平成15年5月1日
お客様各位
株 式 会 社 山 喜 農 園
新潟県北魚沼郡堀之内町原1280-1
TEL. 02579-4-2455
FAX. 4-4168
E-mail:info@yamaki-noen.co.jp
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球根情勢報告(修正版)
国産百合
2002年産
小清水産
01年産ほど球根が大きくないので出てきた芽は太くないような印象を受けるが、作は順調でバラツキも少なく良く揃っています。バイラスは昨年比較で減っており、良い結果が出そうなので期待しています。黄色O.T.のコモロ,コンカドールなど、非常に興味深い結果が出ています。
赤塚産早掘り
このコンディションでの促成栽培は近年減少していましたが、新潟県内を中心に若干導入されました。選択された品種が良かったのだと思いますが、久し振りにお客様から褒められる出来となりました(ロイヤルトリニティー,シイラ,イエローウィンなど)。L.A.のロイヤルトリニティーは春のお彼岸に間に合ったようで、相場的にも良かったようです。イエローウィンは輸入球からの切花との品質格差が大きく出て、ほとんど別品種のような草姿となっています(他業者様からの情報でその他のO.T.も同様の傾向だそうで、一般オリエンタルより国産球/輸入球の差は顕著のようです)。
最近の赤塚産早掘り球は、ドライセール用及び秋植え季咲き作型への供給がほとんどでしたが、種球品質の安定している品種を選べば促成栽培向けでも面白いのだと思いました。
新潟県産遅掘り(赤塚産・津南産)
ほとんど使用されていませんのでわかりません。抑制栽培用なのでまだ結果が出ていません。
2003年産
小清水産
昨年より定植作業が10日〜2週間程度遅れる見込みで、ようやく作業が始まる段階です。昨年から比較すると生産数量を減らしています。必要な方は早めに手配していただけたらと思います。
赤塚産早掘り・遅掘り
3月10日頃から定植作業開始。4月30日現在、透かし,L.A.で約20cm、オリエンタル系で20cmくらいの草丈まで伸長しています。定植期の3月の地温が低すぎたのか、昨年よりやや細く見えます。4月第3週にかなりまとまった雨もあり、気温も平年並みに戻ったので(過乾燥高温が1週間以上続いた)、今後回復してくると思われます。
ウィルス除去作業は、昨年はG・W前から始めていましたが、当年はG・Wが明けてからの作業となる予定です。初期成育の段階で寒暖の差が大きくなっています。初期の栽培条件としては大変厳しくなっていますので、大きな管理ミスをしないように注意していかなければと思っています。
県内もしくは東北/北陸/北海道地域においての自家養成産地も同様です。気を引き締めて管理いただきますようよろしくお願いいたします。
津南産遅掘り
津南地区は消雪が若干遅れ、また最近雨続きですのでやや定植作業が遅れるようです。
赤塚地区同様、初期管理の徹底が重要な天候状態です。県内中山間地区の自家養成されている方も、くれぐれも注意深く管理いただくよう、よろしくお願いいたします。
N.Z.産・Chile産・南半球産百合
2002年産N.Z.産
オークランド・ワイウク地区 N.Z.北島(暖かい)
2月6日レポートのとおり、非常に悪い結果となりました。大変残念です。
ラカイヤ地区N.Z.南島(寒暖の差があり冬が寒い)
ティアラなど一部の品種で腐敗トラブル、シベリア,マルコポーロなどでバイラス・トラブルはありますが、全体的には大変良い出来だったといえそうです(P.O.BAKKER社分、V.Z. 社/V.Z.N.Z. 社取り扱い分双方とも)。
東日本(関東以北)を中心に2月10日あたりまで定植期を遅らせた生産地があります。早い定植時期に比べれば明らかに輪付きは落ちますが、他の生産地の球根よりも品質劣化速度が比較的遅いようです。5月採花分が随分残っていて良い品物が出てきています。03年産にも同様な結果が出るかどうかわかりませんが、この生産地域の球根は2年続けて遅い作型でも良い結果が出たといえます。
注意:地域ごとに使用品種傾向が違います。したがってティアラ,マルコポーロ,シベリアの使用率の高い産地においては必ずしも評価は高くないようです。
ゴア地区N.Z.南島(冷涼な気候・オランダに近い)
比較的早い納期の作型に使われているため、4月〜5月の切花での事例が少ないので、多くのコメントは出来かねます。一部、当社在庫処分で販売した球根で、品種特性によるところもあると思いますが、ペサロなどは大変良い結果となっています。比較的早生系の品種を多く作っていたことが幸いして、遅い作型の導入が少ないこともこの産地の事故率を下げる要因になっているようです。
タパヌイ地区
取り扱いが無いためわかりません。
2002年産Chile産
バルディビア地区(暖かい・冬の温度が下がらない)
