平成22年4月6日

 

お客様各位

株 式 会 社  山 喜 農 園

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球根情勢報告 修正版

 

 

 平素よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。

 

 昨年1216日以来の情勢報告となる様です。

 この5ヶ月間の長い冬眠期間の中で、何も起きていなかった訳ではございませんが、めまぐるしい情勢の変化の中で、中々考えがまとまらず、文章に書く事を避けておりました。

 

 暮れから春のお彼岸という重要な花販売期を経て、例年よりもかなり遅れている様ですが、魚沼地方も、後2.5〜4週間位で消雪をむかえる様です。(昨年より2〜3週間遅れています。但し、切花はそこまで遅くなりません。念の為。)

 

 そろそろ10年産オランダ産百合球根の注文期に入ってきます。

 今回は、オランダ産百合に関わると思われる情勢を、中心にお伝え致します。

 相変わらずの乱文で、上手にまとめられず、意図した事を伝えきれるかどうかわかりませんが、ちょっとお付き合い下さい。

 

 

国産百合

 

 

 09年産

 新潟県産遅堀・小清水産抑制栽培用。

  きっと「力が無い」。注意して慎重に使いましょう。

 

 10年産

 赤塚地区(新潟下越地区・砂丘地産。)

  定植開始、もうすぐ終了。

 小清水・新潟山間地産。

  定植は例年通りから、やや遅れる見込み。

 

 

南半球産百合

 

 

 09年産

 日本全体(9月8日輸出業者からの聞き取りにより。)

  

A.H/L.A

O.H/O.T

合計

   N.Z

2,940,850  72.9%

 13,409,350  64.7%

16,350,200  66.1%

   C.H

 1,094,500  27.1%

  7,302,140  35.3%

   8,396,640  33.9%

  合計

 4,035,350 100.0%

 20,711,490 100.0%

  24,746,840 100.0%

 

 ※植防データによれば

   N.Z

16,497,975   66.6%

   C.H

  8,261,138   33.4%

  合計

 24,759,113  100.0%

 若干の誤差はあったが、ほぼ一致している。

 

 当社の状況

  

A.H/L.A

O.H/O.T

合計

   N.Z(64.6%)

1,280,175  74.7%

 3,510,400  61.5%

4,790,575  64.6%

   C.H(35.4%)

   433,375  25.3%

 2,195,382  38.5%

  2,628,757  35.4%

  合計

 1,713,550 100.0%

 5,705,782 100.0%

  7,419,332 100.0%

 

 入荷の傾向としては、O.H/O.Tについては、07年産をピークに、08/09と2年連続輸入量が減少した。(日本全体。)

 08年産の減少は、リーマンショックからくる世界同時不況の影響。

 09年産の減少は、N.Z産・C.H産共に、作況の悪さと、生産数の計算間違いによる所の欠品と思われます。

 当社の場合、発注ピーク時から比べた時の取扱率は、約94%となっており、相当数の「品種変更」・「サイズ変更」・「産地変更」に、対応頂きましたが、まずまずの納品率となった様です。(当社の場合、前年より取扱い数が7%増加していた。日本全体でも取扱率は、発注ピーク時の96%なので、各輸入業者様の欠品対策は、たいしたものだった。日本へは欠品率を少なくして、諸外国は多くしたのかもしれない。)

 

 参考 日本の南半球産百合球根輸入(推定)

  

A.H/L.A

O.H/O.T

合計

   07年産(推定)

1,300,000

 24,027,000

25,327,000(欠品後)

   08年産(推定)

3,200,000

 21,144,000

24,344,000(欠品後)

   09年産(推定)

4,035,000

 20,711,490

24,746,840(欠品後)

   10年産(予定)

3,046,800

 23,992,565

27,039,365(欠品前)

 

 球根品質については、例年に比べて、N.ZO.Hは力が弱かった様に思います。

 A.H/L.A/O.Tについては、まずまずでは、なかったかと思います。

 

 C.HO.H/O.Tについては、各産地毎に若干差はありますが、平均して比較的輪付きも良く、特にPUGSコード販売分については、遅い作型で力を発揮したのではないかと感じています。

