平成21917

お客様各位

株 式 会 社  山 喜 農 園

新 潟 県 魚 沼 市 原1280-1

TEL. 025-794-2455

FAX.025-794-4168

E-mail:info@yamaki-noen.co.jp

HP Adress.http://www.yamaki-noen.co.jp

 

 

球根情勢報告

 

平素よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。

 

本年も残す所、3ヶ月半となりました。昨年に続き厳しい生産販売環境が続いています。(球根屋も、切花屋も、きっと市場も、花屋さんも、みんな厳しいです。)

 

私、個人的には平成16年の12月末頃から平成17年の6月末くらいまで、本当に悩んで悩んで、挫けそうでなくて、完全に挫けてしまった半年間を経験しています。

「何が原因」だったかはともかく、忘れたくても忘れられない経験でしたが、丁度、「前厄の歳」とも重なっていたので、「きっと誰しもが経験することなのだろう」と今になれば思えます。

 

とっくに終わっていたはずの平成園芸バブルの終演を、誰しもが受け入れざるを得なかった昨年、そこからの脱却を目指さなければいけないのが平成21年、平成22年になるはずだと思います。(来年には球根切花では、光が見えてくると信じています。)

 

我が切花業界全体が、間違った方向性を目指していたように感じていますので、誰も逃げ切れる人はいないはずです。(大なり小なり影響を受けてしまうという意味)

 

昨年は、この後半の3ヶ月半は最悪でした。

立ち直るきっかけが出来るもできないも、今年、この最後の3ヶ月半が重要です。「景気は2番底を向かえる」、などと、相変わらず悲観的な話が多い様ですが、気を張って、ガンバルしかないと思います。

 

「球根屋」は、我慢して、我慢して、「肩の力を抜いた仕事」をするのが1番大事な時期だと思います。(個人的にはアクセク稼ぐ方なので、我慢するのは本当に大変。)

 

今は、「品質向上」「納品精度」「情報精度」を上げる事。それだけです。

国産百合

08年産  促成栽培…まずまず。多少バイラス発症率高かった。球根の力が無かった為だと思います。

 

     抑制栽培57月出庫作型

*新潟県内露地型作型

*東北地方雨よけ作型

          …両方ともに、極端な寒暖の差、低日照・多雨の為、切花栽培環境は近年では最悪。

           品質の高い百合切花を目指すこの方々にとっては、08年産国産百合の力の無さを(当社試験栽培の結果からも想定できていた事)凄まじい努力でカバーしようにも、カバーし切れず、挫けてしまいそうなほど大変なことになっていると思います。目指す方向性は決して間違っていないはずです。

           球根屋は、頑張れ頑張れと励ますか、黙ってみていることしか出来ません。

           頑張ってください。

      抑制栽培89月出庫作型

*暖地施設作型。まだわからない。心配してもきりが無い。

09年産  8/9月早掘り作型

         …生き残った球根農家はすごい。この劣悪な気象条件の中でまずまずの結果を出している。但し、仕上がり率は近年では最低。0.T系など品種によって収穫率が80%をきる物も出ている。多雨・低日照の影響と考えられる。肥大は普通。

     10月下旬/11月遅掘り作型

         …球根が太るのはほぼ決定的。今後の天候次第で品質は決まる。今の所、根盤は、かなり小さめとなっている。

 

南半球産百合

09年産 N.Z

 

ネイピア地区

作況まずまず

ラカイヤ地区

作況悪い。欠品相次ぐ。

ゴア地区

作況まずまず。

 

*ラカイヤ地区の主要品種の欠品は15%〜40%。

 同地区産での代替品種、作の良かったネイピア地区・ゴア地区で代品確保を行い、N.Z産全体では発注ピーク時(630日末)から見て3.4%の減となっている様です。(98日現在)

 

CH

 

ピュエウエ・オソルノ地区

作況まずまず

バルデビア地区

原因はまだ説明されてないが、大幅な欠品。

 

 

ヴレッタ系新品種で7080%欠品。

 

 

ソルボンヌで6070%欠品。

 

 

記録的な欠品となった。

ロスアンジェルス/

作況まずまず

     その他地区

 

 

*バルデビア地区の欠品率はオランダ球根業社でもあまり経験が無いとの事。(1930年〜1980年頃にはチューリップその他の作況で、経験しているとの事。)

