平成23年3月1日
お客様各位
株 式 会 社 山 喜 農 園
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球根情勢報告
11年産南半球産百合球根Vletter社品種、
及び一部特殊品種の受注変更について
平素よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。
11年産南半球産百合球根の取引が開始されております。
すでに約7,050,000球のご注文をいただいております。大変ありがとうございます。(H23.2.28現在)
(10年産取扱総数約7,700,000球)
順調に受注が進んだ背景は、10年産オランダ産A.H/L.Aの確保数を控えて、11年産南半球産のA.H./L.Aに、需要を移した方々がおられるのが、最大の理由だと考えています。(11年産南半球産の必要性を昨年から具体的に輸出業者へ伝えていました。)
さて、昨年10年産において日本の百合切花産業にとっていくつかの不都合があったことは皆様も覚えていて頂けていると思います。
@ V.Z社のカサブランカ生産の失敗。
A V.Z社のL.A生産の失敗。(意図的?日本離れ?)
*作況によるところの球根の良し悪し・作況によるところの過不足とは、上記2件の問題は別の問題として捉えています。
本年11年産についても、再び2〜3の問題を抱えてスタートしてしまいました。(気付くのがやや遅れた。そしてどのような対応をすべきか?の答えを私自身迷って、出せずにおりました。)
しかしながらこれ以上皆様への連絡が遅れても良い打開策が見つけられる可能性は極めて低いと考えられますので、早い段階でご案内させていただく事に致しました。
@ ルレーブの確保失敗。
A ノバセンブラ/イエローウィンの確保失敗。
B Vletter社品種の流通数(生産地別だけではなく総球数)は需要を満たす球数は全く無い!という事実。
@ ルレーブの確保失敗
1)10年産合計592,400球の取り扱いがあった。(N.Z産C.H産LR球10/12、12/14、18/20サイズすべて込みの取扱い数です。)
11年産は今現在の確保数(掘り取り欠品前でという意味です。)約450,000球しかない。(C.H産は免除ロット無しの為 0球。N.Z産のみで10/12、12/14、18/20という特殊サイズを含めての確保数です。)
対して14/16、16/18で約80,200球の受注過剰となってしまっています。ちなみに18/20には今現在約26,900球の在庫がございます。
*1=450,000球というのは日本流通数の50%以上を意味します。
確保できると読んでいた球数を大幅に下回ってしまった為に「作況状況によるところ」ではなくて「在庫管理ミス」で大きなマイナスをなってしまいました。皆様には大変申し訳ございませんが、近日中に受注の調整をさせていただきます。誠に申し訳ございません。
2)V.Z社、P.O社には、12年産南半球産ルレーブについては「14/16、16/18両サイズ」にて最低約550,000球は確保してほしいというお願いはしてあります。しかしながら種球の準備が整うかどうか不明です。
ほぼ日本でしか需要の無いこの品種をN.Zの球根農家がいつまで生産を継続してもらえるかどうか。
カサブランカ同様難しい情勢となってきました。(12/14サイズ、18/20サイズの行先を見つけなければならない。日本では…。)
3)
昨年あれだけ様々な産地のカサブランカ確保に努めて、さらに18/20サイズまで使って対応してきたのに(結果が良いか悪いかは?)11年産についてはV.Z社以外の農家は、カサブランカの球根生産を辞めたか、または大幅に生産を減らしている様です。
昨年383,005球の取り扱い球数でしたが(14/16/18/20含む)本年今の所400,100球の確保が出来ています。(14/16/18/20含む)(内TLコンディションの18/20以上サイズでV.Z社率86.6%)
育種会社/球根農家の生産品種の変更がゆっくりとスタートしていると考えざるを得ません。
まだ日本パッシングと捉えなければいけない水準とは思いませんが、(輸出業社は依然日本の取引契約に対しての考え方、レベルの高さを支持してくれている。)
今後、求められるのは「単年度でコロコロ需要が変わる様ではだめで、どれだけ安定的な取引」をどの輸出業社、又はどんな輸入物流方法を開発維持していくのか?その品種は?といった所を意識していかざるを得ないと思います。
