平成23221

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株 式 会 社  山 喜 農 園

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球根情勢報告

11年産南半球産百合球根価格表送付にあたり

 

平素よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。

 南半球産ユリ球根価格表が完成いたしましたのでお送りいたします。(枚数が多いため、後日郵送されると思います。)

 よろしくご確認ください。

 

 本年の特徴は、球根価格の安かった品種の価格がやや上昇。高かった品種の大半がまだ価格確定していない品種がほとんどですが、横ばいからやや下るという傾向となるようです。

 日本円もEUROに対して円高ですが、N.Zドル、C.Hペソはさらに通貨高の為、(資源国通貨高の為約4555%高だそうです。)FOB価格(現地渡し価格)が大幅に上昇してきてしまったことにより、球根価格上昇となってしまいました。

 世界経済の影響からはやはり逃げ切れないという事の様です。

 

 日本の経済は、混迷を深めるばかり。食糧・燃油価格も上昇。高止まり。

 はてはて困ったものです。

 

 今年、球根業界が出来る燃油高対策・春作時発症病害対策は、開き直って、寒さや、気温地温変化に耐えられる、\5/\10-の球根代の差よりも、総合的な生産経費が下げやすい球根を、意識した仕入構成を、輸出業者の理解を得て行ったつもりです。

 

*ちょっとびっくりしていますが、地域・施設により、2月下旬/3月上旬作型の場合、1本当たりの燃油コストが  L.A系で\2040-、 O.H系で\45100-、  という大きな差が発生している、(カサブランカはもっとすごいことになっているのでしょうね?)

 

 という話が、輸出業者の聞き取り調査、各地の普及センター調査などで出てきている様です。

 「まさか?」と思いましたが、事実なら本当にびっくりです。

 被覆材の改善やヒートポンプの導入などと同様に、「気象変動に強い、しっかり根の張る球根」「気温地温の変動の影響に少しでも耐性があると思われる球根品種」が総合的な生産コストの軽減につながれば、と考えています。

 

C.H産ソネ社の球根の使い方をよく考えましょう。比較的コストが抑えられて、使う時期を間違わなければ上位等級出荷率が維持できて、種苗費も抑えられます。本来使うべき作型に使わなければ、上位等級率は当然下ります。なにより到日日数が、N.Z産より早いはずです。

球根産地選択が、重要なコストコントロールになってきました。

 

 今年の価格表のもう一つの特徴は、

 N.Z産で

 「NIS」 (ネイピア産/北島産の球根。暖かいところで作られた1年栽培球)

 「2N」 (2年連続/1.5年栽培の球根=秋植え球根=納期的には標準球と同じころに入荷可能)

 「TL」 (2年連続/1.5年栽培の遅堀球根=秋植え球根=納期的には標準球と同じ頃に入荷可能)

  標準球    (ゴア・ラカイヤ産/南島産の1年栽培球。)

に分けました。

 

 C.H産では、従来分けていた、標準球とPUGコード販売球に加えて「LOS」コード販売分をいくつかの品種について行いました。

 これは、サンハーベスト社産のシベリアとソネ社のシベリア、サザンバルブス社のシベリアを分けて販売するためです。

 サンハーベスト社はC.Hの百合球根産地の中ではもっとも北に位置していて、最も暖かい気象条件で球根が作られている為、やはりソネ社(バルデビア)サザンバルブス社(ピュエウエ/オソルノ近郊ロサンジェルス近郊)とは分けざるを得ない、という事になったのです。

 

 サザンバルブス社/バルボスデスロスアンデス社には可能な限りにロサンジェルス近郊に対応していただきたいとお願いしていますが、まだちゃんと分けて売ってくれないので「コード化」できませんでした。

 

 各地の球根産地一極に需要が集中するのはおかしいです。球根を使用する各県の気象条件・作型により、向き不向きがあるはずなので、よく供給業社(当社だけでなく)と打ち合わせを行ったほうが良いと思いますし、「この産地が無ければ、次の候補は?」という柔軟な対応も求められるはずです。

 

 年毎に各地球根生産地の気象条件は違いますので、必ずしも予定した通りの結果にはならない場合もあるはずです。あくまでも「確率」を良い方向に上げていく為に行うものです。

 

 今年の台湾は、九州地区(特に離島)が寒かったことからも想像できますが、12月がかなり寒かったようです。(南アメリカ・太平洋のラニーニャの影響?)10年産球根の力が比較的無かった事もあり、極端に需要が、C.HからN.Zへ移動してしまった様です。(N.Z産価格上昇のもう一つの要因)

 

やや過剰反応のような気がします。

 

 高知県の中村農園様のレポートにもあるように、11年産は少なくともここまでの所のC.H/N.Z両国とも球根栽培時気象条件は10年産に比べればずっと良い様です。N.Z産の欠品率も例年少なくはありまでんので、その辺も含めてバランスを考えていきましょう。

 

 なお、物流サービスは、ヨーロッパ航路以上に、特にC.Hについては不安定極まりないものとなってきています。(C.Hの輸出業者の業務内容もどちらかと言えば、アメリカ/ヨーロッパ市場に偏重ぎみに構成されている。

 時差の関係や日本との距離の問題も当然あるでしょう。)

