平成161229

お客様各位

株 式 会 社    山 喜 農 園

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球根情勢報告

 

 

 平素よりお引き立ていただきありがとうございます。

 

 H16年中は大変お世話になりました。H17年もよろしくお願いいたします(原稿を書いているのは1228日なのですが、送付が年内に間に合わないかもしれません)。

 

 様々な意味でH16年は記録/記憶に残る年となりました。私たちの仕事(球根切花・球根生産・球根流通)は過去から現在、そして将来へと継続し繋がっていく仕事ですが、単年度/1シーズン/1作毎に必ず良し悪しの結果が出て、過去の経験や産地の歴史でもカバーできない事象が起きる仕事だと思います(農業全般がそうなのでしょう。自分が知らないだけで他産業もきっと同じだと思います)。

 

 H16年は「できることなら経験したくない」こともありましたが、「これが生きていくこと」ということを考えさせられた貴重な経験ができた年だったと思います。

 

 H17年もよろしくお願いいたします。

 

 

03年産 抑制アイリス

 球根は一部腐敗が確認されているものの、昨年までのような大きな事故は起きませんでした。日本の気象異常がなければ…。

 

04年産 促成/抑制アイリス

 特に報告事項無し。

 

04年産 フリージア

 欠品等が相次ぎ、納品時ご迷惑をお掛けしましたが、近年では珍しく着荷の段階でのクレームがありませんでした。大きな事故が無いことを祈っています。

 

04年産 N.Z.産チューリップ

 バレリーナで大きな事故となりましたが、それ以外は極めて順調に推移しました。品種数が増加したことが巧を奏したのか、関わる団体すべての理解を得て相場も安定していたようです。

 

05年産 N.Z.産チューリップ

 複数の輸入業者がジョイントして輸入業務を行い、冷凍施設を駆使してさらなる品種数増加と作期拡大を図ります。10月〜12月までのチューリップ切花の人気低迷を踏まえて、極端な増産にならないよう関連団体との連絡を密にし、チューリップという花材の商品価値を維持していきたいと思います。

 

04年産 オランダ産チューリップ

 当社取扱い数    約 7,500,000球  昨年比 約 200,000球減少

 うちドライセール用    450,000球  昨年比 約 300,000球増加

 営利栽培家用(当社取り扱い)      7,050,000球  昨年比 約 510,000球減少

 

営利栽培家用球根

 アーリー/プラスチック/Turboなどの超促成

1,950,000球  昨年比 約 750,000球減少

 標準球

5,100,000球  昨年比 約 250,000球増加

 

 

全国(財務省統計より)

 7月〜11月までの輸入量

 217,582,000球 

昨年比 約 25,500,000球増加

   月次の推移を見ると、

7月〜9月は大幅増加 

昨年比 約 27,600,000球増加

 

   10月は大幅減少 

昨年比 約  4,600,000球減少

 

11月は  増加 

昨年比 約  2,500,000球増加

 

 日本全体のチューリップの輸入量の月次の動きを商品の動きに合わせれば

 ・ドライセール用大幅増加

 ・超促成営利栽培家向け大幅減少

 ・1月中旬以降普通球やや増加

 

 ということになり、驚くほど当社の動きと一致しています(12月〜2月の全体の入荷予測は立っていません)。

 

 業界人の話を聞くと、秋の天候不順によりドライセール用球根販売低迷(結果的にやや過剰感)、超促成用チューリップは輸入量/生産量ともに激減したにも拘らず低迷となっているようです。切花市場が昨年まで出してきた答に対応して、11月〜12月切花作型を大幅に減少させて1月〜4月作型の生産量をやや増加させ、なおかつ新品種導入も積極的に行なったはずですが、ここまでの市況を見る限り、一部少量品種を小口情報販売したものを除き価格低迷となっています。

 

 今後の作型で価格回復が無い限り、大変厳しい年となるようです。1月以降の切花価格回復を切に願う次第です。

 

