平成17年11月14日
お客様各位
株式会社 山喜農園
新潟県魚沼市原1280-1
TEL 025-794-2455
FAX 025-794-4168
球根情勢報告
平素よりお引き立ていただきまして誠にありがとうございます。
11月4日〜9日までオランダ出張に行ってまいりました。
3年ほど前からオランダ出張回数/1年間を増やしています。
5月 新品種動向、マーケット確認。
6月 圃場を中心に回って、品質傾向調査および育種動向、新品種調査。
9月 圃場を中心に回って、品質傾向調査、肥大傾向調査。
11/12月 掘り取られた球根の品質及び作況調査。当年のマーケット情勢、翌年のマーケット調査。
などが主たる目的です。
過去2年間、6月の出張時に津南町農協管内の生産者を同行して圃場調査をしてきましたが、今回の11月出張にも津南町から2名、魚沼市(旧堀之内町)から1名、県行政機関より1名の参加がありました。
6月の出張は津南町の農家にとって『オランダ産球根という農産物』=『あえて種苗とは言いません』という認識を改めるのに大変有意義な内容となっていましたが、今回の11月の視察は6月に見てきた事を改めて確認する事ができ、産地全体の意識改革につながるものだったと思います。
考えてみれば1980年代の前半はオランダへの視察といえば6月だったわけですし、1990年代に『日本花卉球根輸出入協会』=『JFTA』が企画した研修旅行も11月だったわけです。
新品種発表期が5月になってしまったために『6月・11月』の視察の意義が忘れられてしまっていたのかもしれません。
11月の視察では 『農家がどのように球根を掘る』
『農家がどのように球根掘り取り後処理をする』
『輸出業者がどのように納品された球根を処理管理する』
『農家が次年度に向けてどのように母球養成球を管理する』
など、切花農家が使用することになる「新品種だけではなくて」実際の『球根』の動きが見られるわけです。
今回の視察に同行頂いた津南町の切花農家の話で、6月の視察に参加した農家は他の仲間から「自分たち切花農家の味方」ではなくて「球根業者に洗脳されてしまっている」という思いが少なからずあったそうです。
過去2年間の6月視察のレポートを見ながら11月の状況を見た時、
3) なぜ球根は『農産物』と見た方が良いのか?
4) 世界市場を席巻するオランダ球根生産の仕組みとは?(南半球産球根のほとんどがオランダ資本とオランダの技術で作られている)
の一端が確認できた思いだったそうです。
来年以降も出張時期は大きく変更する予定はありませんが、『研修』で参加いただく時期は『5月』=『新品種発表』ではなくて『6月・11月または12月』(津南の希望は展示会のある11月より球根しか見れない12月の方が良いという結論だそうです)にした方が良いのではと考えています。
もしかしたら20代〜40代中盤ぐらいの日本の百合切花農家は6月と11月・12月のオランダを見た事のない人が多いのではと思います(1回以上オランダ研修されている方で)。
ぜひ機会がありましたら参加してみてください。
よろしくお願いいたします。
『情勢報告〜平成17年11月14日』
オランダ産百合球根
04年産オランダ産
約 44,000,000球 取り扱い(昨年比 約5%減)当社扱い分
約147,000,000球 輸入予定(昨年比 約9%減)全国
出庫状況 11月10日現在、残すところ約650,000球(透かし・LA中心。昨年比約50%)。ちょっと出荷残数が少なすぎるような気がします(近年、透かしとLAの切花価格は1月〜4月は高い)。
03年産は6月〜7月には相当数のブラックノーズ(酸欠・凍害・エネルギー切れからくる腐敗など)が確認されましたが、04年産は非常に少なかったように思います。
当初予想では、太いが、草丈が短く、輪付き悪い、ブラックノーズは少ない、という分析でしたので、だいたい予測した通りの結果だったと思います。
残念ながら8月末以降の出庫からは明らかにエネルギー切れが原因の事故が増えました(カビ・腐敗・冷凍障害)。
05年産オランダ産
確保数 約41,000,000球 当社扱い分
受注数 約39,500,000球 〃
昨年同時期とほぼ同数となっております。
球根価格は昨年比25%近く上昇していますので、05年の総取扱い数は2年連続で減少すると考えています。
ただし減少するのは透かし百合・LAが主要減少品目で、鉄砲百合は横ばい。オリエンタルOTは微減です。南半球産の増加を考えればオリエンタル全体ではまだ増加傾向にあるようです。
6月〜11月に切花を出荷する作型は近年の異常気象の影響からやや減少傾向となるようです(出荷調整がしにくい時期のため需要期への生産調整ができなかった)。
増加するのは12月〜翌年5月期となるのではと考えています(期待も込めて)。
作況 大変申し訳ありませんがコメントは控えさせていただきます。04年産同様、年明けの2月/3月ぐらいまで正確なことは言えません。夏場の天候不順と9月〜今現在までの高温傾向から、とても良い球根ができているとは思えないのですが「具体的にどうなる」とはまだ言い切れません。
透かし・LA・鉄砲百合 不足となります。白系の透かしを除けば価格は横ばい、売切れ注意予報が出ています。
オリエンタル・OT 中国市場は切花が安かった。今現在04年産オリエンタルの納品が終了していない(ブラックノーズが出まくっている)。05年産南半球産は旧正月が1月中と早いため間に合わない(06年産は旧正月が2月の中旬になるので間に合う)。
