平成13年10月16日

お客様各位

株式会社 山喜農園

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球根情勢報告

 

2001年産オランダ産チューリップ球根

 

販売状況

 

 現在、約 9,200,000 球受注

 昨年の販売球数は約 9,600,000 球ほどなので最終的にはほぼ横這いとなる予定です。

 

 傾向としては

 

・切花用球根 営利栽培家向けは減少

・ドライセール用球根 量販店向けは増加 

 

 となるようです。

 

 全国の状況は、営利栽培家向けは横這いから微減と言われておりますが、まだ詳細は掴めておりません。量販店向けドライセール用球根はほぼ横這いから微増と言われておりますが、まだ詳細は掴めておりません。

 

 業界で言われているのは国産球根の流通球数の大幅減少、これもまだはっきりとした数字はわかりませんが、00年産 約 98,000,000 球に対して約 79,000,000 球と言われているようです。国産球の 85 %〜 90 %がドライセール用と言われておりますので、トータルドライセール用球根についても減少が見込まれています。ドライセールマーケットについては円安及び流通コストの増加から当初販売不振と言われておりましたが、現在のところ特別な過剰感も無く順調に推移しているようです。例年に比べて値崩れを起こすことが少ない、業界にとっては良い年になるのではと思います。

 

 

着荷状況品質

 

 無冷蔵船便での入荷は全量終了しています。本年はすべて 20 feetコンテナでの輸入、建造3年以内の新冷蔵機種搭載コンテナを使用いたしましたが、約 360 〜 370 ケース積載のところ平均で約 80 ケースが一時検査不合格選別作業を行なうという流れになってしまいました。過去最高のフザリウム発生率となっています。この為入荷遅れ等が発生しましてお客様にはご迷惑をお掛けすることになりました。大変申し訳ありませんでした。発生割合は3%〜4%ほどの品種がほとんどでしたが、酷いものになると30%〜60%という品種ロットも数回あり、これらについては選別はしたものの結果的に納品を見送るというケースもありました。

 

 2001年産のオランダ産チューリップ球根は速報値で約8%のフザリウム発生とのことで、球数にすると約3億球が廃棄されたということになるようです(これは日本の総輸入数より多い球数となります)。農家の大規模化、大型機械化、農薬規制など、この傾向はしばらく続きそうで大変不安な気持ちとなっています。例えば、開花球がこれだけ酷ければ当然ながら養成球も同様の傾向となるはずで、ある程度のフザリウム球・劣化球は機械除去できますが、本当に綺麗なものにしようと思えば熟練した作業員が2名で35 ha分を検品しようとすると約75日間の時間が掛かるそうです。大きな農家になると、この人間による検品作業を行なっていない方が出てきていて、「10%以上多く植え付ければ良い」というラフな考え方をする人がいるそうです。

 

 2001年産は春以来寒い日が続き、データから見ると7月6日が最も栽培圃場の窒素濃度が高かったとのことで、球根が吸収できる量の3倍〜5倍近い量になってしまっていたとのことです(当然3要素バランス・微量要素バランスは無視されている。固くて締まったものはできにくい)。また、最近の傾向として、畑のコンディション生育状況を観察しながら必要な養分を補うという農家らしい作り方から、土壌調査を行ない「どこまで窒素成分を与えることができるか」=「どこまで肥大させることができるか」という作り方が、指導体制から始まって農家レベルまで机上計算で行なわれるという状況のようです。

 

 「日本の米」も一時または今現在も気象変動に耐えられない生産をされている地域があると聞いていますが、現在のオランダチューリップの球根はあまりにもコスト削減が行なわれてきたことの弊害が著しく出てしまっているようです。ヨーロッパの畜産業界では、行き過ぎのコスト削減・大規模生産・生産業者を殺しかねない消費者への利益供与(価格を下げる)が疫病発生を引き起こし、逆に消費者離れを起こしかねない状況になってきています(近年、透かし百合やアイリス切花でも似通ったことが起きていた。また、チューリップでも起きつつある)。