 A.H/L.Aについても、昨年よりはよかったと思います。(N.Z産には劣りますが…。)

 

 当社の場合、欠品対策におわれる中、結果的に

 

N.Z

日本全体

C.H

日本全体

 A.H/L.A系の国別入荷割合を

74.7%

72.9%

25.3%

27.1%

 O.H/O.T系の国別入荷割合を

61.5%

64.7%

38.5%

35.3%

 という、割合での確保が出来ました。

 

 又、取り扱ったC.HO.H/O.Tの中のPUGSコード販売分のシェアも、約59%まで高める事が出来ました。

 PUGSコード販売分については、球根価格もやや高く、取り扱っている輸出業者さんもどちらかといえば、日本市場よりも、北南米・他アジア諸国に軸足をおきつつある会社なので、交渉は難しかったのですが、「高くても良い球根を!」の方針を、貫いた結果です。

 日本全体傾向よりも、A.H/L.AN.Z産を多めに、O.H/O.Tは、C.H産(PUGS分)を多めに、出来たという事です。

 

 09年産の産地別品質傾向を考えれば、これで良かったと思います。

 そういう意味では、欠品後の修正も悪くないですね?(今年は品質向上の為に機能した。)

 

 本年の日本の気象条件の悪さは、なんといっても日照量・日照時間が例年より少なかった事ではないかと思いますが、更に、昨年比:1525%位の燃油代の上昇等もあり、収益性という意味では、良い年となったかどうかはわかりませんが、厳しい経済情勢の中では、産地の生産を支える販売努力を、市場・花屋さんにして頂けたのではと、感じています。

 本当にありがとうございます。

 

 

 10年産

 データ的には、2月11日 主要輸出業者からの聞き取り調査となっておりますので、ちょっと古くなってしまいますが、

 

 日本全体では

  

N.Z

C.H

合計

   A.H/L.A

  2,500,000  82.0%

    546,800  18.0%

   3,046,800

   O.H/O.T

15,648,450  65.2%

  8,344,115  34.8%

  23,992,565

  合計

18,148,450

  8,890,915

  27,039,365

 となっていました。

 すでに2ヶ月近く過ぎていますから、数字は変わっているはずです。

 

 4月2日現在の当社の状況は

  

N.Z

C.H

合計

   A.H/L.A

  1,106,150  83.8%

    214,250  16.2%

   1,320,400

   O.H/O.T

4,496,600  67.5%

  2,163,900  32.5%

   6,660,500

  合計

5,602,750

  2,378,150

   7,980,900

 

 10年産の南半球産球根は、昨年までと比べると球根価格も上昇していますので、中々輸出業者からの提示価格に同意する事は、精神的にきつかったです。(日本の切花市場情勢を考えれば。)

 揺れてはいけない気持ちは「品質重視」。

 これしか無い訳です。

 

 本年は、今の所A.H/L.Aは昨年同様N.Z産を中心に、O.H/O.Tは昨年とは逆に、ややN.Z産を中心とした仕入れを行ってまいりました。(N.Z産標準作予測・C.H産低温傾向不作予測。更に、PUGSコード生産分 2年栽培面積減少、1年栽培が増加との情報により。)

 

 又、C.HO.H/O.T系の中のPUGSコード販売分の割合は、昨年より日本市場にとっては、更なる仕入環境の悪化がある為、約40%まで下がってしまっています。(C.H産の取扱い予定数も、減少してしまう。)

 

 この状況を踏まえて、N.Z産比率を始めから高めておいた訳です。

 

 取引期間中、十分な説明がお客様に対して、出来ていたかどうかはわかりませんが、この様な仕入状況の中で、

 4月2日現在  確保数 7,980,900

         受注数 7,753,100

                在庫数   227,800     となっています。ありがとうございます。

 

 この後、ご説明するオランダ産百合球根の流通状況に大きく関わってきますが、日本全体も当社も、南半球産を増加させたい年となっています。

 当社の場合  約7.5%発注数増加(4月2日現在)(08/09で、すでに7%増加していた。)