切花農家は5月第1週の生産に向けて計画中。したがってまだほとんど納品されていない。
05年産オランダ産球根については中国輸入業者は仕入契約を結んでいるが、切花農家が球根を買うのはこれから。3回ある需要期(旧正月、5月第1週、10月)のうちの、10月とそれ以外の非需要期の切花価格が安くて切花農家の元気は無い。
11月のHortifair(=日本のIFEXの原型。規模は5倍以上?)への台湾・中国の来場は昨年と比べて半減したそうです。
したがってまだどれだけ球根が必要なのかわからない状況だそうです(中国市場向け大手輸出業者および中国最大手輸入業者からの報告)。
オランダ輸出業者は天候の関係から早掘を控えているので、ある程度わかってくるのが12月中旬ぐらいになるだろうとの事なので今後相場がどう動くかはまだわからないそうです。
『情勢報告〜平成17年11月14日』
06年産オランダ産
中国市場はもう仕入れに入ったようですが(主要品種のシベリア、ソルボンヌの14/16・16/18について)日本は年明け以降でよいのではと考えます。
中国市場は06年産・07年産の南半球産についてほとんど調査していない(調査する必要が無い??)まだまだムードで買う傾向がある(特にアメリカ風の営業をする輸出業者のコメントに乗りやすい)。
一方、日本は既に15年以上の取引きの歴史がありますから生産動向と世界消費まで考えながら適正価格を見極めていこうと考えます(必ずしも日本の切花価格に当てはまらないケースがある。03年・04年は安すぎ。05年産はオランダ生産者の再生産まで考えれば、適正〜やや高い)。
ヒートアップした価格にならないことを願っています。
南半球産百合球根
05年産
約7,450,000球 取扱い予定(昨年比27.5%増加)
約 45,000球 在庫となっています。当社取扱い分。
10月末までの植防統計によれば、約17,010,000球の球根が輸入されているようです。これは04年産の総輸入球数を既に超えています。
8月18日の聞き取り調査では約20,600,000球の輸出計画がされていました。
最終輸入球数はまだわかりませんが増加することは間違いないようです(昨年比28.1%増加予測)。
新潟県内の早い産地で、つぼみが確認され始めました。
カサブランカ NZ 18/20(千葉県) 4輪がほとんどなく5輪中心
ソルボンヌ NZ 16/18(新潟県) 5〜7輪。昨年より太い。
ソルボンヌ CH 18/20( 〃 ) 5〜7輪。ソネ社生産分。これが一番太くて生育が早い。
約50〜60cm。素晴しい出来で今から楽しみです。
ルレーブ NZ 16/18( 〃 ) 5〜7輪
ルレーブ NZ 18/20( 〃 ) 7〜9輪
リアルト CH 18/20( 〃 ) 4輪がやや見えるが5〜6輪中心
シベリア NZ 16/18(埼玉県) 輪付きわからないが太い。
東日本側の方が西日本より輪付きが1.5輪は平均的に落ちます(11月以降定植分について。10月中定植については芽伸ばしの長さにもよりますが、あまり変わらないと思います)。
納品数は約57%まで進んできています(11月10日現在)。
06年産
11月15日現在 確保数 約6,600,000球
受注数 約5,700,000球
南半球産大手取扱い輸出業者によれば、
NZ産 約11,000,000球
CH産 約 8,000,000球
計19,000,000球 ほど日本から注文を受けているそうです。
NZ産については主要な重要品種については輸出業者/輸入業者間は既に取引き終了という状況です(ソルボンヌ、シベリア、カサブランカ、マルコポーロ、ルレーブ16/18、シンプロン、アクティバ16/18など)。
CH産についてはサザンバルブス社(PUGSコードで販売している産地の球根)の動きが早いようでした。
今後は日本の輸入業者から切花農家への販売となります。
早めの検討をよろしくお願いいたします。
『情勢報告〜平成17年11月14日』
国産百合球根
04年産遅掘り
必ずしも良かったとは言えないが、04年産オランダ産もあまり力がある年では無かったので比較論ですが、まあまあ良かったとなるようです。
05年産早掘り
作が悪かった。注文をまかなえないくらいの悪さで近年では極悪い年となってしまいました。
05年産遅掘り
津南 非常に悪い。定植遅れと夏場の天候不順が原因と思われる。秋の気温も高く、早掘りは絶対に避けなければいけない年(新潟県内、北海道ともに全般的な傾向)。
大和 まだ掘っていない。
赤塚 掘り始めたばかりなのでまだわからないが、津南よりは良いようです。
05年産小清水産
早掘り 悪かった。
遅掘り やや悪いようです。
オランダ産チューリップ
05年産
当社取扱い数 約7,100,000球
花芽が大幅に遅れ、品質不良による欠品が多いようです。
Plastic球などで、早掘りまたは乾燥不足のためなのか表面にカビの出る品種がありました。ボリュームが出るか心配です。
埼玉の水耕栽培農家がG.ラプソディの出荷が始まるそうです(11月14日競りから)。
昨年よりだいぶ遅いです。
06年産
報告事項なし。
NZ産チューリップ
特別な報告事項なし(当社ホームページ上の10月13日付け情勢報告に球根肥培状況が掲載されています)。
以上、出張報告とあわせて情勢報告でした。
ありがとうございました。
森山 隆