平成22年9月15日
お客様各位
株 式 会 社 山 喜 農 園
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球根情勢報告
修正版 |
平素よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。
魚沼地方においては、7月中旬から約50日間続いた高温、干ばつもようやく落ち着いてきました。
これだけ雨の降らない期間が長かったのですから、気象庁の予測がどうであれ、秋か冬にはきっと雨/雪がいっぱい降るんだろうなぁ、と思っています。
ほぼ全国的に草丈たらず、やや奇形化、バッタン病多発など、せっかく百合球根輸入量も需給バランスがとれるぐらいまで減少し、種苗業界から切花生産者、市場、花屋さんに至るまで、一生懸命「百合」という花を大切に扱ってきたのに、ちょっと残念な結果がここ2ヶ月ぐらい続いている様です。
秋の彼岸を迎え、栽培初期・中期に様々なキズをおった百合も大幅に品質を回復してきています。
後半戦はなんとか、来年につながる様な結果が出ることを祈っています。
(それにしても、韓国産オリエンタル、¥20〜¥80という相場が最近ついている様ですが、いい加減何とかならないのでしょうか?)
韓国産百合切花は、球根代と流通費用あわせて50%以上の様々な補助金がついている様ですが、とてもじゃないですが、こんな切花価格に対抗できるものではありません。(ほぼ、販売希望単価の50%補助。
加えてウォン安。)
例えば、韓国が中国に百合切花を輸出しようとする時は、中国はものすごい関税を取るそうです。したがって中国/ロシアともに韓国からの輸入実績はほとんどない様です。(ある韓国の関係者からの話によれば)ちなみに日本は切花輸入に関わる関税0%です。日本は輸出産業振興したい。韓国との農業政策とは随分違います。
花を含む農産物の国際流通は、国策で産業が形成されて流通がなされるケースがどこの国でも一般的です。
(日本の農産物も?)
韓国の百合切花農家の経営規模は日本のそれとほぼ同様です。
経済状況からいって、百合切花の生産原価が日本のそれとさほど違わない国ですから、(ただし球根導入サイズは日本よりはるかに小さい。)他の切花類と違い種苗費を回転させ続けなければいけない球根切花は、農家の資本を固定資産やその他の経費にはまわしにくい、したがって中小規模の農家が組合を中心にして生産が実行され、物流/販売が実行されています。
不思議ですよね? 他の花卉類は国際水準に合わせた、巨大規模の経営を行っている切花生産会社の花が国際流通品となるのがほとんどなのに(すべてでは無い様です)、百合類は国策で補助金が生産費(種苗費込み)の50%以上出ている、生産環境、施設整備、資材、流通費用が国によって支援・支持されている韓国産が、日本市場の輸入量の90%を占めています。
日本の流通屋さんにとって、花屋さん又は量販店にとって、何が魅力なんでしょうか?
(価格はのぞきます。安すぎるOH./OTって必要ですか?)
韓国政府があまり方向性の検討、市場調査をする事もなく産業支援をした結果、他の国からの百合切花輸出がほとんどされない(なにせ中国産すら日本に入ってこない。韓国産が安すぎて)、どちらがいいのかわかりませんが、なんとか韓国の農協や生産者、切花輸出業者にも、「まわりを見て、空気を読んで、」とメッセージは送り続けますけど・・・。
所詮、民間人が民間交流でやっていることなので、どれほど効果があるかわかりませんけどね・・・。
コンタクトするチャンスをいただいている以上、ガンバって続けます。
10月上旬に当社部長は再び韓国に現地研修会に参加する為に行ってくる様です。生産量/輸出量を減らして品質を上げてもらい、百合切花全体の品質向上、商品価値を落とさない支援は続けていきたいなあと考えています。(マレーシアのスプレー菊みたいに全体の商品力/商品価値を上げる様になれば良いのに・・・。)
量を減らした方が収益が維持される、結果、商品品質/時間管理・数量管理などのサービスが向上できれば、それが百合の為であって消費者の期待にこたえる事に長い目でみればつながる事を、自国の百合切花生産量の50%も日本に輸出している韓国の方々には、どうしてもわかっていただきたいと思っています。
ちなみに韓国では花は贅沢品。使うな!という政策がとられていた事が過去にあるそうで、生活の中で花を使うという文化はきわめて少ない国だそうです。
一方、台湾ではびっくりする事に全切花市場売上げのうち38%がO.H/O.T百合切花だそうです。(本数で50,000,000〜55,000,000本)
日本では菊が25〜30%、百合は8〜9%ぐらいなんですが。
さて、中国は台湾並に「百合が大好きな国民」だそうですが、将来、日本や韓国用の球根はちゃんとあるんでしょうかね?そのとき中国は日本に百合切花を輸出してくれますかね?
