんでした。

 

 同一ロット・同一品種の3月以降定植が、輪付き・ボリュームともに、良くなった事にびっくりしています。(休眠があけていなかったという分析をしている理由。)

 

 10年産オランダ産は、冬から春、今日現在に至るまでのオランダからの着荷状態で、芽が大きい、又は、すでに着荷段階で、芽が動き気味となっているケースが多々あり、低温積算不足、又は、休眠打破が遅れるという事を、考えられませんでした。

 

 7月以降出庫分作型から、様々な問題が出てくると思います。

 

 注意しましょう。

 

 今の所、凍傷によるブラックノーズ(フロストダメージ)は、比較的少なく、酸欠によるブラックノーズ(アウトオブオキシジン or ラックオブオキシジン or ウォーターダメージ)が、多い様に思います。

 

 堀之内の一部の切花農家から、「芽伸ばし準備段階での、初期の過剰水分供給による過湿」・「プレルーティング前解凍時、又は、解凍直後の酸欠」という、切花農家の作業中の問題という分析を、始めた方がおられます。(私のいとこですが、すごい勉強家です。)

 

 まだ、「これが原因!」という所まで、分析は至っておりませんが、MAK 2LHLC TLの4月/5月出庫分の方が、6月/7月出庫分よりも、ブラックノーズ率が高いという訳のわからない現象が、ここ3年間続いていた、一つの原因かもしれません。(同一ロットで、同一切花産地内で起きていました。)

 

 11年産

 次回報告致します。

 栽培面積の速報が、7月19日に発行されました。

 予測とかなり違っています。

 おもしろい事になりそうです。

 

 

南半球産百合球根

 

 08年の、燃料高騰、リーマンショックを経て、08/09年産と我が業界は極めて保守的な球根流通を、行っていたと思います。

 

 10/11年をターニングポイントとおいた、会社が多かった様でしたが、分析が甘かった様に思います。(当社を含む。)

 やや過剰気味に、確保された10年産南半球産百合球根からの切花結果は、地震前の1月/2月に、すでに悪い兆しが見え始めていたにも関わらず…。

 

 業界は、「1月/2月定植作型」の日本の切花温室には、「加温作型」・「低加温作型」・「無加温作型」と、3種類の条件がある事、そしてその面積割合などの考察が、足りていなかったと思います。(そもそも3つに分けている加温・低加温・無加温を意識して、球根を納品していた形跡を感じられません。)

 

 ※当社の場合、オランダからの船足が遅くなっているにも関わらず、TURBO2N等の取扱い数増加に伴い、オランダ産促成球 1月/2月定植分納品球数が、

 08 2,450,000

 09 2,600,000

 10 2,750,000

 と、3年連続増加しています。

 

 TURBO2N球の1月/2月定植は、例えば必ずしも順調と言えなかったシベリアMAK・カサブランカTYSと比べて、大変良い結果が出ています。(逆にこれらの品種でも、3月以降定植分は、びっくりする位順調に推移しています。)

 

 一方で、南半球産 1月/2月使用数は、当社直接取引先では、すでに減少が始まっていました。

 

 燃油代が上昇すれば、この現象は冬場の条件が悪い産地ほど、進む訳です。

 

 地震以降、日本の業界がとった対応はむしろ追加発注ではなく、「キャンセル」してでも日本への入荷球数を減らす対応であった事を願っています。(日本球根市場の信用は落ちますが、11年産は特別な年でしょう。)

 

 現在37協力市場の皆様から、「2011 1月〜6月」の百合切花流通状況のデータを頂き、集計作業を行っております。(7月22日現在 31市場より回答。)

 

 予想通り、ショッキングな結果となる様です。

 

 一方で、他品目・他球根切花に比べれば、百合切花については「よくここで止めてくれた。ありがとうございました。」と、言われなくてはいけない位、ひどい市場環境であったとも言えます。

 

 O.HO.T系切花の場合、昨年まで全国の平均単価以上で売っていた産地の落ち込みは比較的少なく、平均価格以下の産地の落とし方が大きかった様にみえます。

 平均価格の分岐点が重要なのではなく、どの様な購買層が強かったか、逆に弱かったか、どの様な出荷形態が流通に支持されたか、考えさせられます。

 

 作況及び流通状況

 

 11年産の南半球産百合球根作況・品質ともに、良くなると言われています。

 

 A.HL.A

 

 すでに、A.HL.Aの掘り取り受注調整作業は終了していますし、球根も8月第1週〜3週にかけて入荷予定となっています。

 

 10年産オランダ産抑制球の在庫状況と合わせて過剰感はなさそうですが、これ以上の日本への入荷球数の増加は望みません。

 国内業者の在庫を片付けるべきだと考えます。

 

 O.HO.T

 

 O.HO.Tについては、10年産オランダ産百合球根の日本市場流通在庫については、大きな過剰感はない様です。

 地震により、どれだけ市場規模が縮小しているのかはわかりませんが、5月/6月の切花流通状況から分析すれば、市場の皆様には本当に頑張って頂けている様にみえます。

 

 なんとか後半半年間も、宜しくお願いしたいところです。(回復しないと、やばいです。)

 

 南半球産 O.HO.Tの入荷実績

輸出業者報告(推定)

12月〜5月期 37協力市場データより。)

07年産 24,000,000

/08年 切花価格推定 233.4(燃料代高くて、農家利益無し。深刻な打撃。)

08年産 21,200,000

/09年 切花価格推定 233.7(燃料代安くて、まずまず。)

09年産 20,700,000

/10年 切花価格推定 231.9(燃料代安くて、まずまず。)

10年産 23,000,000

/11年 切花価格推定 集計中(燃料代高くて、更に地震。)

11年産 未定

/12年 切花価格推定 未定(心配。燃料代が下がらなければ、よほど価格上昇しないと…。)

 

 11年産南半球産は仮に、10年産以上の入荷球数が見込まれるならば、全力を挙げて切花作期拡大に努めなければいけないと思います。

 

 NISLOSを上手に利用して、低加温作型(1月/2月定植作型)で、

TL2N球を上手に利用して、芽伸ばし作型への使用普及を図っていく。(9月/10/11月上旬定植作型)

 

 球根業者と切花産地が、一丸となって切花出荷の長期安定化させる事が、絶対必要な年になると思います。

 

 ※この燃油価格水準が続く様であれば、南半球産・オランダ産のバランスは、もう一度考え直さざるをえないはずです。

 N.Z産マジックは、正しく球根産地や球根栽培方法事の特性を理解して使っても、新鮮なオランダ産には品質上敵わないのですから…。(低加温・無加温温室の場合。)

 

 ※10年産オランダ産百合球根の様に、長期保管が難しい年が続く様なら、南半球産の早期使用方法も考えていかなければ、いけないのだと思います。

 

 ※切花産地・球根業者・試験場は、本気で球根コンデション事の使用方法・品種ごとの各作型への、向き不向き(主に、発根力・水あげ力)の研究をするべきだと思います。(10年位前までは、普通に行われていた事ですよね?なぜ、考えなくなってしまったのでしょうか?)

 

 以上、簡単ではありますが、久しぶりの情勢報告と致します。

 

 詳細はお問い合わせ下さい。

 

                                            森山 隆