平成17年6月6日
お客様各位
株 式 会 社 山 喜 農 園
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百合球根情勢報告
平素よりお引き立ていただきありがとうございます。
当社試験栽培温室 生育状況
生育順調、開花予定大幅に遅れぎみです。(04年産オランダ産免除球基準)
透かし L.A. 早生種 6月08日頃より、一番の見頃は6月13日頃です。
O.T. ハイブリッド 6月13日頃より、一番の見頃は6月20日頃です。
オリエンタル 色物 6月21日頃より、一番の見頃は6月25日〜7月05日かと思います。
オリエンタル 晩成種及び白系 6月28日頃より、一番の見頃は7月05日〜7月10日かと思います。
オリエンタル切下球はほぼ同時期(04産オランダ産比較)。透かし/L.A.切下球は6月6日以降。
国産球もほぼ同時期。(04産オランダ産比較)
隔離コンディションでの試験栽培は定植が大幅に遅いですから、各々3週間以上開花期が遅れます(04産オランダ産比較)。
・促成試験栽培No.1 04オランダ産(免除球)
良い出来です。球根の力が03年より劣ると思っていましたがまずまずうまく育っています。メリクロンダイレクト球による試験球もまだありますがリンペン養成からの試験球が増えてきました、結果としてリン付き増加・葉焼等の発生が減少しているようです。作年までの印象と変わってしまった品種もあります。(概ね良い方向に)
・促成試験栽培No.2 オランダ産(隔離コンディション球)
コメントするには時期尚早です。
・促成試験栽培No.3 昨年の促制栽培試験後箱内養成球(国産球の位置付け)
すべての試験栽培は箱に3球/1ケース定植としてあります。昨年は5球/1ケース定植を行っていました。したがって力のある球根ができなかったようで例年に比べてボリュームが少ないように思います。 それでも輸入球に比べればずっとボリュームがありますが…。この点を除けば良い出来です。
・促成試験栽培No.4 昨年の抑制試験栽培後の2回目の作型(切下球の位置付け)
.3同様昨年の栽培時における5球/1ケース植えの影響と晩秋の天候の影響により近年ではもっとも出来が悪いようです。
強い品種と弱い品種の差が大きく出ました。
04年産オランダ産の試験品種は球根コンディションを考慮した供給がなされた事により昨年にも増して有益なデータが収集できるようです。
皆様のお越しをお待ちしております。よろしくお願いいたします。なお、開花予測は少なからず狂ってくるはずです(未だに夜温10℃を下回る日があります)。申し訳ございませんが電話などでご確認ください。
04年産オランダ産
約44,100,000球(約2,200,000球減)取り扱い予定。約4.8%減少(当社)
4月までの日本の輸入量:103,127,000球 昨年同時期比:約7%減少。(日本全体)
別表にも示した通り4月末日までに当社が出庫した球数が過去3年間と比較してもかなり減少しています(前年比:3,500,000球減)。南半球産の流通球数増加から発生した減少といえると思います。
5月末になりますと昨年対比で出庫数が約2,200,000球減少していて、総取扱い数の減少数と一致しています。04年産と総取扱い数がほぼ同等の数字となっている01/02年産の5月末までの出庫数ともほぼ同数となっています。
したがって6月以降出庫が予定されている球数は、昨年とほぼ同数となることになります。
切花相場が比較的安定していてくれたおかげかとも思いますが、ここまでのところ大きな事故/クレームはほぼ皆無に等しい状況です。(納品数間違い,品種間違いは除く。)
抑制球出庫もいよいよ最盛期を迎えます。大きな事故が無ければ良いのですが…。予測に反して芽伸びが多いようです。
養成球については、定植後の気温地温が低過ぎてやや生理障害発症率が多いように感じています。
05年産オランダ産
前回5月11日在庫表発行時にもコメントしましたように、受発注ともに01〜03年産取引との比較で早目に進んでいます。「早め」とは01年/03年産との比較で1〜2ヶ月早いという意味です。この動きは05年球根流通情勢から判断して適正と考えます。
作況についてはコメントするには時期尚早ですが、今年の日本によく似ていて涼しい(寒い)日々が続いているようです。品質のためには良いことではありません。
当初は大幅な面積減少が予測されていましたが、上方に修正されています。最近では0〜5%(ないし3%)ほどの減少となるのではといわれています。02年産/04年産で劇的に減っていますから、やはり世界消費に対しては不足感があるようです。
価格高騰し過ぎて一部のマーケットでは「買えない」、もしくは輸出業者が金融的リスクの高いマーケットからの注文は確保しないという動きが出ているようです(在庫リスクが上昇)。驚いてしまいましたが、04年産ですら今頃になって大幅な欠品連絡を受けているところすらあるという話を聞きました。
05年5月12日〜18日オランダ出張報告
6月12日〜17日に再びオランダ出張してまいります(球根栽培圃場確認、主に新品種とカサブランカ養成圃場中心予定)。試験栽培期間中なのですが、どうしてもこの時期を外せません。ご迷惑をお掛けします。
さて5月の出張は近年ではもっともリラックスできた旅行でした。落ち着いてそれぞれの分野を見ることができましたので収穫も多かった様に思います。昨年と比べれば気分的に「天と地」ほどの差がありました。
