平成21年7月30日
お客様各位
株 式 会 社 山 喜 農 園
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球根情勢報告
2009年オランダ産百合栽培面積表送付にあたり
平素よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。
「2009年オランダ産百合栽培面積表」が発行されました。
例年通り、品目別・色別に当社独自で分類した資料が完成しましたので、お送り致します。
宜しくご参照下さい。
まだ十分な分析は行っていませんので、この栽培面積表の動きが、球根市場にどの様な影響が出るかはわかりません。品種・品目によっては、予想と違った動きとなっている物もありましたが概ね当初からいわれていた状況になったようです。
いくつかの品種の動きは、注意すべきかなと、感じています。
品目ごとの動き
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AH |
17.62% |
減少 |
96.38 |
ha減少 |
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L.A |
24.85% |
減少 |
244.19 |
ha減少 |
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AH/L.A合計 |
22.25% |
減少 |
341.57 |
ha減少 |
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推定 |
170,785,000 |
球減少 |
(昨年43,600,000球減少) |
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*生産者が1人しかいない、又はその他の理由で、面積の動きが公表されていない品種の |
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面積は、15.2%減少。32.45ha減少。(全体の減少率よりは少ない。品種更新を薦めたいポイント) |
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A |
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鉄砲百合 |
39.43% |
減少 |
19.01 |
ha減少 |
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L.Oハイブリット |
68.38% |
増加 |
20.83 |
ha増加 |
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鉄砲/LOA合計 |
2.30% |
増加 |
1.82 |
ha増加 |
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推定 |
910,000 |
球増加 |
(昨年11,525,000球減少) |
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*生産者が1人しかいない、又はその他の理由で、面積の動きが公表されていない品種の |
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面積は、1.4%増加。0.1ha増加。 |
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B |
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O.H |
5.78% |
減少 |
83.52 |
ha減少 |
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O.T |
2.98% |
増加 |
7.49 |
ha増加 |
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O.H/OT合計 |
4.48% |
減少 |
76.03 |
ha減少 |
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推定 |
28,891,000 |
球減少 |
(昨年86,000,000球減少) |
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*生産者が1人しかいない、又はその他の理由で、面積の動きが公表されていない品種の |
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面積は、16.9%増加。25.16ha増加。(この増加がくせもの。品種更新を薦めたいポイント) |
@A.H/L.Aの動き
・黄色:計75.95haの減少。減少率28.2%(昨年49.8haの減少)色別シュア率19.1%
AH/L.Aの栽培面積の中の黄色シェアは19.1%と、再びシェア率を下げ、日本の需要する色バランスからいけば、かなり少なめとなっている。
世界市場の減少・縮小の規模は不明だが、日本が必要な品種は絶対買いだと思います。
・ピンク:計28.46haの減少。減少率17.5%(昨年48.6haの減少)色別シェア13.3%
昨年の減少率はもっと大きかった。08年産オランダ産ピンクA.H/L.Aは相場が下ったにせよ売り切れたのが早かった為なのか、減少率は黄/オレンジ(アプリコット)に比べれは少ない。昨年既に減りすぎていた?
・白色:計37.75haの減少。減少率14.0%(昨年26.17haの増加)色別シュア率22.9%
日本においては、それほど重要な花色ではないが、びっくりする事に、色別シェアで、22.9%と最大となっている。クーリア・エルコラノ・ブライトダイヤモンドなど注意。
・赤色:計23.0haの減少。減少率13.9%(昨年6.38haの減少)色別シェア14.1%
日本においては、それほど重要な花色ではない。
モンテネグロ・ファンギオが再び減少。バティステロ・サルピス増加。オリジナルラブの面積が目に付く。
・オレンジ:計63.81haの減少。減少率23.1%(昨年23.85haの増加)色別シェア21.0%
O.タイクーン・R.トリニティ・ブルネロ・トレザーの減少が目に付く。アプリコットの減少と合せて考えれば危機的状況。
日本が必要な品種は絶対買いだと思います。
・アプリコット/バイカラー:計80.15haの減少。減少率45.1%(昨年2.59haの減少)色別シェア9.6%
ヨーロッパ市場と日本市場では、アプリコットとオレンジの色の分類が違う。
オレンジとアプリコットを合せた減少率は、極めて高い。要注意。日本向けの品種は絶対買いです。
※バイカラーの面積推移を別記すると、アプリコットの減少率は50%を超える。
トータルでの減少率の大きさに驚き、黄色/オレンジ(アプリコット)の動きに衝撃を受けた。
O.H/O.T黄色には影響はないのか?
A鉄砲百合/L.Oハイブリットの動き
鉄砲百合については、ほぼ全面的に減少。
白系オリエンタル・白系A.H/L.Aとの関連か?
鉄砲百合の激減の穴を埋める形になるのが、L.O/Lハイブリット(鉄砲百合とO.Hをかけて、更に鉄砲百合をかけた。)のホワイトトライアンフ。
球根農家、切花農家、花屋さんの為にも、この動きは正解だと思う。
※フランスにおける鉄砲百合の球根生産状況は、全くわからない。
この品目は、ヨーロッパの量販市場の動きに大きく影響される。
BO.H/O.Tの動き
・ピンク:17.97haの減少。(昨年24.82haの減少)
昨年のソルボンヌの減少は予想を遥かに超えていた。(17.86ha減)それでも球根価格が下ったのは08年産南半球産の過剰感と景気の影響。09年産はニュージーランド・チリ・フランスの面積減少を考えれば面積増加とはいえない。価格は強い上昇傾向を示している。
ルレーブ・ロンバルディア・メデューサは減ってくれました。(減り過ぎでない?)
