平成21年5月29日
お客様各位
株 式 会 社 山 喜 農 園
新 潟 県 魚 沼 市 原1280-1
TEL. 025-794-2455
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球根情勢報告
平素よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。
久しぶりの情勢報告です。
当社Home Pageの履歴を改めて確認してみますと、ここ2〜3年の「球根情勢報告」は多くの場合、価格表ないし在庫表発行時に、合わせて報告させて頂いているケースがほとんどで、球根生産流通動向などの報告に、重点がおかれていた様です。
情勢報告以外でHome Pageに載せる記事では、「百合切花」の消費宣伝に関わる事が増えていたのかな、と感じています。
球根面積統計や切花市場統計、球根/切花の輸入状況、38協力市場様の百合切花販売状況など、お客様の必要とされる情報や使われ方もそれぞれの立場で、少しずつ変わってきている様です。
切花農家・球根業者・農協・市場・(買参人)・行政・金融関係・外国の方々に、後日感想を聞くと見方の違いに、驚き・新鮮で勉強になる事も、増えた様な気がします。(当社Home Pageには、英語バージョンはありませんが、約8%が海外からのアクセスとなっています。)
特に切花農家においては、各々の地域ごとに、経営方法ごとに、必要な球根が違う様に、必要な情報も変ってきている事を強く感じています。
情報のニーズが多様化してきていますから、正直な所「私の個人的な意見」はあまり書かない方が良いのかなあと思う時もあります。
そんな訳で、最近ではコメントを少なめ・数字情報を多めに、情報の使い方は使う人の、見る人の、例えば農家の方々であれば、各々の営農経営判断で、「その使い方は任せる。」という方向になりがちだった様に思います。
こういう世の中ですから「必ずこうなる」という事は、全く言えません。
ちょっと寂しいです。(本当は自分の日記みたいなもので、その時々の「気持ち」や「考え」を残しておきたいとも思っているのですが…。)
良かった事も増えてきました。
毎月載せてある「日本及び当社の百合球根流通状況」という報告は、以前から書式はほとんど変えていないのですが、見てくれる方が増えている様です。
特に、他の輸入業者様から頻繁にCheckして頂いている様で、時々球根マーケット情勢等の意見交換を行なわせて頂く事により、全国の輸入状況との関係性がより鮮明に解るようになってきたと感じています。
切花産地の皆様も、「産地間交流」の重要性が増してきている事を実感されていると思いますが、球根業者間も全く同じ事の様です。
私共の地元 JA北魚沼 堀之内花卉園芸組合のHome Pageが立ち上がる時、若干アドバイスをさせて頂いた事があります。
「産地を伝える5ヶ条+(1)」を決めよう!
@売らない事
A口説かない事
B記憶する事・記録する事
C伝える事
D続ける事
※E謙虚であれ(一年後に「俺も生意気だけど、お前らも生意気だ。」という酒の席での喧嘩の後、話はHome Pageにまで飛び火して付け加えられた1か条。」
「球根情勢報告」を書き始めて17年、Home Pageを立ち上げて約7年が経過しました。
この間、全く国語力も文章力も進歩しませんでした。(中村農園様のレポートを読んで、解りやすい・凄いといつも感心させられます。)
Home Pageを作ってくれている当社部長の方針で、「修正」は許すが、「1度載せたものは消さない。」(そういうわけで、全部過去の履歴が残っています・・・。)
過去の文章を時々読み返すと「穴があったら入りたい。」・「赤くなったり青くなったり。」本当は、「頼むから消してくれ。」という事が一杯です。
「それでも続ける事」が大事でしょう。
今回も宜しくお付き合い下さい。
2009年百合試験栽培について
1995年から始めた試験栽培も今年で15年目を迎えました。
試行錯誤を繰り返して、辿り着いたポイントは、
@育種家・球根農家・球根業者・切花農家・市場・買参人・末端消費者、それぞれの立場で見方が違う事が解りました。