 日本全体    9.2%発注数増加(2月11日現在)(08/09の増加率が少なかった。)

 あまり大きな欠品がこない事を祈っていますが、毎年欠品が無かった事は、ありませんね…。

 

 

オランダ産百合

 

 

 09年産

 主要輸出業者からの最新の聞き取り調査によれば、日本全体では3月末日現在 約113114,000,000球の球根が、発注確保されている様です。

 08年産の輸入量は、約117,400,000球程でしたから、「やや減少」というか、ほぼ横ばい程度の入荷量となる様です。

 最終的な数字がどうなるかは、すでに球根出荷が始まって、5ヶ月を過ぎようとしていますが、まだわかりませんけれども、もしかしたら「中国」の輸入球数が、「日本」のそれを初めて、上回る年となるかもしれません。

 他のアジアの国の元気の良さは羨ましい限り、日本にとっては厳しい取引が続いております。

 当社の場合、約34,500,000球発注確保されており、数字的には昨年対比 約97.5%と日本のそれとほぼ同じ動きとなっている様です。

 

 4月2日現在の在庫数は、約250,000球程度しか無く、例年の同時期と比較しても異常な少なさとなっています。

 経済状況を意識して、出来るだけ過剰な在庫を作らない様、努めていますので「これで仕方ない」と思う反面、「売上がおちる」・「品質不良が出たら、代替はどうしよう?」とか、大変悩み深いです。

 

 すでに対象となるお客様へは、ご案内させて頂いておりますが、2006年以来、久しぶりのコンテナ流通時(海上輸送時)の過冷却事故が発生してしまいました。(今の所、40FEETコンテナ×2本です。)

 1本は養成球が中心のコンテナ、もう1本はイエローウィンが中心のコンテナでした。(イエローウィンはただでさえ、取扱いが減っているのに…。今回の事故の見極めは、経験の少ない人では、わからないと思いますよ…。)

 

 これで思う事は、ある程度在庫が作れる商売取引環境は、やっぱり必要だなと思います。

 

 現在、海上コンテナのまま、お客様の所に納品するというケースが増えてきています。

 これは、特定の需要に対して荷物を集約して流通経費を少しでも下げ様という考え方です。

 

 間違った考え方では、ないと思います。

 

 ただ、「その人の」・「そのグループの」・「その時期に使う球根」が、全部駄目になってしまったら…と思うとぞっとしてしまいます。

 コスト削減とリスクヘッジの考え方、このバランスはどこで取るべきなのか、考えさせられます。

 

 09年産百合球根の輸送は、本当に難しいです。

 ここまでの5ヶ月間で、平均約42日間の輸送日数がかかっています。

 来年に向けて、大幅な改善(速度UP)は、期待出来ません。(南半球産消費量が伸びる最大原因。)

 別の船会社を使えば、運賃は約¥90,000〜も安く(当社とNYKの契約は、為替管理方法により、他社よりやや高め)、速度も6日間位早くなるのです。(来年に向けて、いくらか変更がある様に聞いていますが…。)

 

 保険料率の見直しも検討しようかと、考えていた矢先でのこの事故です。

 

 運賃の見直し・保険料率の見直しで、下げられる原価はここまで安くなってしまった球根の場合、割合的には、びっくりする位大きいのですよ!(具体的には口答で。)

 

 まだ、悩んでいます。どうすべきなのかと…。

 

 09年産オランダ産百合球根は、品質面ではその栽培時気象条件により、07年産/08年産よりも、おとる様な気がしています。(前半戦は絶好調ですが。)

 

 くれぐれも注意していきましょう。

 

 

 10年産

 09年産の球根発注期は、4月〜6月の3ヶ月間が、第一期発注期だったといえると思います。

 その3ヶ月間で、約25,400,000球の球根を発注確保しました。

 最終取扱い予定数の約73.6%の確保率だった事になります。

 その時期の受注球数も、約19,900,000球程のご注文を頂いておりますので、約58%位の受注率だった様です。(総取扱い予定数に対して。)

 

 昨年は後半戦、価格上昇・不作による所の欠品という年でした。

 10年産はどうなるのでしょう?様々な情報が飛び交っています。

 

