平成17年4月14日
お客様各位
株 式 会 社 山 喜 農 園
新 潟 県 魚 沼 市 原1280-1
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球根情勢報告
平素よりお引き立ていただきありがとうございます。
昨年はほぼ6週間置きに発行しておりました「球根情勢報告」を、気が付けば昨年の暮れ12月29日以来、今日まで書かずじまいになっておりました。「FAXが来なくて静かだった」と喜んでおられる方も多いかもしれませんが、久し振りに送らせていただきますのでよろしくお願いします。
私自身の仕事の遅れから、3ヶ月連続の海外出張(オランダ,チリ,中国)という無謀なスケジュールとなってしまい、さらに「一体いつになったら消えるのかというほどの大雪(未だ2m以上の積雪量)」、ということでかなり調子が狂ってしまいました(加えて、事務所の引越しもあり)。
さまざまな気象災害も消雪を待ち、ようやく本格的な復旧作業が開始されます。「冬眠から目を覚まして」頑張っていきたいという気分です。
南半球産オリエンタル系百合球根
04年産
日本の輸入量 約 16,000,000球 昨年比 37%増加
当社取り扱い数 約 5,850,000球 〃 18%増加
一部の事故、一部ロットの輪付きの悪さ等を除けば、ここまでのところの切花相場(順調でした)に助けられ、良い年だったといえそうです(4月に入って少しダレ気味)。西日本側はほぼ出荷終了を迎えつつあり、東日本側がようやく75%強の出荷が終えたところまで来たようです。
4月は埼玉/新潟/東北方面からそこそこの量が出荷されそうです。品質的には良いものが出てきています。
西日本側ですら確認されたことですが、12月中旬以降〜1月上旬・中旬定植作型において、栽培初期の地温/気温低下、日照量不足のため、切花品質及び輪付きに悪影響が出てしまった方がいたようです。一方、意外に感じられるかもしれませんが、1月後半から2月一杯定植分で、気温は低いながらも地温/日照量が確保できた産地において、むしろ12月・1月定植分より良い生育をしている品種があります。
本年の気象条件から改めて、「いかにして良い根を可能な限り多く、しっかり張らせるか」ということの大切さが確認されました。冬作でも夏作でも、そのために行う作業は逆であっても「切花品質」=「根張り」の大切さは一緒のようです。
05年産
04年産は04年2月第1週から急速に取引が進みましたが、05年産は04年オランダ産オリエンタル系球根不足と04年産南半球産球根の重要品種の高い欠品率などの影響により、取引は随分早くスタートしました。
概ね04年の12月第1週には取引が始まり、発注業務及び受注業務ともに約 75%が年内中に決まってしまいました。3月11日現在、8件の輸出業者からの聞き取りによれば、約 22,300,000球が日本の輸入業者より注文が入っているようです(昨年比約 40%増加)。
当社の状況は、 約 7,700,000球発注 昨年比約 32%増加
約 7,500,000球受注
となっております。
今年は5年振りに「1月のチリ」を見てきました。最近は掘り取り直前の5月〜6月での圃場確認を中心に行っていましたが、ここ1〜2年で生産面積と生産者数が増加してきていますので、一番病害確認がし易い時期ということでの出張でした。
どの農家も一生懸命管理をしていますし、気持ちも前向きでしたので、大変良い出張内容でした。特に、現在最大の生産者であるソネ社訪問時には、あまりにも急速な面積拡大と高い品質管理意識から、メリクロン増殖球から世代が離れていない(一般的に輪付きが悪い)切花用球根の流通をさせていたわけですが、燐片栽培用の母球生産量も大分増えてきた様子で、近い将来輪付きの点でも他に負けない、そして品質の良い球根が供給されるであろうことが確認できました。
また、最近異業種の会社からオランダ最大手切花会社にオーナーが変わったサザンバルブ社も、オランダの最新の栽培技術と「営利切花栽培家用球根」を生産するノウハウが投入され(母球生産とは違う)、栽培規模/品質ともに画期的に向上しているように見えました(04年産チリ産イエローウィンはすべてこの会社の球根です。ちなみに05年産イエローウィンは生産地/生産者2〜3社に分散されます)。
その他、生産規模では先の2社には及ばないものの、一生懸命さでは負けない元気な会社が4件ほどいます。
ニュージーランドには6月か7月に出張する予定です。昨年まで5件の農家が生産していましたが、1件は吸収、もう1件は07年産から再スタートで現在休止中という状態で、当年では対日輸出能力を有している農家は3件のみとなってしまいました。しかしながら、2001年〜2004年のオランダ産球根の価格低迷期の中で、さまざまな影響を受けながら生き残った、勝ち残った農家とも言えます。今後1件辺りの生産規模が増加するかどうかはわかりませんが、内容はますます充実してくるものと思われます。
04年産 NZ産・CH産の割合
NZ産 CH産
全国 約 6,600,000球 約 9,500,000球 (財務省統計より)
当社 約 2,100,000球 約 3,750,000球
※元々NZ産の取り扱い比率はもっと高かったが、大幅な欠品により結果的にチリ産の割合が増えた。
05年産 NZ産・CH産の割合
NZ産 CH産
全国 未 定 未 定
当社 約 4,200,000球 約 3,500,000球
※昨年も発注段階では上記の比率に近かったが、NZ産欠品により逆転した。
現在までの球根栽培状況は、NZ・CHともに特異な気象条件も無く、順調に生育中とのことです。
オランダ産百合球根
04年産
現在までの確保数 約 44,000,000球 昨年比 5%減
受注数 約 43,650,000球 昨年比 6%減
3月末までの日本全体の輸入数 約 97,863,000球 昨年同期比 3.5%減
※03年当社取り扱い数は全国の動きと逆になっていました。全国は4.8%減少なのに当社は4.3%増加です。