自分達の見極められるのは、「どこの立場までか」を、常に意識する事。
「その人が欲しい物は何か?」
A「根」の強さ弱さ、「球根」の強さ弱さ
気象条件・栽培条件、作型の違う全国の切花農家に共通にお伝え出来る特性はこの2つ。
(葉焼け・生理障害・輪付き・到花日数も調査整理しますが、基本的には当地の気象条件下におけるデータにしかならない。)
大なり、小なり答えは「根」に行き着きます。
これからも1品種ごと・1箱ごとの手灌水で管理を続けて行く事で、有益な情報整理が出来ればと考えています。
本年の栽培状況は
@07年産抑制試験切下球
まずまずの品質。
A07年産オランダ産 春/夏開花試験後箱内球根養成球。(08年産国産球という位置付け。)
過去最悪の出来。
国産球でも、球根が駄目ならこれだけ酷くなるのかという事がよく解ります。(なぜ駄目なのかの原因は、ちゃんと把握できているのが救い。昨年5月に、3回あった5℃以下の気温に遭遇した為、根が死んでしまった、温度変化に耐えられない。土作りの失敗が大きい。)
B08年産オランダ産球根 隔離栽培品種/免除品種。
まずまずの出来となっている。
※隔離栽培側には、O.Tの色物が入り始めています。(注目すべき色。)
それぞれの見頃は以下の予定となっています。(天候により見頃は変わります。)
1.6月12日(金)透かし百合/L.Aオープンデー
2.6月25日(木)切下球 O.H/O.T系・08年産オランダ産 早生O.H/O.T系オープンデー
3.6月30日(火)08年産オランダ産
中手O.H系オープンデー
4.7月 3日(金)08年産オランダ産 隔離栽培試験オープンデー
5.7月10日(金)国産球・08年産オランダ産
晩生O.Hオープンデー
5月のリリーパレード展示会とは別に、6月のオランダ研修・輸入業者の出張が増えてきている事に気が付いていますか?
当社の試験栽培・隔離試験では、きっとそれに近い情報が見付かるかも知れません。
大勢の皆様より、お越し頂きます様、宜しくお願い致します。
オランダ産百合球根
近年の輸入状況(21世紀以降)
@北南半球産 全体輸入量(オランダ産+ベルギー産+ニュージーランド産+チリ産)
日本全体の輸入状況
当社の輸入状況
(北半球産)+(南半球産) (北半球産)+(南半球産)
01年産 |
163,743,000球 |
92 |
47,100,000球 |
93.5 |
1※02年産 |
177,735,000球 |
(100) |
50,300,000球 |
(100) |
03年産 |
174,185,000球 |
98 |
51,300,000球 |
102 |
04年産 |
164,958,000球 |
93 |
49,900,000球 |
99 |
05年産 |
167,390,000球 |
94 |
50,872,000球 |
101 |
06年産 |
164,557,000球 |
92.5 |
48,251,000球 |
96 |
07年産 |
157,221,000球 |
88.5 |
45,019,000球 |
89.5 |
08年産 |
2※ (140,844,000球) |
(79) |
3※ 42,283,000球 |
84 |
08年産 |
2※ (144,344,000球) |
(81) |
|
|
1※21世紀以降での輸入数のピークは02年産。この年から見た時の動き。
2※08年産の輸入量は推定値。オランダ産の輸入量が確定していない。(輸出業者からの聞き取りにより1.165〜1.2億球とした。)
3※08年産の輸入量は予定値。オランダ産の輸入量が確定していない。
日本全体で21世紀のピークから見ると約19%〜21%の減少となっている様です。
A北半球産のみ(オランダ産+ベルギー産)
日本全体の輸入状況 当社の輸入状況
01年産 |
158,743,000球 |
96 |
43,519,000球 |
98 |
1※02年産 |
165,838,000球 |
(100) |
44,396,000球 |
(100) |
03年産 |
162,103,000球 |
98 |
46,330,000球 |
104 |
