平成16年7月14日
お客様各位
株 式 会 社 山 喜 農 園
新潟県北魚沼郡堀之内町原1280-1
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球根情勢報告
平素よりお引き立ていただきありがとうございます。
オランダ産アイリス
03年産
着荷段階では、腐敗は過去2年比較で少なかったようです。数量の足らなかった箱があったようです。一部ロットで球根選別がラフなものがありました。全国的に抑制アイリスの入荷量は大きく減少しているようです(近年発生している腐敗事故が原因?)。一時、バルブコンポスト(球根を腐らせて作った堆肥)が原因といわれていた軟腐症状は、現在のところ「理由がわからない」という状況だそうです。この問題は自分たちが想像していたより大きく、球根業界はアイリス球根生産の危機という風に捉えていて、農林省レベルが原因解明のための緊急予算処置を行い、研究をスタートさせたそうです。
日本は抑制アイリスの輸入量を減らしていますが、その一方でブルーマジック,イエスタディに拘らず、ダイヤモンドやセールの促成球導入に切り替える産地が増加しているようです。
04年産
現在、特別な報告事項はありません。ブルーマジックの生産面積は大幅に減少しています。そういう意味では次年度の計画も通常より早めた方が良いように思いますが、03年で報告したように05年産の促成球との兼ね合いもあります。
本年産の掘り取りも来月以降始まります。「高温保管中の軟腐病」については来春以降でないと症状確認が取れないわけですので、注文時点でははっきりとは確認が取れていないことになります。
秋以降の導入検討を始める頃には、対策を含めた良い報告ができればと願っています。
ニュージーランド産チューリップ
04年産
6月中下旬に当社冷蔵庫に搬入した、箱に植えつけられた球根は7月7日まで9℃にて管理しました。すべての品種の発根が確認されましたので、8日より7℃に下げています。15日以降様子を見て5℃内外、8月上旬には2℃〜0℃、中旬には−1.5℃に下げる予定です。
オランダ産チューリップ
04年産
プラスチック球根 |
肥大良い。充実度良い。球根硬めで締まっている。11/12から12/+にサイズ変更になる品種が出そう。休眠打破は平年並みからやや早い。 |
Turbo球 (一部プラスチック) (一部暖地産) |
肥大良い。充実度良い。球根硬めで締まっている(プラスチック被覆栽培品種について)。一部段地産についてはほぼプラスチック栽培球に準ずるとのこと。品種ごとに差があるようです。 |
アーリー球(暖地産) |
ほぼプラスチック栽培球に準ずるが、品種ごとに差がある。 |
標準球 |
4月まで順調。5月低温。6月上旬やや暖かかったが、平均では低温。5月・6月とも乾燥した年となった。気温の推移だけで行けば花芽の遅い年となるはずだが、定植から4月までの天候が安定していたことから球根内の芽の揃いが良く、5月・6月の乾燥が影響し比較的早く枯れた。そのため、球根内の水分は少ないようで、低温傾向にしては芽の揃いが良く、掘り取り後きちんとした管理下に保管してある球根(23℃,20℃,17℃)は大幅に遅れない様子。例年並から1週間くらいの遅れとなるようです。 |
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プラスチック球/アーリー球に対して標準球はやや遅れ気味になることから球根価格差分の仕事をしてくれる年となるようです。 |
販売/流通状況 |
世界的に回復の兆しが見えてきたとはいえません。オランダでもごく大手のチューリップ切花農家(2千万本以上生産)が今シーズンの生産を大幅に縮小するようです。 たった10数年の間に2,500〜3,000haもの生産面積が増加してしまったチューリップは、20%〜25%くらいの減産が必要となっているようです。 |
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国産百合
報告事項なし
※養成球導入産地の方へ(新潟県内)
高温が続いた後、大変な雨降りとなりました。このような天気の後は、水捌けの悪い畑は目詰まりを起こして根が仕事をできず、肥料や水分を吸収できない状態となります。施肥や消毒のタイミングにはくれぐれもお気を付けてください。
南半球産百合