したがって03年/04年に掛けての当社取り扱い数の減少傾向は適正な流れと考えます。
今後の見込み
前年を上回る球数が輸入されることは無いと考えます(05年産南半球産の増加傾向から)。
※03年産の3月末までの輸入量は前年同期比で1.6%減少でした。最終的な減少率は4.8%でしたので、
本年も減少を予測していますが、本当のところはまだわかりません。
切花作況
オリエンタル系/O.T.系:
南半球産の使用量が増加しているため、オランダ産からの生育状況にまだ目が行っていません。そのため、多くのコメントはできませんが、03年産との比較でやや不揃い感があります。
昨年の球根生産時の気象条件から04年産球根は、やや細い,不揃い,輪数少なめ(前年比),青カビ・燐片腐敗平年並み,冷蔵障害等保管時の事故少なめ,という傾向を示すだろうと考えて今期を迎えたのですが、加えて日本が寒かったせいで今まで気が付かなかったのですが(苦にしていなかったのですが)、「休眠打破が遅れていた」とも言えそうです。
休眠がきれいに破れていない球根で促成栽培してしまったときに発生する、典型的な問題が確認されています(輪付き少ない,アンテナ,色素不安定からくるバイラス症状)。また、このことは南半球産からの切花生産中の高めな温度設定の温室でオランダ産球根での促成初期栽培を行う、というケースが増えているために出てきた問題かもしれません。多くの問題は抑制栽培時期に発生しない問題なので、限られた事例でもありますし、まだ踏み込んだことが言える状況ではないです。このままの状況で抑制には入ってほしくないのですが…(3月以降定植分は、明らかに1月定植分より芽が太いように感じています。明るい兆しです)。
透かし系/L.A./鉄砲:
ほぼオリエンタル/O.T.系と同様の傾向のようです。
05年産
オリエンタル系/O.T.系:
栽培面積減少予定。併せて00年〜03年までの過剰生産時代にそれまで輸出していなかった国にも、広く百合切花栽培が普及しました。そのため完全に需給バランスが変わり、需要過多となっています。安い球根価格で広がったマーケットがほとんどなので、高い価格は払えないはずですが、どこの国にも高級マーケットは存在するようで、価格は02年産並みの価格でスタートしています(輸入業者レベルで1月〜3月上旬発注契約分)。05年産南半球産の増加及び06年産の南半球産の供給も、今年以上に安定してくることが予測されていますので、少なくとも日本からはオランダ産の需要が大幅に伸びることは考えにくいのですが、不思議なことに球根価格は3月中旬以降大幅に上昇し、買いにくい状態となっています。
この状況は05年産南半球産取引がスタートした時から予測されていましたので、当社自身、及びお客様からも早めの動きをとっていただいております。
4月11日現在の当社の状況は
発注で約 83% (04年産オランダ産オリエンタル/O.T.総取扱数比較)
受注で約 68% ( 〃 総受注数比較)
※ちなみに、04年オランダ産球根は3月末日で2,000,000球しか発注契約していませんでした(取扱数の
5%以下です)。05年産の発注率/受注率は92年〜95年ごろの取引に似ています。
05年・06年の南半球産の流通数増加を考えると、取引は早くも終盤戦となっているようです。情勢はここ2〜3年とは大きく変わりました。
透かし系/L.A./鉄砲:
4月11日現在の当社の状況は
発注で約 63% (04年産オランダ産A.H./L.A./Longi総取扱数比較)
受注で約 45% ( 〃 総受注数比較)
オリエンタル/O.T.とはやや状況が違いますが、特に透かし百合では栽培面積減少がオリエンタル以上になることが予測されています。最近の透かし百合切花消費傾向は、モノ日の需要が大きく影響してきています。モノ日対応品種と通年出荷品種をある程度分けて品種を絞る傾向が強くなっている様子で、対象となる品種について安定的な供給を得るため、早めの確保となっているようです。
※全品目共通に必要な球根は早めに確保してください。
国産百合球根
04年産 小清水産
1ロットでカビ/腐敗が出ましたが、該当ロット含め、作況は近年では最も良い出来となっています。どうしてこんなによくできているのか、原因がわかりません。
05年産 小清水産
生産量を減らしていたことが一番の理由なのですが、営利栽培家用は販売終了しています。ドライセール用はまだ在庫があります。
04年産 新潟県産(早掘り・遅掘り)
報告事項なし。
05年産 新潟県産(早掘り・遅掘り)
必要でしたら早く確保された方が良いです(営利用/ドライ用共通)。
参考:山喜農園及び日本の状況
(H17年3月31日付発行情勢報告をH17年4月14日に追加・修正)
当社輸入状況(南半球産 + N.L.産)及び98年産〜05年産百合球根弊社出荷状況及び予定
(単位:1,000球)
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12月出庫 (南半球産 +オランダ産) |
1月出庫 |
2月出庫 |
3月出庫 |
4月出庫 |
5月出庫 |
6月出庫 |
98年産 |
( 130+3,270) |
4,000 |
2,700 |
4,300 |
4,300 |
3,400 |
3,800 |
99年産 |
( 1,350+2,750) |
4,900 |
4,600 |
4,600 |
2,900 |
3,600 |
4,400 |
00年産 |
( 2,450+2,750) |
4,400 |
2,700 |
5,000 |
3,300 |
4,000 |
4,100 |
01年産 |
( 3,500+2,100) |
4,300 |
2,900 |
4,500 |
5,200 |
3,100 |
3,800 |
02年産 |
( 5,600+2,100) |
4,300 |
3,200 |
4,400 |
4,600 |