球根の品質は大変良かったのですが、一部の品種/サイズでの輪付きの悪さには参りました。冬場の作型でも高品質の切花の流通量が増えているため、輪付きの悪いロットに当たって3輪くらいが中心になった方は、今冬から春に掛けての低温のため燃料費もかさみ、まったく利益が出ないという生産者も出たようです(市場では3〜4輪が一番需要があると言われるが単価が出ない)。
カサブランカ,ティバー,アネスアネス,ソルディラ,アスカリなど、N.Z.ラカイヤ地区と比べても輪付きの点で遜色の無い品種もありましたが、メインとなるマルコポーロ16/18,シンプロン16/18,ロンバルディア16/18,ソルボンヌ16/18の輪付きの悪さ、ヴレッター系の新品種の輪付きの悪さは球根価格の高さも相俟って不評でした。しかしながら、18/20サイズになるとN.Z.産ラカイヤ産と違い輪が付きすぎにならず、美しい草姿となり高い市場評価を得たようです。ウィルス罹病率の低さ等もあいまって(切下確保)、生産者の方はこの産地の球根の使用方法を研究していく方向性と聞いています。
03産年産がこの産地の評価を決める勝負の年になると思います。
オソルノ地区(寒暖の差が大きい・冬は寒い)
輪付きの問題も無く作は良かったと思います(特にリカライエン社の球根)。
ピュエウエ地区(冷涼な気候・冬は寒い)
取り扱いが無いためわかりません。
2003年産N.Z.産
オークランド・ワイウク地区
大変残念ですが、現段階の球根販売情勢の中でまだ1球も発注していません。掘り取り期を迎え、各地の作況が定まってきた段階で大幅な欠品が出るようなら導入検討しなければならないのかもしれませんが、基本的には他産地の別の品種を照会するような手立てを選択すると思います。
したがって生産地とのコンタクトはほとんど取っていません。3月26日付で当社ホームページ上に圃場写真が載せてあります。フォローはしていきますが、かなり取扱いは厳しくなると思います。昨年02年産は約460,000球取扱いに対して03年産は今のところ0球となっています。
ラカイヤ地区
V.Z.・N.Z.社 02年産約2,600,000球取扱いでしたが、現在まで約2,400,000球発注しております。同様にP.O.Bakker社分約520,000球取り扱いに対して約400,000球発注しております。
ゴア地区
作が遅れています。掘り取りを遅くする対策が必要と思われます。
02年産約580,000球に対し03年産約870,000球となっております(特定のお客様の注文が大幅に増加したため)。
タパヌイ地区
現段階では仕入予定はありません(試験導入の可能性は残しています)。
2003年産Chile産
バルディビア地区
02年産約1,350,000球取扱いに対して、03年産約1,300,000球発注してあります。
検査のトラブルにより、チリ国において隔離検疫免除ロットが満足にあるのはこの地域のみです。
オソルノ地区
02年産約410,000球取扱いに対して、03年産約90,000球発注してあります。
免除ロットがほとんど無いため、取扱い数は減少します。02年の品質が良かったこと、他産地に無い品種が生産されているだけに残念です。
ピュエウエ地区
03年産約400,000球発注しておりましたが、免除ロットが無いため残念ながら導入できません。したがって確保数は0球です。当社は取扱い実績は無かったのですが、実績のある業者様からの情報によれば、02年産球根の中では最も成績の良かった産地とのことで、紹介できないのは大変残念なことです。
南半球産 全体の動き
当社取扱い分として02年は約5,900,000球ほどだったわけですが、実際は土付き等の事故により約5,600,000球ほどしか納品実績はありませんでした。対して当年は現段階で約5,000,000球ほどの確保数ということで大幅に発注球数を控えております。日本全体でも、前年比較で入荷数の大幅な伸びは無いのではという予測です。当社独自調査では、4月29日現在9輸出業者の合計対日受注数は11,400,000〜11,650,000球の間くらいのようです。前年同期の調査では約13,500,000〜14,000,000球でした(輸入球数ではなくあくまでも受注数の机上計算)。
冬場の栽培コストの割には市場はそれほど高値を出しません。市場も大変努力されて現在の経済情勢の中では充分適正な切花価格になっているように私自身感じていますが、やはり一部の地域では採算ベースに乗らないようです。経費の掛かる作型ですから球根品質/業務精度のさらなる向上が要求されています。導入球数が昨年並みの水準になってくれればと思います。また、地域ごとの作型検討が進めば、適正な導入数がおのずと見えてくるはずです。
オランダ産百合
2002年産
4月28日現在 約44,500,000球確保。
未販売在庫は約250,000球。