皆様が市場から求められている栽培計画・販売計画整度が、今後ますます高まってくれば、球根輸出業社間の取引は、来年注文があるかどうかわからない様では相手にされなくなってしまうのだろうと考えてしまいます。複数産地の複数輸出業社の合同輸入の可能性は現地の輸出能力では、これ以上安定化させることは厳しい。コストアップしか考えられなくなってしまいます。
すでに、11年産南半球C.H産の球根に関わるそれぞれの球根生産会社、それぞれの輸出会社がとった対応は、向こう数年間の流れを、示しているなあと思いました。
A ノバセンブラ/イエローウィンの確保の失敗。
1) ノバセンブラは生産量が減ってしまっていた様です。
加えて、イタリア市場に大量な20/UPを廻さなければならない様で、当社に回していただける球数は20/UPを中心に、大幅に減少となってしまいました。申し訳ありませんが、近日中に受注調整させていただきます。今後の生産面積の動向は、14/16/16/18サイズを消費してくれるマーケットが諸外国に出来るか…にかかっています。日本では無理ですものね…。
2)イエローウィンについても生産量の回復は想定より少なかった様です。特にベトナム/インドの需要が強い様です。
当社に廻していただける球数も残念ながら大きな回復とはなりませんでした。
一方、09年産で激減していたオランダ産イエローウィンは、10年産でその流通量を大きく回復されており、07年/08年産の水準に近づいております。(09年産は08年の半分まで減って、10年産は08年の流通数より多い。一方、その他黄色は、イエローウィン増加分に合わせて減少している。)
イエローウィンの代替えは、他、黄色O.Tでは難しい様です。(イエローウィンを高く評価している国は日本とベトナムたけ。他のアジア諸国はコンカドール、マニサ、ゴールドシティ、レソトなど。)
オランダ産の動きも勘案し、注意して対応くださいます様、よろしくお願い致します。(10年産11年産はいっぱい球根があるが、12年以降は再び大きく減少。たぶん復活はしないと思います。)
B Vletter社品種の流通数(生産地別だけではなく総球数)は需要を満たす球数は全く無い!という事実。
11年産のVletter社品種の流通は、大きく分けて3つないし、4つの問題があります。
1) 世界消費に対して南半球産の球根は、品種・サイズを問わなければ、実は十分にある。
このことにより、南半球産Vletter社球根の70〜80%を消費する2つの国(日本と台湾)の内、台湾は14/16/16/18サイズをほとんど買わないで済みそう。台湾が買わないのは、価格が台湾市場にとって高すぎることと、残念ながら彼らが期待する輪付きボリュームが確保できていないから…。
(そもそも必要な在来系が不足していた時にのみ、Vlertter系が穴埋めとして使われていた節がある?)
台湾は球根輸入がやや過剰気味となっている為、今年の仕入はかなり厳しい対応を取っている様です。彼らが欲しいN.Z産にはまだ十分なVletter社産品種の生産量がありません。(イコール対日市場分も全く足りていないという事です。)
そして、彼らにとって必要な在来系が、十分にあるという事なのです。
2)相変わらず設定価格が高い。
主要なVletter 社球根取扱輸出業社であるP.O社/Z.B社は、小さいサイズの消費の目途が立たない中で、在庫のリスクは取れません。
18/20、20/UPを高く売る。いわゆるカサブランカ球根販売方式を採用するしか逃げ道は無いのですが、在庫となる14/16/16/18が、タダでも売れない位ひどい状況(また現実にタダにする訳にもいかず…)の様ですから、始末が悪いのです。
他にもう一件取り扱いを予定している会社は、すでにVletter社との契約を済ませてしまっており、この事が、P.O社、Z.B社の交渉をさらに難しくしている様です。本人も買ったはよいけれど、高すぎて売れなくて「まずい…。」と今は思っている様です。
相変わらず困ったものです。これで「今の価格水準でも良い」という甘言が輸入業者側からあれば、「あ〜こんなはずではないのに」という価格で、N.Z産に注文が集中し、掘り取りになったらやっぱりC.H産しかありませんでした。という馬鹿げた話が再び起きてしまうと思うのです。
リドやカルーソ、フェニスクラスが、昨年のブルレスカやグラシアクラスの価格ってありえないと思いませんか?