大変申し訳ありません。本年ニュージーランド及びチリと出張して現地圃場確認を行なってまいりましたが、まったく予測が外れてしまいそうです。球根の絶対数はあるようですが、肥大が今ひとつの産地があるようです。今日現在、ニュージーランドからルレーブ16/18,18/20の欠品連絡が入っています。これはチリ産でおおむねカバーできました。チリからコンカドール16/18,18/20の欠品連絡が入っています。これについては20/+での代替となるようです。その他ベラドンナ,ビアリッツ,ブランコ,ジアコンダ,マニサ,ビナデルマールなどのヴレッター系で報告が入り始めました。在庫もある程度用意してありますので、大きな欠品が発生しないよう努めてまいります。
大変恐縮ですが、連絡が入りましたら速やかに変更決定することが要求されると思います。
肥大不足の原因が春夏の温度不足、または秋の極端な温度低下の影響だとしたら、本年産の球根は昨年より「力」が無い球根になるかもしれません。
一方、メリクロン球からのダイレクト開花球生産から、輪片養成からの開花球生産の割合も増加しています。これは球根の力が増加する方向性を示します。03年産は平均以上の仕事をしてくれた年だったといえると思いますが、04年産はやや心配な状況でシーズンを迎えそうです。
オランダ産百合
03年産
流通状況
別紙 当社の状況参照
日本国財務省統計 オランダ輸出統計
02年産 |
5月末日 |
(02年12月〜03年 5 月) |
126,824,000球 |
121,360,000球 |
02年産 |
11月末日 |
(02年12月〜03年11月) |
169,807,000球 |
162,022,000球 |
03年産 |
5月末日 |
(03年12月〜04年 5 月) |
120,125,000球 |
不 明 |
03年産 |
11月末日 |
(03年12月〜04年11月) |
未 定 |
未 定 |
日本国財務省発行の税関統計によれば、約4.5%の減少となっていますが、最終数がどうなるのかはわかりません(通常はオランダの輸出速報値を用いてご報告しておりましたが、今回は4月/5月発行分に誤りが見付かったため、別の統計資料も使用しました)。
品質状況
前半12月〜5月出庫はまずまずの結果でした。6月中旬以降出庫分より、青カビ・燐片腐敗が確認されるロットが出始めています。通常8月以降増えてくる発芽障害が6月中にも確認されています。後半戦はやや心配です。
04年産
栽培環境
5月〜7月上旬までの平均気温が低すぎます。オランダの平年の温度域では、百合球根の初期成育温度としては低すぎます。本年の南半球産の作況からもこのことが伺えます。
球根の作況を予測するのに重要な時期が6月と9月といわれていますが、6月の圃場調査はバイラスその他の品質検査だけではなく、肥大予測を立てるのにも重要な月となります。栽培面積はまだ発表になっていませんが、世界の球根消費量が変わらなかったとしたら(特に中国)オリエンタル系は球根が足りない状況になるようです(あくまでも生産量からの予測であって、消費動向を無視して考えた場合)。
透かし百合についても、オリエンタル系と同様大幅減少といわれています。最大消費国であるオランダとイタリアの消費量が大幅に減少すれば、面積減少は適切ということになります。 この透かし百合の減少予測は、L.A.の球根価格で比較的安価な品種の更なる下降を止めている効果を発揮しているようです。
球根相場はしばらく読みづらい状況が続くことになりそうです。
受注状況
04年産南半球産と合わせて前年比 |
約 59% |
オランダ産のみで比較すると |
約 52% |
の受注状況です。慎重な受発注状況が続いています。5月発行の価格表から見ると価格は上昇傾向を示しているようです。将来の球根価格同行についてはコメントする勇気はありませんが、球根生産状況のみで判断すればそろそろ確保率を進めるべきではと考えます。
※ようやく春夏試験栽培も終了いたしました。大勢の方からご訪問いただき大変ありがとうございました。
皆様方からも貴重なご意見をいただくことができ、大変感謝している次第です。今月中旬より秋冬試験の
準備に入ります。10月中旬から12月上旬には再び約230品種強の展示を行ないます。その節にはまた
よろしくお願いいたします。
「04年産オランダ産百合品種コメント」も今月中に発行を予定しております。ご参考にしていただければ幸いです。
ありがとうございました。
参考:山喜農園及び日本の状況(資料2)
(H16年6月11日付発行情勢報告をH16年7月14日に追加・修正)
当社輸入状況(南半球産 + N.L.産)及び98年産〜04年産百合球根弊社出荷状況及び予定
(単位:1,000球)
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12月出庫 (南半球産 +オランダ産) |
1月出庫 |
2月出庫 |
3月出庫 |
4月出庫 |