今回の欠品については、私は、その原因に人為的にも失敗?…という疑いを持っています。

それは、各養成球サイズ毎の栽培後、仕上がりサイズ/仕上がり率の見極めの甘さが原因ではないか?という事です。

2010年産用の定植がスタートしています。よくよく注意していただく様、お願いし続けます。

様々な代替確保を行い、C.H産全体では発注ピーク時(630日)から見て6.3%の減となっている様です。(98現在)

 

*参考1(日本全体)

 

 

 

 

 

07年産

N.Z

 

C.H

 

合計

 

A.H/LA

1,159,275

142,900

1,302,175

O.H/O.T

16,852,290

7,171,865

24,024,155

 

18,011,565

7,314,765

25,326,330

08年産

 

 

 

 

 

 

A.H/LA

2,547,000

653,500

3,200,500

O.H/O.T

12,689,940

8,453,695

21,143,635

 

15,236,940

9,107,195

24,344,135

09年産(9月8日現在)

 

 

 

 

 

A.H/LA

2,940,850

1,094,500

4,035,350

O.H/O.T

13,409,350

7,302,140

20,711,490

 

16,350,200

8,396,640

24,746,840

 

 

 

A.H/L..A

O.H/O.T

 

 

 

07年のN.Z/C.H比率

8911

 

7030

 

25,326,940

 

08年のN.Z/C.H比率

8020

 

6040

 

24,344,135

 

09年のN.Z/C.H比率

7327

 

6535

 

24,746,840

(98日現在)

 

 

 

 

 

 

 

 

*参考2(当社の場合)

 

 

 

 

 

 

 

A.H/L..A

O.H/O.T

 

 

 

07年のN.Z/C.H比率

937

 

7426

 

6,738,000

 

08年のN.Z/C.H比率

8119

 

5644

 

6,883,000

 

09年のN.Z/C.H比率

7525

 

6238

 

7,421,000

(915日現在)

 

08年産オランダ産百合球根O.H/O.T系球根は世界市場に対して不足というのが結論です。

09年産南半球産百合球根O.H/O.T系球根は世界市場に対して不足というのが結論です。

 

*但し、球根が不足している、切花流通本数が減少する事が、イコール切花価格が安定する、又は高騰する、という状況になっているのはアジアのみ。ヨーロッパ/アメリカの市場は、回復の兆しが全く見えてこない様です。

 この様な情勢ですので、2010年産南半球産球根の取り引きは、09年産ほど遅れないかもしれませんが、少なくともオランダ産掘り取り結果、他アジア諸国における2010年の旧正月の切花相場の見極めがついた頃から始められれば良いがと考えています。

 

オランダ産百合

08年産 日本全体約117,000,000球、 輸入確保。(推定昨年比11.4%減)

*日本は21世紀以降の輸入ピーク時から見て、約29.5%輸入量が減少している。

当社の状況…35,400,000球、 輸入確保。(昨年比7.5%減)となった様です。

*当社の場合も21世紀以降の輸入ピーク時から見て、約23.6%輸入量が減少しています。

 

春作から、08年産オランダ産百合球根の品質については、随分心配していましたが、ここまでの所は大きな事故は、びっくりするほど少ないです。720日出庫作型くらいまでは、日本の気象条件の影響(低温/低日照)もあるかも知れませんが、比較的輪付きも悪くなく、(良くも無いですが…)太さも確保されている。それ以降の出庫からは「やや細い」というコメントが出てきましたが、依然青カビ輪ペン腐敗は少ないです。心配していたブラックノーズも一部マレロ・ベラドンナ・シェルブルグなどで確認されていますが、全体の傾向とは言えない様です。

 

今年は混種/品種ラベル張り間違い/サイズ違いが目に付く様です。(人為的失敗。)

 

カプレットS-ESR.トリニティ・セベコデジールの品質差異に驚いています。カプレットS-ESは輪ペンから栽培した球根のみの限定扱い。一方、R.トリニティ・セベコデジールなどは木子から作られた球根が殆どの為、夏作では14/16サイズではもう厳しい。最低16/18を使わないと輪数・草丈の確保が難しい様です。(その点カプレットS-ESの品質改善には驚きです。残念ながら、アルガーブ・ファンギオ・サムール・G.タイクーン・C.デジール・R.トリニティ・パビア・セラダでS-ESコンディションを限定的に扱う事は09/10年産ではできません。出来るといったら嘘つきです。=「良い農家の球根を廻してください。」というしかありません。)