3,200 |
5,600 |
03年産 |
( 5,000+1,950) |
4,700 |
2,900 |
4,650 |
6,000 |
3,600 |
5,200 |
04年産 |
( 5,850+1,600) |
3,300 |
3,800 |
4,220 |
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05年産 |
( 7,700+
) |
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(↑カッコ内左:南半球産)
98年〜04年南半球産球根の出庫数は掘り取り年の9月〜翌年2月10日までの合計出庫数です(04年産予定)。05年産の南半球産の出庫数はH17年3月31日までに確保した取扱予定数です。
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当社輸入量 |
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7月出庫 |
8月出庫 |
9月出庫 |
10月出庫 |
11月出庫 |
12月出庫 |
合計1 (当社占有率1) |
合計2 (当社占有率2) |
98年産 |
6,200 |
5,800 |
4,500 |
3,600 |
1,300 |
400 |
47,700(25.1%) |
48,800(25.5%) |
99年産 |
6,600 |
5,800 |
4,500 |
2,300 |
1,050 |
250 |
49,600(26.3%) |
50,800(26.7%) |
00年産 |
7,000 |
6,300 |
3,500 |
1,500 |
800 |
540 |
48,300(27.7%) |
49,200(26.9%) |
01年産 |
6,400 |
6,000 |
3,100 |
1,200 |
700 |
220 |
47,000(28.1%) |
49,050(28.2%) |
02年産 |
5,800 |
5,100 |
3,300 |
1,500 |
860 |
740 |
50,300(27.7%) |
49,700(27.4%) |
03年産 |
5,800 |
6,050 |
3,000 |
1,100 |
1,100 |
280 |
51,330(29.6%) |
52,180(29.4%) |
04年産 |
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49,792 (未定) |
51,627(未定) |
05年産 |
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(単位:1,000球) (単位:1,000本)
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日本の百合球根輸入量(推定) |
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日本の百合切花輸入量(推定) |
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参考 |
合計計算式1 (南半球産 + オランダ産) |
合計計算式2 |
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98年産 |
150 + 189,658 = 189,808 |
191,158 |
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99年 |
7,350 |
99年産 |
1,500 + 187,034 = 188,534 |
190,034 |
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00年 |
8,070 |
00年産 |
3,000 + 178,174 = 181,174 |
183,174 |
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01年 |
6,200 |
01年産 |
5,000 + 162,226 = 167,226 |
173,719 |
|
02年 |
6,300 |
02年産 |
11,493〜+
169,801 = 181,294 |
181,422 |
|
03年 |
7,060 |
03年産 |
11,621〜+ 161,623 = 173,244 |
177,538 |
|
04年 |
9,550 |
04年産 |
15,915〜+ ? = 未定 |
未定 |
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05年 |
940 |
05年産 |
22,300 |
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※合計計算式1:同一掘り取り年の南半球産+オランダ産の輸入合計数
※合計計算式2:オランダ産+翌年の南半球産の合計数
※03年産のオランダ産の輸入量は、11月末までの輸入数量。昨年比4.8%の減少(−/− 8,200,000球)。
※04年産の南半球産の輸入量は、11月末までの輸入数量。昨年比37.0%の増加(+/+ 4,300,000球)。
※日本の百合球根輸入量は財務省貿易統計より参照(掘り取り年の12月〜翌年11月までの入荷数)。
※日本の百合切花輸入量は植物防疫統計より参照(各年1月〜12月までの植検対象本数)。
※05年の日本の百合切花輸入量は05年1月〜3月末までの植検対象本数。前年比16%減少。
※05年産南半球産の日本の輸入量は3月11日現在、8件の輸出業者からの聞き取りによる。