平成23年9月13日

お客様各位

株 式 会 社  山 喜 農 園

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球根情勢報告

9月期ヨーロッパ出張報告兼球根流通状況

 平素よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。

 

 全国的にあちらでもこちらでも気象災害ばかり起きています。

 当地魚沼でも、豪雪/長野北部地震・新潟福島水害と、踏んだ入蹴ったりの状況です。東北・東日本の地震/放射能問題/近畿水害などよくもまあこれだけ酷いことが起きるものです。

 「10月上旬にもう一度大きな地震が来る」なんていう噂も、まじめに心配しなければいけないのか?と思ってしまうくらい「人間の都合」通りには地球は出来ていないなあとつくづく思います。

「農業は天気仕事」ですから、直接その変動の影響を受けるわけで、改めてストレスフルな仕事だなあと感じています。昔はこれが当たり前だったんでしょうかね?……。

 

こんな厳しい状況で、花が消費者に支持されて安定的な価格で売れることを願っています。

 

 国産百合(新潟県産)

10年産 遅堀  まずまずの品質となっている様です。

11年産  早掘  予測に反して球根の仕上がりはやや悪く、肥大も小さめとなってしまいました。

    遅堀  水害の後、天候回復もあり、大きく育ってくれることを願っています。

 オランダ百合

10年産

 植物防疫統計によれば、09/10年産で、入荷量やや増加となる様子。

(昨年比1,5002,000,000球の増加見込み)

 ドライセール用種球の減少を考えれば、営利栽培家向け球根は、08年産の流通数くらいまでは回復する様です。ただし、日本国内の流通在庫はほとんど無く、球根出庫も順調に進んでいる様です。日本全体でも、平らな作付計画が出来るようになってきているのではないかと考えています。

 

 オランダ輸出業社/日本の球根業社の予測に大きく反して、ここまでに出庫した球根については明らかに事故が少ない。これは「謎」です。なぜこんなに事故が少ないのか分析が必要。10年産の球根で品質良好と分析した人間を私は知らない。全員が外れた。これは良い方にはずれたとはいえ問題です。(これから急速に力が落ちると言っているオランダの切花農家も何人かいましたが…。)

 

11年産

 02年から今年でちょうど10年になる9月期のヨーロッパ出張に行ってまいりました。5月、6月、9月と本年3回目の出張となります。

 作況については6月期出張の時に確認してきたことを追認するかたちとなります。

@  PLAMV(オオバコモザイクウイルス)の球根圃場発症状況

 109月期に比べれば、同一圃場内の発症割合は減少しているように見えました。(イコール発症率が下がるわけではない。圃場品質と切花品質の相関性は思いのほか低い。)

ただし発症品種数/ロット数は、増加している様です。ウイルス検査方法が昨年比大幅に改善されていますので、全く無事故にすることはできなくても、比較的きれいな球根が入ってくる可能性/準備は整いつつあるように感じています。決して楽観的な訳ではありませんが、関わる団体すべてが問題意識を共通に持って、前に進んできていることを強く感じました。

 

A  A.H/L.Aは、5月の遅霜の影響をほとんど受けていません。したがって、北部・東部(ポールダー含む)・南部ともに、昨年同時期比で肥大も良く、品質の良い球根が出来るように見えました。

 

B  O.H/O.Tは、北部・東部については遅霜の影響を受けている畑の作況予測は、6月の段階での予測より悪くなっているように見えます。特に東部は平年以上の降雨量の影響で、畑が部分的に灌水してしまい、窒息している圃場がビックリするくらい多くあり、また、その被害が9月上旬の生育ステージで相当な面積で確認することになりました。「これでは作況収量予測することは不可能だなあ…。」と感じました。(あくまで遅霜の被害を受けている畑についてです)

 

一方南部オランダでは、10年足らずの9月期圃場確認の経験の中では12を争う良い出来となっているように見えました。肥大/品質両方ともに良い球根が出来るように見えます。

 

東部/南部のO.H/O.Tの面積比率は、ほぼ5050くらいなのですが、日本向けの色物品種は東部の方がやや多い様ですので、やや欠品傾向の品種が出るかもしれません。一方、一般在来系に分類される品種(V.Z社育成種含む)は南部でもちゃんと作られているので、納品率・品質とも高いと思います。(V.Z社が空売りしていれば別。)

 

*今回は、「日本花卉球根輸出入協会」の理事として、フランス訪問もしてきました。フランスの球根農家・ボルドー地区輸出品PR団体・全農?・防除所?・植物防疫所の方々,とお会いしてまいりました。次回報告させていただきます。

南半球産百合

11年産

 

323日輸出業社からの聞き取り調査の段階では

A.H/L.A

3,961,600

O.H/O.T

25,541,925

となっていました。

818日〜26日の間に再度聞き取り調査を行ったところ

A.H/L.A

3,798,625

O.H/O.T

23,239,200

となった様です。

 

 発注ピークから見ると、A.H/L.Aで △162,975球となる様です。

 30%近く欠品した、Rトリニティ・デジール・カプレットなどの代替が、D.J社のダイヤモンドシリーズC.HL.Aなどで代替された様です。ほぼ適正(やや少なめ)な入荷量だと感じています。

 

 O.H/O.Tについては、主要な輸出業社の日本の苦境を踏まえた最大限の他国への転売努力のおかげで、発注ピーク時より、△2,302,725球の減少となった様です。10年産の入荷数は約22,960,000球と推定されますので、昨年比やや増加となる様ですが、これは埼玉県深谷地区大手の切花生産団体様のオランダ産から南半球産への変化の動きとほぼ一致しているとの事です。

 

今回初めてとったアンケートが、

南半球産における白系O.H/O.Tの割合です。

total

白系

白系割合

10年産S.HO.H/O.T

22,960,000

9,512,300

41.4%

11年産S.HO.H/O.T

23,239,200

9,277,050

39.9%

 

 1年間を通しての白系割合は4446%くらいと考えられますので、冬場は燃油代等の関係・春のピンクの需要の強さなどから、色物の割合が高まるようです。(あくまでも南半球産の動きのみ。オランダ産の入荷割合は不明。)

 白系割合については品種別の調査も行いました。(但し、品種の動きは主要4社からのみの聞き取り。)

結果 カサブランカ、リオブランコ、ノバセンブラ、リアルト、その他シンプロン、トップホワイト、ラグナ などが減少。

   特にリアルトのチリ産は激減した様です。 (リアルトについては、N.Z/C.H合わせても3035%の減少。)

   コンスタンタ、シグナム、サンテンダー、シベリア が増加となった様です。

 以上、直近の球根流通状況/作況報告でした。不明な点等ございましたら、お問い合わせください。                  

森山 隆