平成22年6月25日
お客様各位
株 式 会 社 山 喜 農 園
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球根情勢報告
平素よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。
4月6日以来の情勢報告となります。
新潟県魚沼地方もようやく今の季節らしい天候となってまいりました。
昨年より約3〜4週間遅れての消雪(4月20日過ぎ!!)、5月の低温・低日照、1ヶ月以上続いた干ばつ(寒いのに!)。ようやく6月以降日差しが差し始めて、雨も降ってくれました。
堀之内からの百合切花出荷も始まった様です。
当社試験栽培も、4〜7日遅れて、順次開花が始まっています。
透かし百合/L.Aは、6月15日〜17日くらいに満開を迎え、(夜がまだ涼しいので今でもまだ残っています。)大勢の方々より見ていただき、ほっとしています。
育種会社毎の品種・特性・傾向が際だって確認出来た様です。生産性だけではなく、消費レベルでも、有益な情報整理が新たに行えた、収穫の多い年となった様です。
O.T/O.Hも咲き始めました。(26日に「フォーエバー」。今年発表された純白O.T系。150haもライセンスが販売された品種が開花すると思います。ただし、2015年頃から流通予定ですが‥‥)
早生系O.T/O.H全般の見ごろは6月28日〜30日頃。
中手O.Hの見ごろは7月3日〜6日頃。
中手から晩成系については7月10日頃までが見ごろとなります。
大勢の皆様からお越しいただきたく、よろしくお願い致します。
(まずは、見学にはちょっと早いのですが、6月25日PMより9〜11市場6産地合同研究会から本格的なO.T/O.H研修会のスタートです。十分な案内が出来るか不安ですが、精一杯頑張ります。)
今年の試験の特徴は、「早生系白O.H」と「3〜5年後のO.T」(思ったより早く有望種が出てきそう。)について、おもしろい話題提供となるのかなあ?と感じています。
6月29日〜7月3日の期間は4件の育種会社の方々・複数の輸出会社の方々が、訪問される予定です。彼らの「目線」にも注目しています。(この期間には是非、他輸入業社様にもお越し頂きたい。)
今回の情勢報告は、5月期/6月期のオランダ出張報告が中心となります。よろしくお付き合いください。
5月期の旅行は、おもに品種確認と球根マーケット動向の調査が主な目的です。今回は、他2件の球根業社様と同行して行ってまいりました。今年は球根取り引きが開始されたのが非常に早かった為に、現地のムードはどんな物かを確認するのみとなりました。
今年のオランダは、例年に比べて寒い為、圃場での球根栽培状況は何も確認できない年となってしまいました。
「畑には植え付けられていても、地温が上昇していませんから、まるで冷蔵庫の中で、芽伸ばしをしているのと同じ様な状況だった様です。」
この気象条件ですから、キョーケンホフのリリーパレード開催期に合わせて新発売の品種を咲かせるのには難しい年だったわけですが、育種会社の皆様は、本当に努力されて、ある程度は間に合わせてきた様です。過去3〜4年のショーで「その開催時にベストの品質を見せることがコンテスト部門で高い点数を取る方法という事で、健闘していた会社の品種が選に漏れ、ちょっと低迷していた会社がベスト品質をタイムリーに供給できたおかげで上位にランクされた様です。
2Nコンディションの特徴を上手に使ったフレッター社やオリジナルグループなどは、すばらしい復活を遂げた様です。
くれぐれも誤解しないでください。このショーでの審査は品種の優秀さを競うよりも、「その時点でのベスト品質」の方に重点を置いています。(納期が大事。みたいな物?)
