平成20411

お客様各位

株 式 会 社  山 喜 農 園

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球根情勢報告

 

 

 

2008年産オランダ産百合球根生産及び流通市場動向について

 

 

 

平素よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。

 

当初予定では、3月下旬頃には、第一版価格表発行を予定しておりましたが、様々な理由でもう暫らく時間がかかりそうです。

大変申し訳ありませんが、暫らくお待ち下さい。

 

 

現地作付け状況

3月下旬より作付けが始まっているのですが、季節はずれの降雪などもあり、かなりゆっくりめのスタートとなっている様です。定植の遅れは、肥大の為・輪付きの為には大きなマイナス要因です。

 

球根流通状況

07年産オランダ産の過剰生産、08年産南半球産、チリ産の過剰感(同じ南半球産でも、N.Z産は栽培面積が少なく使用作型がはっきり認識された使い方がされている為、過剰感は無い様子)から「球根はいくらでも有る」というのが、世界の球根消費国での今の雰囲気となっています。

 

実際、世界各地の切花生産国、及び生産された百合切花が消費される国の経済状態等を考えると、「時間をかけて考えたい」というのも、当然だなあと思います。

 

ご承知の通りEURO/円の関係は円安となっておりますが、EURO/ドル、及びドルの影響を大きく受ける国の為替も同様にEUROに対して弱くなっています。(アメリカ本国・台湾・中国・南アメリカの国々など)

 

イギリスのスーパーマーケットを主たるマーケットとして生産を伸ばしてきたケニア(アフリカ大陸)などは、取り引きを仲介する会社がEURO圏の会社なので、EURO/ポンドの関係もポンド安となっている為、「果たして生産された物をイギリススーパーは本当に買ってくれるのか?」という心配をしているような情勢です。

 

その生産方法から(ほとんどが露地栽培)燃料高騰の影響を比較的受けない国々も、世界経済の影響を受けているのだなあと思いました。

 

過剰生産による大損失・天候不順・世界経済不透明感、これだけ要因が揃えば作付けも減ってくれるでしょう。そう願っています。

 

現在までの仕入方針

 

透かし百合

LAと合わせると、07/08年産で過剰感の解消は期待できない。

全体的には、球根価格は安目にスタートして、後半の値上がりの可能性も少ないと考えますが生産が無くなるというケースに注意が必要です。「あくまでも品質重視」でいきます。

 

例えば、08年産は「モナNO.40」のみの扱いとし、その他のロットは扱いません。日本全体の入荷量は当社扱いを含めて約600,000球となる様です。黄色は過剰気味となる様です。

 

「リガタ」については「VZセレクト」とし、4系統あったロットのうち「2ロット」のみ限定的に扱います。日本全体では、当社扱いを含めて390,000球しかありません。

 

ベイトリックスとブルックリンはほぼ生産停止と考えて下さい。トレザー、ブルネロは価格が相当下ると思います。

代替品種は、ベンフィカ、バリトンとなると思います。そのバリトンの面積も昨年より約2.5ha減少するという話です。使用サイズ、作型などは問い合わせ下さい。

 

オレンジはある程度需給バランスがとれます。(日本が主に使う品種についてのみ。)

 

白、赤、ピンクの品種については、大きな品種変更、面積変更おきないと思います。ビバルディは生産停止だそうです。全体的にやや過剰です。

*注意:南アメリカはL.Aから透かし百合に回帰するという話がでています。

    理由は、L.A14/16の単価が払えない。透かし百合の9/1010/1212/14サイズに戻ってしまう。(採花率等考えれば賢明な判断とは思えないのですが…。)

 

LA百合

透かし百合と合わせて過剰感の解消は期待できない。

黄色=過剰です。

ピンク=そんなに過剰感はありません。

白=やや過剰です。(南アメリカマーケットが使う球根サイズを下げるので、14/16サイズに余裕ができる。)

オレンジ=透かし百合と合わせてまずまずバランスが取れています。(日本が主に使う品種についてのみ)

赤=適当です。

 

南半球産LAの栽培面積増加等の影響があり価格下げ圧力が強いです。(勿論オランダ球根農家がそれに気づいて定植しないという事も考えられますが、まだ流動的なので、途中で情勢が変わります。随時情勢はお繋ぎします。)

 

全体的には安く始めて、後半の値上がりも少ないと考えていますが、生産が無くなるというケースに注意です。「良い品種から」ではなくて「良い農家の球根から」仕入れたいと考えています。