5月出庫 |
6月出庫 |
98年産 |
( 130+3,270) |
4,000 |
2,700 |
4,300 |
4,300 |
3,400 |
3,800 |
99年産 |
( 1,350+2,750) |
4,900 |
4,600 |
4,600 |
2,900 |
3,600 |
4,400 |
00年産 |
( 2,450+2,750) |
4,400 |
2,700 |
5,000 |
3,300 |
4,000 |
4,100 |
01年産 |
( 3,500+2,100) |
4,300 |
2,900 |
4,500 |
5,200 |
3,100 |
3,800 |
02年産 |
( 5,600+2,100) |
4,300 |
3,200 |
4,400 |
4,600 |
3,200 |
5,600 |
03年産 |
( 5,000+1,950) |
4,700 |
2,900 |
4,650 |
6,000 |
3,600 |
5,200 |
04年産 |
( 5,900+
) |
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(↑カッコ内左:南半球産)
98年〜03年南半球産球根の出庫数は掘り取り年の9月〜翌年2月10日までの合計出庫数です。04年産の南半球産の出庫数はH16年7月14日までの取扱予定数です。
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当社輸入量 |
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7月出庫 |
8月出庫 |
9月出庫 |
10月出庫 |
11月出庫 |
12月出庫 |
合計1 (当社占有率1) |
合計2 (当社占有率2) |
98年産 |
6,200 |
5,800 |
4,500 |
3,600 |
1,300 |
400 |
47,700(25.6%) |
48,800(26.0%) |
99年産 |
6,600 |
5,800 |
4,500 |
2,300 |
1,050 |
250 |
49,600(26.7%) |
50,800(27.1%) |
00年産 |
7,000 |
6,300 |
3,500 |
1,500 |
800 |
540 |
48,300(27.5%) |
49,200(27.7%) |
01年産 |
6,400 |
6,000 |
3,100 |
1,200 |
700 |
220 |
47,000(28.3%) |
49,050(28.4%) |
02年産 |
5,800 |
5,100 |
3,300 |
1,500 |
860 |
420 |
50,300(28.9%) |
49,400(28.4%) |
03年産 |
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51,250( ? ) |
52,200( ? ) |
04年産 |
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日本の輸入量(推定) |
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参考 |
合計計算式1 (南半球産 + オランダ産) |
合計計算式2 |
98年産 |
150 +186,207 = 186,357 |
187,707 |
99年産 |
1,500 +184,474 = 185,974 |
187,474 |
00年産 |
3,000 +172,709 = 175,709 |
177,709 |
01年産 |
5,000 +161,012 = 166,012 |
172,902 |
02年産 |
11,890〜 +162,022 = 173,912 |
174,022 |
03年産 |
12,000〜 +
? |
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04年産 |
15,300〜 +
? |
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(↑カッコ内左:南半球産の推定球数)
※合計計算式1:同一掘り取り年の南半球産+オランダ産の輸入合計数
※合計計算式2:オランダ産+翌年の南半球産の合計数(03年産南半球産はほぼ確定/04年産南半球産は
8輸出業者の販売見込み:聞き取り調査3月27日現在)
※日本の輸入量はオランダ植物輸出統計及び植物防疫統計より