04年産 |
148,879,000球 |
90 |
44,023,000球 |
99 |
05年産 |
147,101,000球 |
89 |
43,416,000球 |
98 |
06年産 |
142,474,000球 |
86 |
41,503,000球 |
93 |
07年産 |
131,894,000球 |
79.5 |
38,284,000球 |
86 |
08年産 |
2※(116,500,000球) |
(70) |
35,380,000球 |
80 |
08年産 |
2※(120,000,000球) |
(72) |
|
|
1※21世紀以降での輸入数のピークは02年産。この年から見た時の動き。
2※08年産の輸入量は推定値。オランダ産の輸入量が確定していない。(輸入業者からの聞き取りにより1.165〜1.2億球とした。)
3※08年産の輸入量は予定値。オランダ産の輸入量が確定していない。
日本全体で21世紀のピークから見ると約28%〜30%の減少となっている様です。
91年の花卉園芸卸売市場業界の売上はおおよそ3,800億円。(統計が始まった年。)
98年 〃 のピークでは4,200億円。(統計開始後、売上げのピーク。)
03年 〃 のおおよそ3,437億円。(01年以降の輸入百合球根流通数のピーク。02年産の球根が消費された年。)
07年 〃 のおおよそ3,370億円。
08年 〃 の推定は
3,050億円。(農水のHome Pageによれば、6月中旬頃発表の見込み。)
市場の売上げは、そのピークから見て30%近く売上げが減少しています。
最近「日本農業新聞」5月21日・5月22日の将来予測、「1,300億円の減少。」にもビックリしましたが、「卸売ベース」で1,100億円強落ちているという事は、小売ベースでは過去10年の間に、推定2,000〜2,500億円ほどの売上げが、落ちている計算になります。
農水の予測は2025年には、小売ベースで個人消費分が1,300億円減少する、となっている様ですが、業務マーケットは増加するという分析も同時にある様です。(2,000〜2,500億円相当の売上げの減は、個人消費と業務需要の両方合わせた数字と考えてよい?)
卸売市場の売上げの推移については、最近まで話題になっていませんでしたね。
みんなで考えてみませんか?
市場外流通が過去10年間に10%規模が18%位になったという話があります。(推定420億円→610億円)
これは「卸売額ベース」で考えるべきなのか?
それとも「小売額ベース」なのでしょうか?
80年代初頭の市場売上げがどの位だったのかは正確には解かりませんが、最近の市場売上げは、その頃の規模に戻ってしまったのではないかと、感じています。(トヨタ自動車の生産台数みたいな話。)
しかも80年代前半は、オリエンタル系百合(そもそも生産が無い、まだまだ若造です。)アルスロメリア・トルコキキョウ・ガーベラ・スイートピーなどは、統計には入らないレベルの品目だったと思います。(大手種苗業者様の見解。)
現代では、これだけ重要になった花材が、当時はほとんど無くて、既存の花材だけで今の売上規模と一緒だったのですよ!
ここ10年間の売上げの減少は、昨年9月以降の金融ショック、世界同時不況による不振とは、別の問題として、考えないといけないと思います。
問題の整理を行わないで、先には進めません。
今回の不況で唯一我が産業にとって追い風なのは、
@皆が慎重にならざるをえないという事。
Aアメリカ型資本主義、拡大路線だけが正しい方向性ではないのではないか?という事を、関わる業界の方々が、考え始めた、という所ではないでしょうか?
過去10年間の検証が、重要だと思います。
実態を可能な限り正確に把握して、「何が求められている。」・「何をしなければならない。」、そして何より
「自分は何が出来る。」・「自分は何が出来ない。」のかの見極めをつける。
次の時代に向う変換点である事を承知して、皆で前に進んで行く為の、1つのキッカケにはなるなあと思っています。
明るい光は簡単には見えませんが、何をすれば良いのか、何が出来ないのかが解かれば、結構スッキリしませんか?