ゆっくりできた理由としては、昨年の4月/5月の2ヶ月間に取扱い予定数量の48%もの発注を実行していたのに対して、今年は2月/4月の3ヶ月間にすでに約78%の発注が実行されていたおかげかと思います。
もう一つは、今年で3年目になる6月期オランダ出張現地確認が、さまざまな意味で5月期の視察内容に良い影響を与えています(本年産の作況調査,代表的品種の品質傾向,新品種の生産量/増加具合進捗状況等)。
さらに、最も大きかったのは参加していただいた方々がすでに3回以上オランダ研修経験のある方だったこと、また比較的平均年齢が高かったため(平均年齢58歳)新品種に対しての考え方、感じ方がそれ一つ取ってもここ近年とは大分違う見方をしていただけたことなどが、自分の気持ちをリフレッシュさせたのではないかと思います。
今日の経済情勢/切花マーケット情勢では、3大品種(カサブランカ,ソルボンヌ,シベリア)のような経営安定種はなかなか生まれにくい状況ですが、これらの品種が今の状況になるのに5年〜7年くらい掛かっていたわけですから、今すぐにオランダ球根農家/球根流通業者/切花農家が「これだ!」という品種と巡り会えたとしても、この先何年間も「パンや御飯」のような「主食品種」の変更は起きないようです。
ここ15年くらいで主力品種といわれるまでに成長したものは、ほぼ例外なく球根暴落を経験しているはずです。関わる個人/団体すべてがこの苦い経験にほとほと懲りていますので、相当慎重になっています。
そのため、あまりにも早くに、しかも広域からの情報を収集しようとしてしまうためか、なかなか普及種を育てることができていないのが近年の状況ではないかと思います(育種会社のみの責任ではない)。
例外的に暴落を経験することなく普及種に近付きつつあるクリスタルブランカ,シイラの成功事例から、「供給元制限種」が正しい選択という雰囲気が圧倒的となってしまっているようです(各々の関わる業種において)。
実際にはまだリアルト,マザーズチョイス,マニサがどんなものなのかの見極めすら付けられていないのが今日の実態ではないでしょうか?。
リアルト,マザーズチョイスについては04年産から、育種会社以外の一般農家が燐片養成球から栽培した球根を流通させた最初の年となるのです。昨年までの栽培結果は、メリクロンからダイレクトに生産された球根から得られた切花栽培結果でしかなかったのです(今年のリアルト,マザーズチョイスの印象が良い方向に変わった大きな要因では?)。
東京の大手市場において、黄色O.T.系百合の品種で唯一平均価格が¥300-を超えているのはコンカドールだけだそうです(平成16年)。
普及品種とは誰か一人の力で出来上がるものではなくて、皆の気持ちが偶然なのか必然なのか一致し、その思いが何年間か継続でき、それがマーケットで評価されたとき、初めて生まれてくるのでしょう。
もう少し新品種の取扱を慎重に行わないと、日本産切花のみでの年間安定供給種ができません。単独の限定産地/期限付き出荷型の品種ばかりでは、「百合」そのものが花屋さんにとって「主食」なりえなくなる心配が結構あるように思います。
多少新品種を追い掛けることに疲れ気味なので、偏った意見になったかもしれませんが、新品種を追い掛けることに飽きてしまったわけではありません。むしろ、どういう品種をどういう素性の球根で試験した方が良いのか、どのようにして情報整理すべきかがぼんやり見えてきたように感じています。
詳細はお問い合わせください。
以上
参考:山喜農園及び日本の状況
(H17年4月14日付発行情勢報告をH17年6月3日に追加・修正)
当社輸入状況(南半球産 + N.L.産)及び98年産〜05年産百合球根弊社出荷状況及び予定
(単位:1,000球)
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12月出庫 (南半球産 +オランダ産) |
1月出庫 |
2月出庫 |
3月出庫 |
4月出庫 |
5月出庫 |
6月出庫 |
98年産 |
( 130+3,270) |
4,000 |
2,700 |
4,300 |
4,300 |
3,400 |
3,800 |
99年産 |
( 1,350+2,750) |
4,900 |
4,600 |
4,600 |
2,900 |
3,600 |
4,400 |
00年産 |
( 2,450+2,750) |
4,400 |
2,700 |
5,000 |
3,300 |
4,000 |
4,100 |
01年産 |
( 3,500+2,100) |
4,300 |
2,900 |
4,500 |
5,200 |
3,100 |
3,800 |
02年産 |
( 5,600+2,100) |
4,300 |
3,200 |
4,400 |
4,600 |
3,200 |
5,600 |
03年産 |
( 5,000+1,950) |
4,700 |
2,900 |
4,650 |
6,000 |
3,600 |
5,200 |
04年産 |
( 5,850+1,600) |
3,300 |
3,800 |
4,220 |
3,600 |
5,100 |
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05年産 |
( 7,700+
) |
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(↑カッコ内左:南半球産)
98年〜04年南半球産球根の出庫数は掘り取り年の9月〜翌年2月10日までの合計出庫数です。05年産の南半球産の出庫数はH17年5月31日までに確保した取扱予定数です。