 

 本年ばかりか来年以降もこういった問題が継続して起きてくることが予想されるわけですが、輸出業者・輸入業者ができることは、構造的な問題に立ち向かっていくにはあまりにも組織として弱過ぎます。強い品種を探してといっても、イルデフランス・モンテカルロ・ピューリッツアといった強い筈の品種すら汚染されてきているのが実体だそうです。優秀な基本を忘れないで品質重視で作ってくれる農家からのみ仕入れたいとも考えますが、それがどこまでできるかもわかりません(何故ならばすでに行なっているのに結果がなかなか着いてこない)。

 

 私事ですが、JFTA(日本花き球根輸出入協会)品質管理担当理事を申し付かっておりまして、来る10月18日に東京にてDBEA(オランダ球根輸出業者協会)との会合が予定されています。当然、このような場所でも積極的に発言していきたいとは思っています(どれほどの効果があるのかはあまり期待もできませんが)。

 

 新潟のような球根産地にある切花産地であれば、勿論日本産球根の見直しということも考えられますが、流通/販売状況の動きからもわかるようにやや弱体化してしまっているようにも見えます(切花用目的の球根生産があまりにも少なすぎる)。新潟県に元々ある球根栽培技術を活かして「新潟のオリエンタル系百合」を日本一の切花品質水準に持ってきたという成功例もあるわけですから、チューリップ切花農家も自身で種苗を確保するのもひとつの手段かもしれません(オランダの大手切花農家のほとんどが、自作球を持った中で購入球と組み合せながら経営されている)。

 

 来年の話をするにはまだ早すぎますが、大きく販売方針/仕入れ方針を変えていかなければならないと考えております。

 

5℃冷蔵船便

 

 大幅にステージG到達が遅れた中で、第一便が9月下旬より入荷し始めました。着荷後エチレンカット付き+24時間空気循環+湿度80%調整+設定温度4℃というコンディションにて、冷蔵完了1週間前まで保管するという方法で管理しています。花芽が遅れていて、尚且つ芽揃いがあまり良くないことが想定されておりますので、生産者の皆様には冷蔵完了日よりも更に追加冷蔵1週間から10日行なっていただき(納品より2週間〜17日後が目処)、根盤発達・芽の状態等を確認された中で作業を行なっていただきたく、よろしくお願いいたします(もし冷蔵完了明けの納品をご希望される方がおられましたらご連絡ください)。

 

 切花農家レベルでの保管温度は2℃〜4℃くらいが望ましいです(品種と目的により異なります)。

 

 11月10日以降は当社冷蔵庫の設定温度も2℃に下げる予定です。無冷蔵船便と違い、今のところ港での一時不合格ロットは0です。着荷状態は今のところプラスチック栽培球+アーリー球しか見ていませんが、外観と芽の大きさ、根盤の発達は良さそうに見えます(カイゼリンなど)。

 

 花芽遅れの為の納期変更から作型に乱れを生じさせてしまい、誠に申し訳ありません。また実際に栽培されていないので何とも言えませんが、少なくとも「無冷蔵船便よりはフザリウムが出ないだけまし」という気分です。

 

 

推定切花用チューリップ球根輸入量

 

 

合計輸入量
(確定値)

 

営利栽培家向け
(推定値)

 当社輸入量
(確定値)

 

 

 

 

 

 

 

95

205,800,000 球

 

103,600,000 球

11,374,000 球

 

96

207,500,000 〃

 

97,200,000 〃

11,590,000 〃

 

97

222,000,000 〃

 

95,000,000 〃

10,795,000 〃

 

98

239,200,000 〃

 

95,500,000 〃

11,818,000 〃

 

99

250,100,000 〃

 

92,600,000 〃

10,478,000 〃

 

00

259,400,000 〃

 

89,700,000 〃

9,600,000 〃

 

01

    未 定

 

      未 定

9,200,000 〃

(継続)