08年産
08年産オランダ産百合球根の品質は、ここまでの所は良い様です。
概ね7月一杯は、品質安定した球根が供給されると思います。
8月出庫のいつ頃からかは解りませんが、ブラックノーズ、輪付きの減少等、07年産と似た症状が発生するのでは?と心配しています。
当社在庫数は残す所、約55,000球。(えらい少ないですね。本当にこれでいいのかな?)
最終の入荷(オランダ出港)も迫っています。
早々に最後の調整を行なって下さい。
8月25日以降出庫作型 L.A/A.H、9月15日以降出庫作型O.H/O.Tについては09年産南半球産での対応をご検討下さい。(地域により、早期使用時期は異なる。)
09年産
生産状況及び作況
08年産の養成球の品質は、力があるかないかはともかく、良く充実していて芽も大きく揃っている。
3月以降〜5月までの気象条件は、百合球根初期生育の為には、良い天候であった。
良いスタートがきれた事はプラス要因だと思います。
これで夏が暑くて、秋の気温がちゃんとメリハリのついた温度推移をしてくれれば、良い球根が出来ます。
4月のヨーロッパは、記録的な暖かさだったそうです。
この季節はずれの暖かさは、くせ者で南ヨーロッパ・フランスでは「ヒョウ害」が発生し、農産物に大きな被害が出ている所もあるそうです。
作況という点では良いスタートをきった様ですが、生産の現場は相当厳しい話が多いです。
BKDにより収集され、P.Tによって発行される正式な栽培面積の発表は、7月以降となりますが、民間の球根取引仲介業者(CNBやHobahoの様な仕事をしている。)の栽培農家からの聞き取りによれば、かなりの面積が減少すると言われています。
フランス産の栽培面積もほぼ同様に、減少傾向となっているとの事です。
加えて、5月10日前後にフランス北部で降ったヒョウ害の影響で、40〜60haの百合栽培圃場で大きな被害が出ている様です。(正確な被害状況は未確認。E-mailで写真だけは見せてもらった。)
この被害は、世界のオリエンタル系百合全体の需給バランスに少なからず影響を与えると思います。
(どこかの切花産地に「雪が降った。」・「台風がきた。」なんてもんじゃなさそう?)
※5月27日AM0:30にある輸出業者からとんでもない情報が入ってきました。
「毎年7月にBKDにより収集され、P.Tによって発行されていた栽培面積表に大きな誤りがあった。」・「約10件の球根農家の栽培面積がもれていた。」との事です。
今回、TELにて報告された誤差は、以下の様な内容です。
各年のBKD発表面積
修正報告された面積 誤差 登録農家数
04年 |
3,714ha |
3,715ha |
+ 1ha |
418人 |
05年 |
3,843ha |
3,844ha |
+ 1ha |
380人 |
06年 |
4,179ha |
4,180ha |
+ 1ha |
360人 |
07年 |
4,234ha |
4,240ha |
+ 6ha |
333人 |
08年 |
3,875ha |
4,209ha |
+334ha |
302人 |
09年 |
未発表 |
未発表 |
|
※277人 |
詳細は後日追加報告するとの事です。
08年の栽培面積の修正報告があまりにも大きすぎる。
もしこの報告が事実なら、07/08で減ったと思っていた面積はたいした事はなかったのか?(31haの減少は、減少とは数えられない。)
今回の民間調査の08年産/09年産の面積推移予測にも、若干疑問が出てきます。
しかしながら、昨年のオランダ産球根流通実態は、
@08年産オランダ産球根が売れなくて、圃場廃棄された。
A経済低迷の影響で、それでも価格が下落した。
輸出業者は、仕入を控え在庫を作らなかった。
B掘り取り後、作況が良くなくて必要品種が不足した。
又は、大きく欠品した。慌てても手遅れ。球根が手配出来なかった。
C主要11輸出業者の平均仕入球数は、前年対比10%以上減少している。
栽培面積が減っていなかったのならば、これらの現象は作況が悪かった為に起きた、と言う事でしょうか?