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当社輸入量 |
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7月出庫 |
8月出庫 |
9月出庫 |
10月出庫 |
11月出庫 |
12月出庫 |
合計1 (当社占有率1) |
合計2 (当社占有率2) |
98年産 |
6,200 |
5,800 |
4,500 |
3,600 |
1,300 |
400 |
47,700(25.1%) |
48,800(25.5%) |
99年産 |
6,600 |
5,800 |
4,500 |
2,300 |
1,050 |
250 |
49,600(26.3%) |
50,800(26.7%) |
00年産 |
7,000 |
6,300 |
3,500 |
1,500 |
800 |
540 |
48,300(27.7%) |
49,200(26.9%) |
01年産 |
6,400 |
6,000 |
3,100 |
1,200 |
700 |
220 |
47,000(28.1%) |
49,050(28.2%) |
02年産 |
5,800 |
5,100 |
3,300 |
1,500 |
860 |
740 |
50,300(27.7%) |
49,700(27.4%) |
03年産 |
5,800 |
6,050 |
3,000 |
1,100 |
1,100 |
280 |
51,330(29.6%) |
52,180(29.4%) |
04年産 |
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49,899 (未定) |
51,794(未定) |
05年産 |
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(単位:1,000球) (単位:1,000本)
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日本の百合球根輸入量(推定) |
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日本の百合切花輸入量(推定) |
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参考 |
合計計算式1 (南半球産 + オランダ産) |
合計計算式2 |
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98年産 |
150 + 189,658 = 189,808 |
191,158 |
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99年 |
7,350 |
99年産 |
1,500 + 187,034 = 188,534 |
190,034 |
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00年 |
8,070 |
00年産 |
3,000 + 178,174 = 181,174 |
183,174 |
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01年 |
6,200 |
01年産 |
5,000 + 162,226 = 167,226 |
173,719 |
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02年 |
6,300 |
02年産 |
11,493〜+
169,801 = 181,294 |
181,422 |
|
03年 |
7,060 |
03年産 |
11,621〜+ 161,623 = 173,244 |
177,538 |
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04年 |
9,550 |
04年産 |
15,915〜+ ? = 未定 |
未定 |
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05年 |
1,242 |
05年産 |
22,300〜+ ? = 未定 |
未定 |
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06年 |
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※合計計算式1:同一掘り取り年の南半球産+オランダ産の輸入合計数
※合計計算式2:オランダ産+翌年の南半球産の合計数
※03年産のオランダ産の輸入量は、11月末までの輸入数量。昨年比4.8%の減少(−/− 8,200,000球)。
※04年産の南半球産の輸入量は、11月末までの輸入数量。昨年比37.0%の増加(+/+ 4,300,000球)。
※日本の百合球根輸入量は財務省貿易統計より参照(掘り取り年の12月〜翌年11月までの入荷数)。
※日本の百合切花輸入量は植物防疫統計より参照(各年1月〜12月までの植検対象本数)。
※05年の日本の百合切花輸入量は05年1月〜4月末までの植検対象本数。前年比14%減少。
※05年産南半球産の日本の輸入量は3月11日現在、8件の輸出業者からの聞き取りによる。