02年産の南半球産の結果によるところなのか、チューリップからの品目転換が原因なのか、02年産冷凍球の注文が3月以降入りました。作型/品目の再検討が行なわれているようです(当社の傾向。西日本中心の業者様とは動きが違うかもしれません)。
作況についてはすでにご案内のとおり順調です。一部ソルボンヌ、一部シンプロンで大きな事故が確認されていますが、全品目(透かし/L.A./オリエンタル)ともなんとかこの状況が続いてくれればと思います。国産球の報告でも書きましたが、天候によるところの理由だと思いますが、抑制球納品期を迎えて、若干細い芽が出たことが少し気になっています。
3月末までの日本の入荷数は約98,000,000球で、前年より約600,000球増加しました(2月末日までは約4,000,000球前年比を下回っていた)。3月26日のレポートでは早期輸入率は近年減少してきていると記しています。全体の輸入球数は増加するという輸出業者もおりましたが、逆に減らしている業者もおりますので、最近追加で発注した球数を加えても大きな増加にはならないと思います。
参考:山喜農園の状況
(ニュージーランド) (チリ) (オランダ)
当社輸入状況(N.Z.産 +Chile産 + N.L.産)及び98年産〜02年産百合球根弊社出荷状況及び予定
(単位:1,000球)
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12月出庫 (N.Z.+N.L.) |
1月出庫 |
2月出庫 |
3月出庫 |
4月出庫 |
5月出庫 |
6月出庫 |
7月出庫 |
8月出庫 |
98年産 |
(130+3,270) |
4,000 |
2,700 |
4,300 |
4,300 |
3,400 |
3,800 |
6,200 |
5,800 |
99年産 |
(1,350+2,750) |
4,900 |
4,600 |
4,600 |
2,900 |
3,600 |
4,400 |
6,600 |
5,800 |
00年産 |
(2,450+2,750) |
4,400 |
2,700 |
5,000 |
3,300 |
4,000 |
4,100 |
7,000 |
6,300 |
01年産 |
(3,500+2,100) |
4,300 |
2,900 |
4,500 |
5,200 |
3,100 |
3,800 |
6,400 |
6,000 |
02年産 |
(5,600+2,100) |
4,300 |
3,200 |
4,400 |
4,600 |
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03年産 |
(5,000 ) |
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(↑N.Z.+ Chile)
ニュージーランド/チリ産球根の出庫数は掘り取り年の9月〜2月10日までの合計出庫数です。
参考 |
9月出庫 |
10月出庫 |
11月出庫 |
12月出庫 |
合計1 |
合計2 |
日本の輸入量(推定) (N.Z.+Chile+N.L.) |
98年産 |
4,500 |
3,600 |
1,300 |
400 |
47,700 |
48,800 |
150 + 186,600 |
99年産 |
4,500 |
2,300 |
1,050 |
250 |
49,600 |
50,800 |
1,500 + 183,100 |
00年産 |
3,500 |
1,500 |
800 |
540 |
48,300 |
49,200 |
3,000 + 172,400 |
01年産 |
3,100 |
1,200 |
700 |
220 |
47,000 |
49,050 |
5,500 + 160,200 |
02年産 |
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50,100 |
49,500 |
12,000〜+ 163,000(予定) |
03年産 |
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12,000〜+ ? |
(↑N.Z.+Chileの推定球数)
※合計計算式1:同一掘り取り年のオランダ産+南半球産の輸入合計数(02年産は予定)
※合計計算式2:オランダ産+翌年の南半球産の合計数(02年産は予定)
2003年産
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4月末日対オランダ発注数 |
4月末日オランダ産受注数 |
最終受注数(計算式2) (N.L.産+N.Z.産+Chile産) |
日本全体(計算式2) |
00年産 |
40,400,000球 |
32,800,000球 |
49,200,000球 |
177,900,000球 |
01年産 |
26,500,000球 |