 ここまでの所の当社の判断は、価格が上昇しようが、後半下がろうが、まずはしっかり必要だと思う品種・サイズ・コンディション・農家の球根は、しっかり確保しておこうという事です。(いつもの主要輸出業者から。)

 3月末の確保数としては、05年産/06年産に匹敵する球数になっています。

 割合では、90年代前半並の、早期発注率となっています。

 

 09年産は、昨年の3月23日現在 オランダ球根農家と輸出業者間の取引は、約180,000,000球終了していたそうです。(この時、日本はほとんど球根を買っていなかった。)

 10年産の場合、同日比較で、約550,000,000球分の取引が、終了しているそうです。

 これも90年代に戻ってしまった様です。

 当然、良い農家の良い球根から売切れていく訳ですから、早めの対応をするしかないのだという事です。

 

 ちなみに、09年産の南半球産の取引時期は、2月末〜3月末位が第一期発注期で、受注期もそれにほぼ準じていました。

 本年の南半球産の取引時期は、発注期は1月上旬〜2月上旬が第一期発注期であって、ほぼ最終発注期でもありました。

 受注は、1月/2月中に大きな山があって、3月はほぼ調整の為の受注だった様に思います。(現在までの受注数の96.5%が、受注ピーク時に集中している。)

 ここまでの所、この動きで大正解だった様です。

 ご理解頂いたお客様へは、ただ感謝です!

 

 07/08/09年産 オランダ産百合球根 当社取扱分の中の、P.O社・V.Z社、両社の占める割合は、約80%強となっています。

 これら2社の対日市場を占める割合も、相当高まってきている様です。

 

 10年産についても、大きな仕入れ方進の変更はありません。

 

 日本も、山喜農園も、重要な3番目の供給業者を作れなくて悩んでいるのです。

 

 その他の輸出業者との、絶対取引球数の減少の中で、各社から有利性を引き出す(アンフェアではないGive and takeのバランスを維持した取引で)事は、段々と難しくなってきています。

 

 他国での需要の増加が、取引の難しさを益々加速させている様にも感じます。(少数の輸出業者の寡占率が高まるのは、世界の球根切花先進国において、例外なく同じ構造となっている。)

 

 一方、「取引の安定感」・「支払に対しての責任感」という点においての、日本市場の評価の高さは、依然魅力的な様です。(日本の球根業者の意地っていうやつですか!

 

 まだまだ、日本マーケットでのシェアを価格ではなく、品質で勝負する会社を何とか伸ばしてやりたいものです。(明らかに、利益にはしっている会社もあるんですよ…。みんな、辛いです。)

 

 P.O社・V.Z社は、昨年9月〜本年2月にかけて仕入れた早期確保分を中心に、対日市場にまわしてくれた様です。(私達に仕入利益をくれた様なもの=今のオランダの球根相場と比較すると。)

 

 一方、同時期に仕入れても、今日現在の上昇してしまった価格しか、提示してくれない会社もありました。(他国がその価格で買うから。)

 仕入れが2〜3週間遅れてしまった輸出会社も、価格競争力が無かった様です。(品質が良いから高いのではなくて、ひたすら契約したタイミングの問題。)

 

 3月末現在の当社発注確保数は、約25,000,000球となっています。

 受注数については、まだ価格表発行前なのですが、すでに約10,500,000球のご注文を頂いております。(ありがとうございます。)

 

 当社、早期仕入分のFOB価格(現地渡し価格)は、必ずしも1番安い価格では、仕入れられなかったかもしれませんが、一方で、大幅に相場上昇してしまった価格だけという訳でもございません。

 

 取引の安定性を維持し、品質向上を目指した仕入れを行ったつもりです。

 

 昨年より取引時期が早まってしまって、申し訳ございませんが、早めの対応を宜しくお願い致します。

 

 毎年、同じ様な事をいっていますが、今年の取引環境は、25年近くもオランダ産球根を買ってきて初めて経験する年となっています。(ここまでの所。)

 

 

 詳細はお問い合わせ下さい。

 

 

                                            森山 隆