 

 

鉄砲百合 未調査。

 

 

OHOT百合

生産状況は品種品目によって様々です。私個人的には「早く確保したほうが良い年」となるのではないかと考えています。特に新品種系、古い品種系、特殊コンディション系は早めの買いです。

唯一慌てなくて良いのは、ソルボンヌEVRとシベリアEVR・ロビーナ・ノバセンブラ・コンカドール・マレロくらいだろうと思います。

 

 

 

 

 

代表的な品種の各年の当社仕入価格推移(FOB価=当社仕入価格)

 

 

年産

適応レート

年産

適応レート

年産

適応レート

年産

適応レート

年産

適応レート

年産

適応レート

年産

適応レート

 

 

02

\120

03

\130

04

\135

05

\138

06

\143

07

\156 /\153

08

\151 /\154

 

サイズ

期首価格

取引後半

期首価格

取引後半

期首価格

取引後半

期首価格

取引後半

期首価格

取引後半

期首価格

取引後半

期首価格

取引後半

R・トリニティ

14/16

141

135

163

163

130

127

135

145

135

148

135

135

125

 

16/18

162

160

220

163

125

145

142

145

148

150

150

149

150

セベコデジール

14/16

112

138

125

128

126

125

115

126

118

135

122

120

112

セラダ

12/14

160

165

160

160

125

128

120

120

115

115

98

84

80

パビア

12/14

160

160

160

160

135

135

110

127

120

110

110

90

90

クーリアー

14/16

220

230

190

190

86

110

115

104

116

125

115

130

113

サムール

14/16

114

130

105

85

86

105

115

115

110

130

113

105

110

カサブランカEVR

20/22

425

430

325

305

340

570

495

595

480

290

275

230

265

カサブランカEVR

22/24

530

530

350

360

370

690

595

670

530

340

315

250

300

カサブランカTYS

20/22

-

-

-

-

-

-

-

-

-

-

-

-

280

カサブランカTYS

22/24

-

-

-

-

-

-

-

-

-

-

-

-

330

カサブランカTL

20/22

385

385

315

315

375

400

625

610

570

530

310

270

300

カサブランカTL

22/24

440

440

350

380

395

450

675

675

625

590

360

360

340

ソルボンヌEVR

16/18

386

390

325

200

270

363

325

350

320

265

235

170

205

ソルボンヌEVR

18/20

500

500

335

215

295

370

360

400

350

335

300

190

245

ソルボンヌTL

16/18

420

420

240

250

275

310

355

385

355

280

280

205

225

ソルボンヌTL

18/20

531

515

240

255

295

435

390

458

400

400

330

255

275

シベリアEVR

16/18

314

225

235

175

245

270

325

370

320

240

238

180

200

シベリアEVR

18/20

400

250

210

225

220

280

350

420

355

280

280

190

240

シベリアTL

16/18

346

250

255

220

260

370

360

420

380

355

255

180

205

シベリアTL

18/20

430

290

200

250

270

412

385

450

395

360

310

250

255

イエローウィン

16/18

694

694

370

380

190

260

240

240

215

125

170

195

200

イエローウィン

18/20

800

800

490

490

210

290

255

250

255

250

185

225

240

アクティバEVR

16/18

450

450

310

260

245

290

275

286

270

150

200

200

215

アクティバEVR

18/20

560

560

390

290

250

288

290

288

285

190

230

220

250

アクティバVZセレクト

16/18

-

-

-

-

-

-

-

-

-

-

-

-

215

アクティバVZセレクト

18/20

-

-

-

-

-

-

-

-

-

-

-

-

245

ロンバルディア

18/20

490

490

295

170

225

275

285

268

250

195

200

235

230

シイラEVR

14/16

455

455

325

325

260

260

280

280

280

280

300

300

270

シイラEVR

16/18

625

625

450

450

425

425

435

435

435

435

435

435

380

シイラEVR

18/20

720

720

550

550

460

460

475

475

475

475

475

475

360

メデューサ

16/18

280

280

255

210

240

280

300

330

280

175

175

165

195

ルレーブ

16/18

290

280

325

290

305

280

295

325

305

195

205

135

195

クリスタルブランカ

16/18

635

635

440

275

350

385

460

460

395

330

230

200

クリスタルブランカ

18/20

800

800

560

350

465

465

590

590

495

380

350

230

クリスタルブランカ

20/+

800

800

560

350

465

465

647

647

560

475

350

285

ノバセンブラ

18/20

660

630

615

470

415

460

325

480

450

450

445

410

420

ノバセンブラ

20/+

-

-

645

570

475

475

485

545

520

520

510

510

460

W.アルベルティ

18/20

625

626

430

405

295

320

300

345

290

185

218

235

250

 