(台湾/中国/韓国の日本からみた時の立ち位置の差)
堀之内の百合共選も経営者層が一世代かわるぐらいの時間をかけて、少しずつ前進してきています。
ただ作るだけでなくきっと、日本市場のバブル期から現在に至る変化をいつか理解してくれる優秀な共選産地になってくれれば、共存は可能だと思います。
長い前書きとなりました。報告も短めにならない様です。
よろしくお付き合いください。
オランダ産百合
09年産
当社取扱い量 34,636,000球(前年比2.2%減少)※ただしコンテナ事故、廃棄数含む
全国の輸入総量 113,406,000 〜 113,806,000球(前年比3.4〜3.1%減少)
当社におけるコンテナ事故球数を考えれば、例年どおり全国の推移とほぼ同様な動きとなった様です。
1月〜6月のA.H/L.Aの切花相場は他切花品目の流通状況及び絶対生産量の減少の影響により、きびしい経済環境の中で、素晴らしい結果となった。流通に関わるすべての方々に感謝です。
O.H/O.Tの相場についても国産百合切花については、ほぼA.H/L.Aと同じ様な展開だった様に思える。ただし、全国すべての産地にはあてはまらない様子。合わせて、従来輸入切花量の少なかったこの期間の入荷量がやや増加した為、平均販売価格を押し上げるところにまでは至らなかった。輸入切花が安すぎる。
以上、37協力市場様による「百合切花販売状況報告」データからの考察。
7月〜8月についても、A.H/L.Aはすべての産地とは言えないが、概ね堅調に推移した、本年の気象推移の関係から、従来納品精度(時間管理、数量管理)で他切花品目にやや劣る球根切花のはずなのに、一部産地においては、高い品質を維持し、さらに納品精度も向上した。
結果的に1月〜6月同様、良い結果が出ている産地がある様です。
A.H/L.Aの絶対生産量が減少した事だけが価格回復につながったのであれば、それは悲しい話です。
それでは『商品力』の回復とはいえないでしょう。更なる努力が必要だと思います。
「何ができるか」「何をしなければいけないのか」切花産地ともども一緒になって考えていかなければと思います。
くれぐれももうかったから、と無計画な生産量増加は危険です。切花農家のお客様である市場の皆さんは「増やしてほしい」ともう言い始めましたか?
市場の皆様のアドバイスも、必ずしも全国の動きを把握しているとは言い難い場面もありますので、増産を考える方々はよくよく慎重にいきましょう。
(本当は球根をいっぱい買ってほしい、球根屋のやせガマン的発言です。まだもっと球根輸入して良い、といわれてない?)