自分が認識していた百合球根栽培農家数と約80件位、誤差があります。
確認を取った所、切花農家、又は関連企業が実際には、別の球根農家で委託栽培する時も名前を登録する為、認識されている栽培個数よりも、多くなっているのだそうです。
「30%の農家個数で、70%の面積が、栽培されている」との事でした。
農家個数が急速に減少している傾向には、変わりありません。
受発注状況
当社の状況(5月28日現在。)
発注数(各年の5月末) 受注数(各年の5月末) 最終取扱い数
05年産 |
35,600,000球 |
31,105,000球 |
43,416,000球 |
06年産 |
29,734,000球 |
27,060,000球 |
41,503,000球 |
07年産 |
23,459,000球 |
15,845,000球 |
38,284,000球 |
08年産 |
24,376,000球 |
19,986,000球 |
±35,380,000球 |
※09年産 |
20,100,000球 |
※12,000,000球 |
未定 |
※09年産は5月28日現在、前年総取扱い予定数量の約57%発注確保。
A.H/L.Aは前年総取扱い比、約55%。
但し、主要品種の、ロイヤルトリニティ・セラダ・セベコデジール・ビューソレイユ(ロイヤルトリニティ並みの価格になる。)・サムール・パビア・セベネス等は、昨年対比80〜100%の確保率となっている。
理由は黄色・ピンクの栽培面積の減少。
A.H オレンジの栽培面積は大幅に減少と予測。
白系はゆっくり仕入れます。
※5月15日以降、5%〜16%(現地の相場)の価格上昇が起きている。
O.H/O.Tは前年総取扱い比、約58%。
但し、主要品種の、カサブランカ・ソルボンヌ・シイラ・イエローウィン等は、昨年対比70〜90%の確保率となっている。
理由は栽培面積の減少。
シベリアは昨日ようやく仕入方針を決定した。
※ソルボンヌの価格上昇が始まっている、約6%。(現地相場。)
シイラ16/18・18/20(仕事のしやすい価格になったのに、予定流通球数は増えていない。)、イエローウィン18/20は、農家レベル/輸出業者レベルで、すでに売切れている。
05年産から09年産の発注速度・受注速度の変遷を見れば、今年は慌てて確保決定する年ではない様に見えますよね?
今年の球根市場動向は、言葉や文章でそのニュアンスを伝える事が難しいです。
あえて、自分の考えを書きます。
@世界消費の冷え込み・日本の消費の冷え込み・各地で確認され始めている支払遅延等、球根業者も怖くて、球根が買いにくい。(多分切花農家の皆様も同じでしょう。)
A09年産南半球産のセールスの、最終結果はまだ解りませんが、世界市場ではやや不足気味となっているとの事。(08年産オランダ産不足の影響が大きい。)
B私は、主要品種が、品薄になる事を心配しています。
だから、主要品種の仕入率が、5月末の段階で大きくなっているのです。
「これだけは必ず確保しなければ。」という仕入れを行ったつもりです。
主要品種の現地価格は、昨年並みからやや高めのスタートとなっています。
C幸い円高の為、南半球産同様円貨ベースの球根価格はあまり高くはありません。
但し、先行きの為替変動がどうゆう方向に向うのか全く解りません。
「当社部長の分析は\100〜\169まで可能との事。」=それってどういう事?
D「主要品種を先に押さえて下さい。」今、お客様に聞かれたら、まずその様にお答えしています。
「どの位?」と聞かれたら「限りなく必要量の100%近く。」と答えています。
※注意
昨年までの使用数100に対して、80〜90を100として下さい。(ここが一つのポイント。)
Eなぜ?
世界中の生産者が保守的傾向となっている。
新しい品種を導入する意欲が減ってきています。
「中心」と言われる品種の面積が、北半球産・南半球産を合わせると減っている様に感じているのです。
F古い品種は、控え気味に仕入れています。
マルコポーロ・シンプロン・アクティバ・ロンバルディア・ウィレクアルベルティなど。(メデューサだけは、ちゃんとおさえました。)
これらの品種が、本当に必要な作型しか使用されなくなると思うから。
G直近の人気品種・高価格品種は?