    代表的な品種のオランダ渡し価格=FOB価(球根生産者価格と直結している)過去6年間の動きを載せてみました。

 

*それぞれの年の期首価格/取引後半価格とも、あくまで「当社仕入価格」であり、定価ではありません。

08年産の価格は現在交渉中の価格であり、「当社仕入れ価格」ではありませんのでご注意下さい。

取引後半に価格が上昇する年と、後半に下降する年が、分かれていることが解ると思います。順序からいけば、08年産は、取引後半には価格上昇する年となるはずなのですが…。南半球産の生産増加の影響で、必ずしも法則通りにいくかどうかわかりません。

 

90年代後半から「EVR」「TL」などのロット差別化に取り組んできましたが、今年はさらにその傾向を強めようと考えています。

*モナ「NO.40」          |  原母球の素性・種球の履歴がはっきり判っている球根・

*リガタ、ルレーブ、アクティバ「V.Zセレクト」 |  畑品質など、見た目だけではない。

*インディアンダイヤモンド「D.Jセレクト」

 

*カプレット「ES」(エクストラセレクト=カプレットの場合木子養成ロットは扱わない。輪ペン養成球からの生産球のみ)

*カサブランカ「TYS」(ワールドフラワー社・オリエンタルアンダイク社・バルガー&ブランク社・一部ブラウワー社・一部エチテルト社・ホップマン社の生産球根で、EVRコンディション品質の、輪ペン23作球に限定したロット。「2作は養成球のみ」多輪多葉ロットの混入を防ぐ。)P.O社・V.Z社・D.J社・J.W社との共同作業で行なっています。

*シベリア「MAK」「MAKTL」=08年産はP.O80%、Z.P20%の取扱いバランスになる様です。

*各種「TL」「2N」=使い方を間違わないように。

*各種「EVR」=「セールストーク」でこの規格を勝手に使ってしまった輸出入業社が多すぎますね。2度とこのような状況は作りたくないと考えています。

 

そして新たに、ソルボンヌEVRのロットの選別を強化した「ES」=「エクストラセレクト」

EVRのコンディションに加えて近年問題になっている例の病気を可能な限り無くしたロット。

P.O社、V.Z社に依頼して開発中です。この2件の輸出業社が取引する56件の農家の球根のみです。

 

6/9月に私自身で圃場確認して正式に決定するつもりです。(良かったら研修旅行に参加してみませんか?新潟の球根農家/球根業社の「畑の見方」はオランダ人にも負けない事を見てください。)

 

 この規格は暫らくP.O社とV.Z社のみで行なう予定です。勝手に農家数・ロット数を増やされたら堪らないからです。(訳の解らない輸出入業社が扱うと、標準球と同じになってしまう。)

 

 3年先、10年先も「一緒に仕事が出来る球根農家」を守って生きたいと考えています。

 おのおののコンディションの特徴、使い方についてはお問い合わせ下さい。

 

 為替管理状況

 現在までの所4,6000,000EUROの為替予約を実行しています。(現状ではまずまずの出来となっています。)

 

近年のオランダ産百合球根の当社の仕入総額は約9,000,000EURO12,000,000EURO-となっていますので、全体仕入れ予定額の38%〜51%ほどしか為替管理ができていません。予定としては1EURO=\151.0/154.0の2本立てで価格表を作成する予定です。

 

 為替管理を球根仕入が始まらないうちに、100%行なう事は不可能です。一歩、一歩、09年の、最終支払い月まで時間をかけながら積み上げていきます。可能な限り有利レートが適応できるようがんばります。

411日現在1EURO-=\162.18-

 

 08年産南半球産については1EURO=\151.0/\153.0-で始めて、現在までの所、1EURO=\150.0以下適応は確実な状況です。ここまでの所では「まずまずの出来だった」と言えると思います。

 

 価格表発行は420日頃までには目途を立てたいと思いますが、本当は価格表が着く前から導入検討しておいたほうが良いと思います。よろしくお願いいたします。

 

 基本的には、良品質球根確保の為に、早い対応が重要な年となると思います。

 

 以上 情勢報告でした。                                森山 隆