 

まだ08年産オランダ産百合球根のクレーム集計が終わっていませんので、全体の傾向といって良いかはわかりませんが、球根栽培コンディション毎の品質差・球根栽培農家毎の品質差は、より大きく出てきている様に感じます。

N-ES2Nは予測していた事に近い結果が出ている様に見えます。(良かった。)08年産について言えば、シベリアでは、TLコンディションより2Lコンディションの方が、16/1818/20サイズ共通に良い結果がでた様です。

18/20でも良かったのは、08年産の球根栽培条件からの影響と思われます。)

 

*もう少しで当社試験栽培圃場でA.H/L.Aが咲き始めます。ぜひお越し下さい。6/7月の時期に見ていただいた堀之内の切花農家の畑は球根の規格/コンディション毎の差を見るのに、これほどわかりやすいところは無かったと思います。とても勉強になると思いますよ!!

 

09年産 

9月第1週にオランダ出張してまいりました。2002年から8年連続、毎年同じ時期に出張し、同じ地域の、同じ農家の畑を、訪問しています。

4回のオランダ出張の中で、唯一「9月だけはお客様と同行しない」、「1人で出張する」、ことにしています。(今の所)

 

今回の収穫は3

@その年の気象推移から分析する作況と、球根品質/傾向の予測(考え方)を、若干修正するべき。(当社として。)

Aヨーロッパの切花/野菜・園芸の苦境。解決方法は、今の所、無い事が確認された。

B少なくともオランダ球根産業は世界市場を3極に分けて、考え始めたのだという事が、判りました。

 

@-109年産は北オランダ/南オランダ/東オランダで全く作況が違います。これほど違うのは珍しい。(きっとN.Z産とC.H産くらい違う)この違いは品種毎の球根の欠品率や事故傾向・事故率に影響が出ると思います。

例えば、シベリアMAKは東オランダのみ、他のシベリアは南の方が多い。ソルボンヌ、ヴレッター系は東が多い。V.Z社の生産は南にしかないなど、品種ごとの品質傾向も変わってくると思われます。

A-2何千年もの間、国境線が常に移動し続けている大陸の人々の考え方は、「勝つときもある」「負ける時もある」「正しい時もある」「間違ってる時もある」です。日本という島国の中で生きていくにはやっぱり彼らの「まね」だけをしていても、駄目でしょうね。

B-3) a)ヨーロッパ球根切花産業が立ち直るには、相当時間がかかるように見えます。(いずれは回復するでしょう。日本とは違う方法で。)

b)アメリカは、「やっぱりヨーロッパの田舎」、という事で景気の悪さが花産業に与える影響は、ヨーロッパに比べれば少ない様です。サブプライムローン的な駄目さ加減は、オランダ園芸や、自国に消費文化を持たない生産地に、よりクリアに出ている様に感じます。(コストカットばかりで、生産と販売先とのリンク・マーケティングが、壊れてしまった様に見えます。)決して万全ではないかもしれませんが、カナダ/アメリカの切花農家は頑張ってるみたいですよ。

cヨーロッパ球根産業にとってほぼ唯一明かりが点いているのはアジア市場だけだとの事です。但し、日本市場への期待は他の中国・フィリピン・マレーシア・ベトナム・イラン・イラクに対しての期待とは若干違う様ですが…。

 

*マクロでみると世界の経済状況分析とちょっと似ているのかなあ、と思いました。

 

切花市場も不透明な状況ですが、きっちりと農家を選んで球根が買える時間もだんだん残り少なくなってきています。

今年は輸出業社の日本に出張してくる日程が若干いつもの年と違う様です。(遅くなる。)品種/品質の事を考えれば920日〜1020日くらいの時期が重要な発注期となると思います。最低85%くらいまでは確保率を上げた方が良いと思います。忙しい時期ですが、ご検討よろしくお願い致します。

 

*参考 当社の状況

 

 

 

 

 

 

 

 

 

発注

 

受注

 

最終取り扱い数

 

 

07年産9月末日

33,028,000

29,530,000

38,300,000

 

08年産9月末日

30,719,000

27,856,000

35,400,000

 

09年産915日現在

31,037,000

27,432,000

 

未定

 

 

 

 

 

 

 

(そろそろ底打ってほしい)

 

詳細はお問い合わせ下さい。よろしくお願いいたします。

                               森山 隆