平成18年6月5日
お客様各位
株 式 会 社 山 喜 農 園
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球根情勢報告
平素よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。
今期は一言でいえば球根流通市場に皆様におつなぎすべき「ネタ」が無い。というのが一番の理由なのですが中々情勢報告が書けません。
球根生産流通状況や世界の球根消費導向よりも日本国内の球根流通業者、切花農家、市場、共に他に考えなければいけない重要な課題が多く「球根流通」が切花市場に大きな影響を扱えそうなトピックスが見つけられません。
もしかしたら「話題が無い」事が話題といえるかも知れません。
南半球産百合球根
05年産
ほぼクレーム集計は終了しました。ネマトーダと帯化現象を起こしたロット以外は事故らしい事故も確認できず「球根品質」はまずまずの年だったといえそうです。むしろ日本の切花栽培時気象条件(低温低日照)からの品質低下の方が問題として大きかった様です。
06年産
LA・鉄砲百合の掘り取りが始まりました。6月に入るとオリエンタルの早い物から順次掘り取りが始まります。作況の不具合等報告は入っていません。
国産百合
05年産
小清水産
昨年よりややボリュ−ムはおちますが良好の様です。
一部混種除去が徹底出来ずにロンバルディアが混じってしまったロットがあった様ですがバイラスも少なく喜ばれています。
新潟県産早掘り
ビビアナ、マニサなどで掘り取り時期設定の不具合、又は温度処理の不具合から元々輪付きの良い品種とはいえませんが悪かった物があった様です。
一方コンカドール、イエローウィン、カサブランカ、シーラなど良い結果を出した品種の方が多かった様です。
新潟県産遅堀り
主に新潟県山間地産の球根となりますが05年産は豪雪の為に定植が遅れてしまい、通常の年より球根肥培期間が短くなっています。
まだ出庫されての栽培事例が少なく確認件数が少ない為、コメントはしにくいのですが思っていたよりは良い出来となっている様です。
冬場の切花作況と同様の原因と思われますが、低温低日照の為十分な根量が確保されていない方が多い様に思います。同じ理由で本来必要な時期の灌水量を不足させてしまった方がおられる様です。
05年球根養成時、06年切花生産時と2年連続厳しい生産状況が続いてる中では大健闘といえるのではないでしょうか。
06年産
全産地共通
定植が昨年同様遅れている。更に4月5月の低温低日照は昨年同期よりもまして球根生産の為に良くない。
特に早掘りは残り2〜3ヶ月で作況回復出来るかどうか分からない。心配してもきりがないが今年は昨年以上に心配な天候となっている。
オランダ産百合
05年産
今の所、順調。特別な報告事項無し。
06年産
約27,000,000球受注。
05年産と比較するとややゆっくりとした動きとなっているが、04年産から比べれば遥かに早く01〜03年とほぼ同様な動きとなっている。
オランダ球根市場を動かすだけの話題も無く、球根価格動向はおちついていて、春以来大きな変化は無い。
作況は遅れていてなおかつ、不良作が予測されていたチューリップやその他夏堀り秋植球根の作況を、大きく好転させるほど5月の天候が良かった。今の所順調な様です。
06年5月12日〜18日オランダ出張報告
6月11日〜15日に再びオランダ出張して参ります。(主に球根栽培圃場確認)
試験栽培期間中なのですが(透かし、LAのピークとなる予定)どうしてもこの時期に現地確認を行わなければなりません。ご迷惑をお掛けします。
さて、5月の出張は昨年同期と比較して随分違った内容となりました。すでに昨年の経験と最近の球根流通情勢から予測していた事ではあったのですが「自分自身」が新品種に対して随分冷めた見方をしてきてしまいました。
すでに気がついている方も大勢おられると思いますが、私達が話題にする新品種はその取り上げる時期があまりにも早すぎるという事です。育種会社が発表する品種とは、まだ球根農家にその栽培権が販売されていない品種であり、例えば5年後生き残っている可能性は非常に少なく、又、仮に球根農家が栽培権を習得し生産が行われたとしても、必ずしもそれが日本向け又は特定の産地のどの作型に適しているかの見極めがつくのにも何年間かの年月がかかってしまうものです。
「昨年同期の出張の際にご報告させて頂いたレポート」と「当社試験栽培に関わるレポート」と読み返してみて、改めて強く感じた事は「品種を使い捨て」にしてはいけないという事です。早急に結論を出す事による育種会社、生産農家の経費削減効果より、むしろ経費増加の悪影響の方が大きくなってきている様に感じます。
為替も大きく影響していますが、最近の新品種の導入価格は実勢の日本の切花市場においては高価すぎて、なかなか試験導入もしにくい状況になってしまっていると感じますし、確保出来る品種毎の球数が少なすぎる為「内容のある」試験導入を営利栽培農家の各々の作型気象条件ごとに供給する事も不可能な状況となっています。
「新品種」といわれる物の中にはすでに一定以上の球数が確保されていて、ある程度の量が供給出来る物、すでに球根農家がその栽培権を取得し将来の供給のめどがたっている品種と、まだ育種会社がメリクロン球からダイレクトに開花球にまで仕上げ品質的にも本来あるべき「球根の力」が定まっていない、そして将来どうなるのかが決まっていない品種があります。「新品種」の導入にあたってはここの部分の事前情報を正確に掴み、それによって得られる「品種特性」はどのくらいのレベルのデータとなるのか、よく理解して取り組まなければならないと思います。
「開発途上品種」と「新品種」=「新発表流通可能種」との違いを明確にした流通が出来れば良いのだがと思います。
日本市場はオランダからみた時「新品種開発」をする時、最も重要な国の一つといわれています。その後の品種の将来を考えれば、切花市場の方々まで含め、相当慎重な対応をしなければいけないと改めて感じさせられた出張となりました。
当社試験栽培温室 生育状況
生育は低温低日照の為、根張りが悪く昨年比較であまり良い出来とはいえません。なんとか追肥で補っている状況です。
開花予定は昨年より定植を1週間ほど早めた為いくらか進み気味です。(05年産オランダ産免除球基準)
透かし L.A. 早生種 6月05日頃より、一番の見頃は6月10日頃です。
O.T. ハイブリッド 6月08日頃より、一番の見頃は6月20日頃です。
オリエンタル 色物 6月20日頃より、一番の見頃は6月25日〜7月05日かと思います。
オリエンタル 晩成種及び白系 6月28日頃より、一番の見頃は7月05日〜7月10日かと思います。
透かし/LA切下球は現在満開。オリエンタル切下球、輸入球はほぼ同時期(05年産オランダ産比較)
国産球もほぼ同時期(05年産オランダ産比較)
隔離コンデションでの試験栽培もほぼ一般試験と同様な時期に開花予定です。
皆様のお越しをお待ちしております。宜しくお願い致します。
なお、開花予測は少なからず狂ってくるはずです。(やや早まる可能性有り)
申し訳ありませんが電話などでご確認下さい。
出張報告でもレポートしました様に、試験されている品種ごとの球根の素性が重要です。
観覧の際にはその点、ご注意頂き問い合わせ頂きます様、宜しくお願い致します。