22,400,000球 |
49,050,000球 |
172,700,000球 |
02年産 |
27,500,000球 |
25,000,000球 |
49,500,000球(予定値) |
175,000,000球(推定値) |
03年産 |
26,700,000球 |
24,000,000球 |
? |
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本年は参考価格表(事前の価格状況報告)等の配布を行なわずに、4月9日〜11日に掛けて冊子で価格表を配布させていただきました。
事前に「球根情勢報告」等で情勢についてはご説明させていただいておりましたが、本年産の価格表作成はこれほど迷いに迷って作ったことはないというくらい「難儀」な年となっています。私自身のお客様へのアドバイスとして「ゆっくり、じっくり考えて導入検討をしてください」と言い続けてまいりましたが、円安のため(今現在もますます進行中)、あまり円価ベースではわかりにくいかもしれませんが、オランダ渡し価格の大幅な下落はすでに球根農家の生産原価を大幅に下回っているため、本当にこの価格を仕入価として適応してよいのかという迷いがありました。P.O.社/V.Z.社などの仕入価を基本ベースに作成しましたが、日本市場においてマイナーエクスポーターといわれているクラスになると更に下回った価格が提示され、大いに迷わされました(特に中国/台湾への輸出量の多い会社)。適応為替の変更もさることながら、オランダ業者からの販売価格も大きく変動する要因が含まれている価格表と認識していただきたいです。現状では価格が下がることよりも上昇することを想定されていた方が良いのではないかと思います。
透かし百合 → 据え置き (オレンジ系一部値下がり・黄色系上昇)
L.A. → 据え置き (高いものは据え置きから下降・安いものは上昇)
鉄砲百合 → 据え置き
オリエンタル → 据え置き (高いものは据え置き・安いものは上昇)
という直近の動きになるのではと予測しています。よろしくご検討いただきますようお願いいたします。
大手切花市場の中に「これ以上球根価格は下がるべきではない」というコメントをしてくれた方がおりました。切花農家に慰めていただけるだけでなく、その先の花市場の方にもそうしたコメントをいただく情勢になってしまったことは、どの立場(球根農家/輸出業者/船舶会社/通関業者/輸入業者/農協/生産者/運送業者/花市場/花屋さん)にとっても残念なことですが、これも現実です。頑張っていくしかありません。
今年度もよろしくお願いいたします。
N.Z.産チューリップ
2003年産
若干入荷が遅れて6月第一週くらいになる予定です。
オランダ産チューリップ
2003年産
4月21日のバンザンテン社のレポートにもありますように、作況/球根取引情勢共に不安定です。
当社の状況は
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4月末日の対オランダ発注量 |
4月末日の受注量 |
最終受注数 |
日本全体 |
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00年産 |
8,350,000球 |
7,950,000球 |
9,400,000球 |
260,000,000球 |
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01年産 |
7,800,000球 |
7,400,000球 |
9,400,000球 |
296,000,000球 |
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02年産 |
6,450,000球 |
6,200,000球 |
10,200,000球 |
238,000,000球 |
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03年産 |
6,280,000球 |
6,200,000球 |
? |
? |
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昨年とほぼ同様な推移となっております。本年はドライセール用/営利栽培家向け両方とも減少を予測しておりますが、今のところ昨年並みの動きとなっております。昨年から比べると、当社への供給業者のバランスが若干変化してきているようです。これは品種変更/輸入方法の変更によるところが理由と思われます。
※今年は花芽が遅れると思います。芽形成が遅くなる年は、過去の経験からV.Z.社が良い仕事をしているようです。花芽の早い年はどこの会社の球根でもそこそこの結果となるようです。追加ないし新規にご注文される方はその辺りも意識した方が良いかもしれません。
以上、情勢報告でした。