作況

 品種毎に状況が違い、「本年度の傾向」が示しにくいです。把握するのにもうしばらく時間が掛かります。

 

05年産 オランダ産チューリップ

 04年産の球根流通状況、H1611月〜12月の切花価格推移等を踏まえ、取引は慎重になっています。例年であれば、年末には次年度の特殊コンディション球根(プラスチック/アーリー/Turbo球)の価格表を発行しますが、今年はオランダ輸出業者との検討期間がもう少し必要です。準備でき次第お送りする予定です。申し訳ありませんがもうしばらくお待ちください。同様に標準球についてもやや遅れる予定です。

 

 オランダ側も球根流通状況/切花市況共に日本の動きによく似ています。そのため、特殊コンディション球根栽培面積は減少傾向と聞いています(ただしHaakmanTurbo球B/Cコンディションは昨年並み)。全体の面積もやや減少傾向のようですが、業者レベルでは「もっと減らないと駄目だ」という意見が多いようです。

 

04年産 国産百合

 現在、促成及び抑制温度処理中。芽形成状態は昨年比較で随分良いように見えます。力のある良い球根ができたようです。

 

 

05年産 国産百合

 準備中

 

04年産 オランダ産百合

 12月に約1週間オランダ出張してまいりました。04年産の球根は品質面では「ごく平均的なオランダ産球根」となるようです。

 

 透かし/L.A.はやや不足。オリエンタル系は大幅不足となっています(ただしこれは国際的なレベルの話で、日本市場は今のところまだ不明です)。供給安定性は低くなるようです。すでにご連絡を始めさせていただきましたが、欠品が相次いでいます。2月一杯はこの状況が続き、随時ご案内させていただかなければならないようです。オランダ側も品薄感があるため、代替の確保が難しくなっています。「いつでも球根はある」という流通環境ではありませんので、素早い対応が求められます。よろしくお願いします。

 

 当社取扱状況は

 

12月受発注状況

最終取扱い数

04年産

04年産

 約 42,500,000球発注

 約 41,400,000球受注

   未定

   未定

03年産

03年産

 約 45,000,000球発注

 約 43,400,000球受注

 約 46,300,000

 約 46,300,000

02年産

02年産

 約 43,900,000球発注

 約 42,250,000球受注

 約 44,400,000

 約 44,400,000

 

 03年の取扱い数増加は特需によるところと勘案すれば、近年の南半球産の増加、透かし百合からL.A.への変更(栽植本数減少/坪当り)が影響していますので、04年は減少傾向を示しているように見えますが、これが「一般的な動き」となるように思います(当社03年の増加は営利栽培以外で増えた分です。日本全体ではすでに02年〜03年に掛けて減少傾向が始まっていました)。

 

05年産 オランダ産百合

 準備中。

 

04年産 南半球産百合

 球根出庫も残すところ約 200,000球となりました。昨年比較でやや力が弱いことをご承知いただけているようで、最低限必要な芽伸ばしで定植いただいており、心配していたほどのボリューム不足/輪付き不足とはなっていないようです。まだ9月〜10月納品分の状況しかわかりませんので、全体的な傾向はコメントできません。とりあえず、大きな事故が出ていないことにほっとしています。

 

05年産 南半球産百合

 12月現在、約 5,900,000球のご注文をいただいております。ちなみに04年産の同月はほとんど注文が入っていませんでした。昨年より2ヶ月半も早く取引がスタートし、すでに昨年の取扱い数を超えているという状況で驚いています。嬉しくも思っていますが、「球根がダブつく」という確率が少なければ早目の確保は必然ですから、「これで良い」のだろうと思います。04年産オランダ産/05年産南半球産/05年産国産/05年産オランダ産まではこの状態が維持されるのではないかと思います。

 

 

 1月23日よりチリに出張してまいります。後日、作況等を報告いたします。

 

 以上、平成16年最後の情勢報告でした。平成17年が良い年となるよう願っております。

 