この花色は注意が必要。(価格、より上昇気配。品切れ気配。)
・レディピンク:2.01haの減少。(昨年43.6ha減少)
昨年の減少を考えれば、この動きは納得。品種更新が最も進む花色だと期待しているが、まだまだ準備不足かも?
シイラはV.Z社独占から一般農家への生産移行中。09年以降は増加予定としていたので、予定通り。不作が既に予測されている。為流通数は横ばいから、やや減少となる様です。
6月20日以降〜10月末日位で、有効と思われるオールスターという品種を、試験導入してはいかがでしょうか。(オールスターはピンクです。ジャスティナは夏場に栽培する事が難しいので、その代わりです。到花日数は長いです。)
W.アルベルティ・シイラの品切れに注意。
・レッドピンク:15.92haの減少。(但し、ロビーナ・ドナトをこのグループに入れると10.7haの減少。)(昨年25.84haの減少)
日本にとって、それほど重要な花色ではありません。
中国、台湾、ベトナムなどの他のアジア市場が、この花色の価格形成に影響を与えています。価格は中々下らないようです。
・赤色/白色:29.05haの減少。(昨年102.72haの減少)
日本にとって、それほど重要な花色ではありません。
北ヨーロッパ市場、北米・南米市場にとって最も重要な花色です。
鉄砲百合/ピンクA.H/L.A同様、量販が大量に消費していた品種が、減少してきています。
量販が設定した切花仕入価格に、切花農家が合わせて球根を買おうとすれば、球根農家は完全に逆ザヤとなってしまいます。
世界の最先端をいく、高度園芸の極みの様な、オランダの球根農家すら耐え切れません。
日本の量販には、一般花屋さん並みに高い品質の切花を、高級品として取り扱う、「差別化販売」を行って頂ければ、本当にありがたいです。
日本の切花農家も「安い物」を量販に売るのではなくて、「良い物」を「良いタイミング」で納品して欲しいです。
イギリスやアメリカの量販の様な、馬鹿な失敗はやめましょう。
この花色は、昨年激減しました。価格が下ったソルボンヌが大量にこの花色の穴埋めの為に使用されました。
結果ソルボンヌの市場規模は大きく広がったことになります。09年産ソルボンヌの品薄の最大の原因と考えられます。
・黄色/白色:9.72haの増加。(昨年6.67haの増加)
この花色は到花日数の長い品種が多い為、南半球産の生産が伸びてきません。
合わせて、冷凍保管性に優れた品種が多い為、オランダ産が増加したのではないかと思います。(こういう考え方は好きです。利にかなっている。)
日本において消費は少ないですが、ヨーロッパ高級花市場では、安定的に消費されている花色です。
それにしても増えすぎだと思います。
・赤:0.06haの減少。(昨年2.88haの増加)
レイクキャリー・モンテズマの増加が目に付きます。
世界的には、赤/白の代わりに増加が求められている花色の様です。
コルバラは晩成ですが、モンテズマは早生です。
この花色において、日本にとって最も重要な品種はビビアナかと思いますが、08/09でも栽培面積は増えていません。
V.Z社にしては、珍しく球根価格を下げきれていないのは、この生産面積の動きによるところと思われます。
・白:50.49haの減少。(昨年63.66haの減少)
カサブランカ開花球の減少は、予測より少なかった様です。(但しTYSでグループ分けされている農家は5〜6件に限定されているので価格の動きはない。)
養成球面積は激減している。来シーズン以降への影響が怖い。
リアルトの生産面積維持は失敗だと思います。
昨年の赤/白淵オリエンタルの減少を思い出します。ヨーロッパ、アメリカのスーパーマーケット向け品種に大きな減少が起きています。(アルマアータ・ヒルベティア・マザーチョイスなど)白オリエンタル系の中ではどの品種が次のスーパー向け品種になるのかまだわかりません。白系については慌てなくて良いと判断していましたが、各国の消費品種が微妙に違っています。先が見えにくいですが、やはり注意していたほうが良いのだろうと思います。
・その他/花色不明
コメント無し。
・O.Tハイブリット:5.49haの増加。(昨年14.5haの増加)
レッドピンク同様、他のアジア諸国・メキシコなどの動きが価格形成に影響を与えています。彼らにとって重要なコンカドールの面積減の影響は大きいようです。
セラノが人気が出てきた様で売り切れ気配です。
昨年大幅に面積を減らしたイエローウィン(9.31ha減)。今年増えているように見えるのは、ニュージーランド、チリ、フランスの栽培面積がオランダに戻ってきただけ。全体での減少傾向は変わらない。そろそろ減りすぎかもしれない。強い価格上昇傾向を示しています。
ニンフ減少:そういう訳で、球根価格は上昇気味。
グルーワイン増加:増え方が足らない。球根が足らない。
※まだまだ有望種の面積増加が足りません。
08/09年産では、まだまだ当てになりません。
もうちょっと時間がかかります。
O.Tの育種が話題になっていますが、本年〜来年あたりに発表される品種は90年代前半から中盤のL.AハイブリットのB.T系ワールドブリーディングのロイヤルシリーズくらいの進化レベル。まだ、A.HからL.Aに大きな変革を起こす様な(O.HからO.Tへ)品種群は出てきていない。やはり後3〜6年くらいはかかりそうです。
栽培面積が公表されていない部分の面積シェア率が、開花球全面積に対して12.3%から13.8%に増加している。これを、404.89haの一つの品種群と考えた時(O.H/O.Tで推定171.62ha)その面積は、ソルボンヌやシベリアの面積より大きくなる。
この品種群の動きに注目していきたい。
*昨年の7月24付け情勢報告「08年産オランダ産百合栽培面積表送付にあたり」をもう一度確認してみてください。
世界恐慌以前に行った分析ですが、今の状況と比べていかがでしょうか?
宜しくご確認ください。
以上
森山 隆