高くとも可能な限り確保しようとしています。
高くとも人気品種・人気産地・人気コンデションの球根は先に売れるのです。
例えば、09年産でも400EURO以上になるであろう品種。(ブルレスカ・グラシア・シグナム・レクサス・その他特殊O.Tなど。)
TYS・MAK・MAK TL・2N・2L・NES・NO.40・SESなどの特殊コンデション。
H3〜4年前の新品種で、「悪くはないのだけど。」・「使い道もある。売り方のメドも立っている。」・例えば、マレロ・ストライカー・リド・カルーソ・ジャスティナ・サンナ・マウレナ・ペントハウス・シェルブルグ・サンテンダー・モンテズマ・オールスター・ホワイトエクスプレス・レイクキャリー・レイクミシガン・エンジョイ・マーベル・エナジー・L.Aの新品種群など、良さそうなのですが「ちょっと球根が高いよね。」、という品種。
これらの品種の今後の価格動向が解らないのです。
球根の過剰感は、薄らいでいるので、早く買った方が良いはずなのに、これらの昨年まで360EURO〜400EUROクラスの球根を消費出来そうなマーケットが、日本だけでなく世界中で見付けられないのだそうです。
Iこれらの品種のうち、どの品種がそうなるのか解りませんが、昨年までの価格帯から1.ソルボンヌ △10% 2.ソルボンヌ
+10% 3.ソルボンヌ +25% 4.ソルボンヌ+35%位の価格帯に、変わってしまう可能性が出ています。(ソルボンヌNES18/20は250EURO前後。)
L.Aの新品種群においても、145〜175EUROの価格帯で流通していた物が、125〜135EURO(大体ロイヤルトリニティ14/16価格帯。)。
この様な価格構成になった時、球根の消費はどの様に変わるのでしょうか?
J昨年まで早期に購入していたこれら新品種群の動きが見えなくて、仕入れられないでいるのが、総発注数が伸びてこない理由なのです。
そして価格表が作れない。
お客様に「早く買って下さい。」と、言い出しにくい理由なのです。
いっけん、受注・発注が進んでいない様に見えますが、実はかなり取引きが進んでいる様に感じています。
このマーケット情勢は18〜25年の経験がある輸出業者の営業/仕入担当共、経験が無いそうです。(あたり前ですよね。100年に1回の不況下なのだから。)
慎重にいってほしいです。
周りをよく見てほしいです。
進める人は進んで下さい。
そんなアドバイスしか出来ません。
今年は昨年の価格表発行(すでに例年より1〜2ヶ月遅かった。)より、更に遅れてしまいました。(でも昔はもっと遅かった。)
今の所「いつ頃」出せるかの、メドが立っていません。
それでも発行される前から、いつでもスタート出来る様に、準備しておいて下さい。
日本全体
埼玉の大手切花グループはすでに、90%近くまで発注を進めたそうです。
さすがです。
当社の57%発注率も日本全体の平均よりは、進んでいると聞いています。
一般的には、40〜50%位の状況の様です。
主要品種については、遅くとも7月上旬位までには、75%〜80%(過去8年間では、少ない年で50%、多い年で77%。平均は65%)位まで受発注共に、進んだ方が良いと思っています。(仮に、後半価格が下る品種が出たとしても。)
南半球産百合球根
08年産
日本の南半球産百合球根の輸入量状況 当社の輸入状況
99年産 |
1,500,000球 (財務省統計確定値) |
1,350,000球 (確定値) |
00年産 |
3,000,000球 (
〃 ) |
2,450,000球 ( 〃 ) |
01年産 |
5,000,000球 (植防統計確定値) |
3,500,000球 ( 〃 ) |
02年産 |
11,897,000球 ( 〃
) |
5,600,000球 ( 〃 ) |
03年産 |
12,082,000球 ( 〃 ) |