森山 隆


 

参考:山喜農園及び日本の状況

H1610月5日付発行情勢報告をH161229日に追加・修正)

当社輸入状況(南半球産 + N.L.産)及び98年産〜05年産百合球根弊社出荷状況及び予定

                                          (単位:1,000球)

 

12月出庫

(南半球産 +オランダ産)

1月出庫

2月出庫

3月出庫

4月出庫

5月出庫

6月出庫

98年産

  (  1303,270)

4,000

2,700

4,300

4,300

3,400

3,800

99年産

  ( 1,3502,750)

4,900

4,600

4,600

2,900

3,600

4,400

00年産

  ( 2,4502,750)

4,400

2,700

5,000

3,300

4,000

4,100

01年産

  ( 3,5002,100)

4,300

2,900

4,500

5,200

3,100

3,800

02年産

  ( 5,6002,100)

4,300

3,200

4,400

4,600

3,200

5,600

03年産

  ( 5,0001,950)

4,700

2,900

4,650

6,000

3,600

5,200

04年産

  ( 5,8501,600)

 

 

 

 

 

 

05年産

  ( 6,300+   )

 

 

 

 

 

 

      (↑カッコ内左:南半球産)

 98年〜04年南半球産球根の出庫数は掘り取り年の9月〜翌年2月10日までの合計出庫数です(04年産予定)。05年産の南半球産の出庫数はH161228日までの取扱予定数です。

 

 

 

 

 

 

 

 

当社輸入量

 

 

7月出庫

8月出庫

9月出庫

10月出庫

11月出庫

12月出庫

合計1

(当社占有率1)

合計2

(当社占有率2)

98年産

6,200

5,800

4,500

 3,600

 1,300

   400

47,700(25.1%)

48,800(25.5%)

99年産

6,600

5,800

4,500

 2,300

 1,050

   250

49,600(26.3%)

50,800(26.7%)

00年産

7,000

6,300

3,500

 1,500

   800

   540

48,300(27.7%)

49,200(26.9%)

01年産

6,400

6,000

3,100

 1,200

   700

   220

47,000(28.1%)

49,050(28.2%)

02年産

5,800

5,100

3,300

 1,500

860

740

50,300(27.7%)

49,700(27.2%)

03年産

5,800

6,050

3,000

1,100

1,100

280

51,330(29.6%)

52,180(29.3%)

04年産

 

 

 

 

 

 

48,350(減少?)

49.000(減少?)

05年産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     (単位:1,000球)       (単位:1,000本)

 

日本の百合球根輸入量(推定)

 

日本の百合切花輸入量(推定)

参考

   合計計算式1

(南半球産  + オランダ産)

合計計算式2 

 

 

 

98年産

    150    189,658 = 189,808

191,158 

 

99

7,350  

99年産

  1,500    187,034 = 188,534

190,034 

 

00

8,070  

00年産

  3,000    178,174 = 181,174

183,174 

 

01

6,200  

01年産

  5,000    162,226 = 167,226

174,116 

 

02

6,300  

02年産

 11,487〜+  169,801 = 181,288

181,588 

 

03

7,060  

03年産

 11,787〜+  161,623 = 173,410

177,826 

 

04

7,900

04年産

 16,203〜+   ?   =  未定

未定  

 

05

未定  

05年産

  未定

 

 

 

 

 

※合計計算式1:同一掘り取り年の南半球産+オランダ産の輸入合計数

※合計計算式2:オランダ産+翌年の南半球産の合計数

03年産のオランダ産の輸入量は、11月末までの輸入数量。昨年比4.8%の減少(−/ 8,200,000球)。

04年産の南半球産の輸入量は、11月末までの輸入数量。昨年比37.5%の増加(+/ 4,400,000球)。

※日本の百合球根輸入量は財務省貿易統計より参照。

※日本の百合切花輸入量は植物防疫統計より参照。

04年の百合切花輸入量は04年1月〜11月まで12月分が追加される。