O.H/O.Tについては、春咲きの低温、6月〜7月の天候回復さらに、8月の異常高温の為、品質がやや
低下し、出荷計画にも狂いが発生してしまった様です。それらの影響は9月のお彼岸直前まで続きそうで、直前には荷物が減少する事になってしまう産地が多く出そうです。9月の切花輸入量は10月の統計までわかりません。
9月後半から年内いっぱいはO.H/O.T切花の過剰流通期」は球根流通状況からみるとおきないはずです。
西日本はいまだ暑い日が続いておりますので、それらの影響がどの様な形で出てくるのかに注目しています。先の事はわかりませんが、新潟より北の産地についてはやっと通常品質に回復してくるのではと思われます。
球根品質
心配していた青カビ/リンペン腐敗は考えていたよりは少ない様です。ブラックノーズも一部マレロ・シーラなどの芽動きの早い品種を除けば、例年どおりかやや少なめとなっています。
球根出庫も残すところ2,000,000球を切ってきました。(内O.H/O.T約400,000球) 9/14現在。
10年産
当社確保数
32,400,000球。昨年9月末日比較 約1.9%増加 昨対確保率93.5% 9/14現在。
当社受注球数 29,700,000球 昨年9月末日比較 約5.0%増加 昨対受注率85.8% 9/14現在。
となっています。やや早目のご注文をいただき大変ありがとうございます。
09年産最終取扱い数に到達するかは今の所わかりません。
10年産南半球産の増加、11年度産南半球産の動向等考えれば、大所の確保は10月いっぱい
ぐらいまで行えば良いかなあと考えています。(掘り取り前という意味)
10年産オランダ産百合球根の作況予測はすごく難しいです。
本年のオランダの天候推移は、4月5月の定植/定植初期は、初期生育の為にはすごく悪かったです。
6月7月の天気は、初期生育の悪さを回復させるのにおつりがくるぐらい良かったです。
8月は低日照、低温、大雨、高湿度の為、作況は再び悪い方に転じています。9月も夜温が下がりすぎています。良くなる理由はほとんど無い様にみえます。
実は、チューリップもそうでした。実際掘り取り収穫が始まった6月下旬〜7月上旬まで、球根価格は上昇しつづけた様です。ところが中旬以降、比較的低温傾向であっても雨量が少ない環境で栽培された球根はオチが少なく欠品が少ないという状況にかわった様です。作況の見あやまりです。
めずらしい。
ドライセールを中心に、世界のチューリップ球根の消費量は先進国を中心に大きく減少し、
過剰流通となってしまった様です。(振興国のドライセール市場はまだ小さい)
百合球根についてはやや回復の兆しが振興国需要に支えられて出てきている様ですが、チューリップはまだまだだめみたい。したがって、その他ドライセール用商材となる球根(ヒヤシンス、クロッカス、水仙など)を合わせて生産している球根農家の経営は依然厳しい又は、まったく経営継続できない水準のままの様です。
切花用途がその消費の大半を占める百合球根は、振興国の消費拡大と、推定される球根生産量とのバランスの関係、そして不透明な作柄状態が続いている為、球根農家から輸出業者に対しての在庫照会はほとんど無い状態だそうです。
この為、球根価格は高止まったままで推移しています。
生産面積の増加と作況予測、世界の消費予測から球根価格が下がることは想定できない状況の様です。
唯一、下げる要因があるとしたら共産圏の国々の突然の政策変更や、南アメリカ経済の突然の失速とか、そんな要因しかない様です。
当社受注数が順調に伸びてきたのに、当社確保数が伸びてこないのは、「怖くて在庫が作れない」
「この球根価格が切花農家の許容範囲の中なのか?」が見えない為です。そういう意味では早目に皆様に動いていただきたいのですが・・・。お願いします。
国産百合
09年産/10年産 次回報告
南半球産百合
10年産
過剰輸入にはならないのではないか? ならないと思っています。
入荷は昨年よりかなり順調 ? そう思います。
着荷時のみてくれの品質は悪くない? 良い様に見えます。
成熟したマーケットで球根業者がとるべき対応をちゃんととれた年となっていると思います。?
できたと思います。
あとは事故無く、品質も安定し、切花価格もうまく売れてくれれば・・・と願うのみです。
そんなにうまくいくわけないけど、うまくいってほしいと願っています。
以上 とりとめなくダラダラとした報告となってしまいましたが、書くときはカナリ、緊張して書いた情勢報告でした。詳細はお問い合わせください。
以上
森山 隆
P.S. 9月中旬から11月上旬にかけて、09年産オランダ産百合球根からの抑制試験栽培が順次開花してきます。
これらの球根は春/夏で試験した球根と同じ輸入箱から抜き取った球根ですので、まったく同じでは無いですが、基本的には同じ物といえます。
春以来、話題となっている病気の発症状況及び対策のヒントが得られる試験になると思います。
さらに春/夏試験の数百品種分も、現在箱内球根養成中です。いままであまり話題にしていませんが、そちらもぜひみてほしいです。今までと違う目線でみてください。
今回のオランダ出張報告期間に新たに得た情報は、とても文章に出来ません。口頭にてご説明いたします。
高温の為、品質はあまり良くなく、草丈も短いですが、みるべきポイントがいっぱいある試験となっています。最新の品種を中心に約270品種の試験栽培となります。
是非お越しください。(酒量を減らしたいので、夜の接待は減らします。ごめんなさい。)