5,000,000球 ( 〃 ) |
04年産 |
16,079,000球 ( 〃 ) |
5,850,000球 ( 〃 ) |
05年産 |
20,289,000球 ( 〃 ) |
7,450,000球 ( 〃 ) |
06年産 |
22,083,000球 ( 〃 ) |
6,750,000球 ( 〃 ) |
07年産 |
1※ 25,327,000球 ( 〃 ) |
1※ 6,738,000球 ( 〃 ) |
08年産 |
1※ 24,344,000球 ( 〃 ) |
1※ 6,883,000球 ( 〃 ) |
09年産 |
1※2※3※ 26,500,000球 (主要輸出業者からの聞き取りにより) |
1※3※
7,697,000球 |
1※07年産以降、A.H/L.Aの輸入が始まっている。
2※09年産の輸入量は5月28日現在の推定確保量で、実際の輸入量はいつも少なめとなっている。
3※09年産の球数は現在までの確保数で、実際の輸入量はいつも少なめとなっている。
南半球産の輸入傾向分析は、難しくなってきています。
近年の状況だけに絞ってお伝えすると、日本全体で
A.H/L.A O.H/O.T
06年 |
約0球 |
約22,083,000球 (推定値だが、かなり正確) |
07年 |
約1,300,000球 |
約24,027,000球 ( 〃 ) |
08年 |
約3,200,000球 |
約21,144,000球 ( 〃 ) |
09年 |
約4,150,000球 |
約22,350,000球 (まだ不正確です。実輸入球数は減少すると思います。) |
06年以前は、A.H/L.A球根の輸入はほとんど無かったはずです。
07年産が南半球産O.H/O.T系輸入の、ピークの年となる様です。(また景気が良くなれば…今は、我慢、我慢。)
日本全体での、O.H/O.Tの年間流通数と、冬場の高コスト栽培等を考え合わせれば、21,500,000球〜22,500,000球のO.H/O.T輸入量は、適正な範囲といえるのではないかと思います。
今後、適地・適作・適品種という昔からある当たり前の考え方が、もう一度再認識されれば、南半球産球根のO.H/O.Tは、もう少し北半球産とのバランスで減っても良くなる様に思います。
南半球産A.H/L.Aについては、まだ若干増加スペースを残している様にも見えます。(但し、無計画な生産販売をするのなら辞めてほしい。)
「百合だけで切花相場は決まらない。」と、よく言いますが、「だから好きな様に好きなだけ」、という理由にはならないのでは?
やっぱり考えた方が良いでしょう?(それで競争力のある計画的な商品・協調性のある魅力的な商品と、いう評価が得られれば、百合切花産業の強みになれるのでは?)
作況
ここまでの所、あまり悪いニュースは入ってきていません。
6月以降、A.H/L.Aの掘り取り結果が出始めます。
数量変更情報には、スピーディに対応頂きたく存じます。
欠品・サイズ変更が無い事が1番良いのですが…
宜しくお願い致します。
当社在庫状況
A.H/L.A
190,850球 確保数の
11.2%
O.H/O.T
198,950球 確保数の 3.2%
いくらか追加で購入する事も可能な様ですが、めぼしい品種は輸出業者側に残っていません。
又、特にO.H/O.T系の売れ筋品種は、欠品等の可能性も高いのでよくよく注意しておいて下さい。
宜しくお願い致します。
国産百合球根
08年産
ちょっと力が無いかな?
昨年5月の低温は本当に効いています。
09年産
去年に比べたら、数倍ましな、スタートをきったと言える。
作も品質も良くなってほしい。
且R喜農園の現取締役世代の最後の大きなハード面の投資は、「原点回帰」・「国産への回帰」の為の作業場です。
頑張りたいです。
以上、長い長い情勢報告でした。
詳細はお問合せ下さい。
森山 隆