通常コンテストの上位は、育種会社によって占められ、輸出会社のブースは、良くて6位くらいから…というのが常でしたが、育種会社よりも上位にランクされてしまった年となっています。
輸出会社が展示している品種は、複数の育種会社から花を集めてくるわけですから、こういう年は有利なわけです。(育種は生産色が強い・輸出業社は流通色が強い。こんな場面でもその特徴が良く出ました。)
2002年から9年間、毎年欠かさず、6月のオランダの育種会社の動向調査に行くようにしています。(5月のショーには、もう24年も続けて訪問しています。)今年のショーは、そういう意味では、ショッキングな目新しさはありませんでしたが、それなりに面白かったです。
6月期の旅行は大変面白い旅行です。
必ず6月第1週の週末に合わせて行く様にしていますので、定点観測となります。(こちらも9年連続になりました。)
圃場調査と育種会社の動向調査が目的です。今回は現地合流した方も含めて、4件の輸入球根取り扱い会社の方と1件の農協職員の方をご案内しました。
初めてオランダを訪問された方は1名のみ。但し6月期のオランダに出張したことがある方は私を含めて2名のみです。(何年オランダを見てきても4名にとっては初めてのオランダという意味です。)
1982年に、私の父が始めてオランダに行った時、オランダを案内してくれた会社の若手職員もメンバーの1人です。ちなみに、私の父を案内してくれた方は、その会社の社長さんになっています(父は4年連続案内してもらいました。そして必ず6月期に案内してもらっていました。)
6月のオランダは、日本の球根業社の目の色が変わります。
別の飛行機で後から帰る方が、空港での別れ際に「自分の常識は世の中の常識だけど、世の中には別の常識があって、それも世の中の常識だったのに気が付けた。もっと早く来ていれば良かった。」と言ってもらえたのは、同じ目線で見てくれる仲間が増えたという気持ちになり、大変うれしかったです。(但し、皆がライバル会社なので強敵を作ってしまうことになるんですが…。)
シーズンの遅れの影響は5月期同様まだ続いていました。育種会社の温室で実際は花を見ることはほとんど出来ない年をなってしまいましたが、彼らが今、そして今後5〜10年間、「誰を見て」「誰の為に」「どんな事を」「どんな情報に基づいて」、作業を行っていくか、「ショー」で見る完成品では知りえない今後予測されるプロセスが目の前にあるわけです。百聞は一見にしかず、まさにその通りなわけです。それを感じて頂けただけでも十分だったと思います。
幸い、230種類の育種会社選抜過程の品種が、当社の隔離温室で開花し、日本の気象条件の中で選択されていくわけですから、これからそれらの品種の花を日本で見る事も可能なわけです。(今回参加してくれた方は皆、新潟にも来てくれる様です。)
きっと、南半球産での百合球根生産にあった品種の開発も日本のどこかの温室が日本のマーケットに合わせた育種選抜に使われるときが来るはずです。
まだまだ日本のマーケットは見捨てられていないはずです。
めまぐるしく変化する経済動向や、オランダ産球根品種・生産状況・品質傾向など、難しい課題を抱えた出張でしたので「おもしろくないかなあ?」と思っていましたが、喜んでもらって本当に良かったです。
圃場調査もいくつかの目的を持って望みましたので、新たに得られた物、理解が進んだこともあり、良かったです。
オランダ南部地区が、1週間〜2週間前後地上部生育遅れ
東部地区が、2週間〜3週間遅れ
北部地区が、1年栽培でほぼ平年並み、2年栽培で1週間遅れだった様です。
その後、新潟魚沼地方同様、天候もやや回復して、オランダにおいても地上部の生育は随分進んだとの事ですが、南部地区を案内してくれた輸出会社の営業担当の職員の調査によれば、上根の発根量は、6月18日の段階で、昨年の5月23〜25日頃のステージにしか進んでいないとの事です。
地上部の生育ばかり進んで地下部の遅れとの差を解消出来るかと言えば、かなり難しい様子です。
暖かくなってさらに光も欲しいけれど、今、急に温度上昇すれば相当なストレスを与える事にもなるので、「今年も難しい年だなあ〜」と言うボヤキが入りました。
こんな年なので、凄く分かり易かった事がありました。
どの様な生育ステージの木姿で最大日長期を迎えるか?
球根養成圃場における、1年栽培のボリュームと2年栽培のボリュームの差は歴然としています。
これも「百聞は1見にしかず」その差を見てもらえて良かったなあと思いました。
ここ2年間苦境の年を経験している、新潟県の自家球根養成・自家切花消費を行なっている県内切花農家の皆様は、割と想像しやすいと思いますが、(当社木山産・津南球球根を使われている方も含む。)今年のオランダ産は、春先のストレスを随分くってしまっています。
(ただし、新潟産と違うのは、オランダの球根生産は、夏・秋の気候のメリハリが新潟の様に激しくならない事も予想できますので、回復のチャンスは残っているはずですが‥‥)
8月下旬から9月上旬にかけてもう一度調査に行ってきます。(この次は1人で行く予定です。)
今後も注意しながら、情勢をお次ぎ致します。
乱文にお付き合い頂き有り難うございました。
詳細はお問合せください。
よろしくお願い致します。
森山 隆
以上