Vletter社の球根を扱わないで終わるという事は、当社の、輸入百合球根取扱い上、歴史的に考えて起きないはず。当社は扱いたいのですが、今年の南半球産の流通状況は、その結論を出す時間をかけていられない状況だと感じています。
3)10年産のカサブランカは需要に対して、大きな流通の減少がありました。それまで取り扱いを控えていた産地の球根も確保しなければならない状況だったことはご承知の通りです。それが本意ではなくて「10年産/11年産以降にも取引してください」という風に、輸出業社に言われても仕方のない無理な仕入をやってしまいました。
そこまでを想定しなければならない取引だった訳です。(この事は、昨年皆様に対しても説明させていただいたはずです…。)
結果はどうでしょう?良かったのか。悪かったのか…。
幸い?11年産については、V.Z社以外のカサブランカ生産農家は10年産のカサブランカ需要は特殊需要であるという認識を持っていてくれたようで、前年作ってしまった「借り」を少なくとも「カサブランカを買う」という形では返さなくても良い取引が出来た様です。
他品種での代替えが比較的とりやすい、例えば、N.Z産リアルトの欠品をC.H産リアルト(標準球のこと/PUGSではない。)で行うという事は別の品種を扱う事以上に、切花農家にとっては違うものを扱うという事になっていますよね!(失敗だと思います。)
今現在当社が頂いている、Vletter社品種の総受注数は、「推定契約可能球数」の2倍以上になってしまっています。(N.Z産に至っては、4倍以上)「推定契約可能球数」ということは、その後掘り取りの変更/欠品も例年通り起きるという事です。
これでは掘り取り頃になって(6〜8月)から「やっぱりできません」という連絡を入れた時には、有効な代替品種が確保できなくなる可能性が高くて、大きすぎると思うのです。
前記しました様に、11年産は10年産と違い全体の流通数は今現在「ゆとり」があるはずなのです。
問題は、「Vletter社品種の代替として有効な品種・有効な産地の球根」は限られているという事なのです。今ここで「出来ません」とはっきりお伝えしなければ、有効な「次の手」が打てなくなるのでは?と心配しています。
ルレーブ、ノバセンブラ、イエローウィンの受注変更を今行うのも同じ理由です。
以上のような状況から、近日中に受注調整を行います。
よろしくご確認ください。
変更にあたり、有望な在庫が全く無いという状況にならないうちに早めの判断をしていただきたく存じます。
よろしくお願いいたします。品種だけではなく、有望な産地の球根がまだあるうちに…。
適切な例といえるかどうかわかりませんが、「新潟県産早掘」はあくまでも促成作型のみで使う。「新潟県産遅堀」はあくまでも酷暑期を中心にした抑制作型に使う。有望希少品種でも作型を誤れば有望ではなくなる。という事だと思います。
*注意:今回の情勢報告はあくまでも当社の受発注状況の中で発生した問題の報告であり、全体の市場状況をお伝えしているわけではありません。(似通った状況になっている会社もかなりあると思いますが…。)各輸出入業社様の状況は、個々に違っているはずです。
その点ご注意ください。
*参考
10年産産地別確保数(確定) |
|||||
N.Z産 |
ネイピア産 |
1,024,800 |
球 |
||
ラカイヤ産 |
4,155,525 |
球 |
|||
ゴア産 |
315,700 |
球 |
|||
C.H産 |
ロスアンジェルス産 |
313,000 |
球 |
||
バルデェビア産 |
1,088,885 |
球 |
|||
ピュエウエ/オソルノ/ロスアンジェルス近郊産 |
|||||
817,725 |
球 |
||||
7,715,635 |
球 |
||||
11年産産地別確保数(予定)2月18日現在 |
|||||
N.Z産 |
ネイピア産 |
715,500 |
球 |
||
ラカイヤ産 |
5,118,525 |
球 |
(L.A増加) |
||
ゴア産 |
441,050 |
球 |
(L.A増加) |
||
C.H産 |
ロスアンジェルス産 |
273,100 |
球 |
||
バルデェビア産 |
836,650 |
球 |
|||
ピュエウエ/オソルノ/ロスアンジェルス近郊産 |
|||||
405,450 |
球 |
||||
7,790,275 |
球 |
||||
(今後大きく変動予定/C.H産増加予定) |
以上大変長い情勢報告となりましたが、お付き合いいただきありがとうございます。
詳細はお問い合わせください。 森山 隆