 

*この時差が日本とアジアとは大きくて、アメリカヨーロッパとは少ない、という条件は、栽培されている品種構成やサイズ構成にも影響してきています。「地理的条件」という事なのでしょうが、オランダ人が絡んで「自分たちのできること」「自分たちの良いところ」「自分たちの出来ないこと」「自分たちの悪いところ」の見極めが早いと思いました。

 

 その条件の中での自分たちの立場を受け入れ、出来ることを一生懸命やるのは立派だなあと思います。

 

 N.Zについては、2N/TL球でも、例年の納期は維持できると思います。

 

 運賃がやや上昇した事。3つあった使える港が2つに減った事。北島産と南島産の同送が出来ない事。他輸入業社様との積み合わせ依頼が増加しそうな情勢(輸出業社の都合。これはC.H産も同様)などで、原価計算をいくらか変えさせて頂いております。

 N.Z産はやや上昇、C.H産かなり下げて、結果N.ZC.Hの流通経費を同じくしました。例年通り、日本郵船様のコンテナを使用する予定です。

 

 近年の取り扱いの傾向

 

 *99N.Z産、02C.H産のユリ球根隔離免除以降、東日本での取り扱い割合の高い弊社は、一貫してN.Z産取り扱い比率が高い水準に維持されてきている、そこの部分でのブレはありません。

 

N.Z

C.H

全体

09年産

日本

全体(植防値)

16,497,975

8,261,138

24,759,113

O.H/O.T系(推定)

13,497,975

7,161,138

20,659,113

A.H/L.A系(推定)

3,000,000

1,100,000

4,100,000

山喜農園

全体

4,790,575

2,195,382

7,419,332

O.H/O.T

3,510,400

2,195,382

5,705,782

A.H/L.A

1,280,175

433,375

1,713,550

10年産

日本

全体(植防値)

17,374,575

8,550,085

25,924,660

O.H/O.T系(推定)

15,074,575

7,870,085

22,944,660

A.H/L.A系(推定)

2,300,000

680,000

2,980,000

山喜農園

全体

5,496,025

2,219,610

7,715,635

O.H/O.T

4,512,625

2,014,435

6,527,060

A.H/L.A

983,400

205,175

1,188,575

11年産

日本

全体(未調査)

-

-

-

山喜農園

全体(221日現在)

6,275,075

1,515,200

7,790,275

O.H/O.T系(221日現在)

4,714,475

1,256,950

5,971,425

A.H/L.A系(221日現在)

1,560,600

258,250

1,818,850

 

11年産については最終的にはN.Z産が欠品して、C.HVletter系の追加発注がなされ、バランスがある程度調整されるのだろうなあと思います。

 

 

オランダ産百合球根

 南半球産の流通を分析するのにどうしても不可欠なのがオランダ産ユリ球根となります。

 

日本全体

山喜農園

08年産

117,421,271

35,413,000

09年産

113,505,831

34,636,000

10年産

112,500,000

34,522,000

(H23221日現在)

114,500,000

 

当社の場合

08/09

A.H/L.Aは横ばい

10年南半球産の不足の替わりに09年産オランダの抑制分が増加)

O.H/O.Tは減った

10年南半球産の増加とのバランス)

09/10

A.H/L.Aは減った

11年南半球産の増加を見込みして、

   埼玉地区の注文が減った。日本全体はどんな対策?)

O.H/O.Tは横ばい

(前年の夏秋期の品薄の影響)

10/11

A.H/L.Aは横ばいを予定

(南半球産L.Aの生産が安定することを期待)

O.H/O.Tは減少を予定

(南半球産の使用時期の拡大を予想)

 

 オランダ産百合球根使用にとって、かなり大きな影響が出そうなのが船足です。45週間が67週間に変わってしまったことで、すでに大きな影響が出ています。

 中東近辺の不安定な政治情勢から、仮に南アフリカ希望峰経由なんてことになったら、チューリップやアイリスの球根の輸送ってどうすれば良いの?

オランダ産百合の12/1月使用は本当に難しくなりますね?

ちなみに

11月オランダ出航球数

12月日本国内検査終了数

09年産

11,000,000

9,300,000

10年産

14,000,000

8,750,000

 

出航球数が大幅に増加しているのに、内貨貨物となっている検査が終了した球数は逆に減少しています。したがって1月内貨分は大幅に増加している。当然!

 

 南半球産のL.Aの増加がものすごく期待されるのは、この辺の影響もあるのです。(オランダ産の長期抑制よりはずっと良いでしょう?)

 

 10年産オランダ産百合球根は10数年ぶりのひどい欠品の年をなりました。

 メキシコ、中国、台湾、ベトナム、韓国とも球根が絶対的に不足することを願っています。(増加予定の11年産南半球産をくってもらう為。)

 

 品質的には力の無い・青かび・りんぺん腐敗・冷凍障害の多い年となる予定です。(特に7月以降出庫作型では「力の無い」球根になることが見込まれています。ただし前半戦は良いと思います。)

これらを踏まえて、生産計画の調整を行ってください。よろしくお願いします。

 

詳細はお問い合わせください。

本年もよろしくお願いいたします。  

        森山 隆