平成20221

お客様各位

株 式 会 社  山 喜 農 園

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球根情勢報告

 

 

2008年産南半球産百合球根在庫表送付にあたり

 

 

平素よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。

 

08年産南半球産百合球根在庫表をお送りいたします。よろしくご確認下さい。

 

 前回「26日発行球根情勢報告(08 SH価格表発行にあたり)」から約2週間しか経っておりませんが、29日〜15日チリに出張してきた事もあり、最新の情勢をお繋ぎしたいと思います。

 

 

 日本の南半球産百合球根確保状況

 

 

07年産

07820日調査時点(11社の輸出業社から聞き取り全社より解答)

 

 

NZ

 

CH

 

合計

 

 

AH/LA

1,159,275

142,900

1,302,175

 

OH/OT

16,819,790

7,634,585

24,454,375

 

 

17,979,065

7,777,485

25,756,550

 

 

 

 

 

 

 

 

 

植物防疫統計

18,021,255

7,314,765

25,336,020

 

(植物防疫統計は系統別分類は無い)

誤差率0.2

 

誤差率5.9

 

誤差率1.6

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

08年産

08225日調査時点(11社の輸出業社から聞き取り全社より解答)

 

*今後発注ピーク期となる7月上旬、掘り取り調整欠品処理終了予定の8月下旬に調査予定)

 

NZ

 

CH

 

合計

 

 

AH/LA

2,532,400

458,000

2,990,400

 

OH/OT

12,703,400

7,910,675

20,614,075

 

 

15,235,800

8,368,675

23,604,475

 

 

 1AH/LA百合が、約1,3000,000/3,000,000球と増加(230%)

 2OH/OT百合は、約24,400,000/20,600,000球とやや控え気味(84%)

 

 

 *OH/OT百合球根を前年比84%確保している国は世界中で日本だけです。(オランダ切花農家は除きます。彼らは栽培委託を出していますので、100%確保している人もいるわけです。)

 

 07年産オランダ産百合球根暴落を経験していながら「日本」の「仕入れ方針」は変わらないようです。(素晴らしい)

 

 *CH産の発注確保数が昨年の入荷実績を超えています。

 07年産の成績が良かった事、日本向けの品種が増加してきたことが影響していると思います。

 

 *NZ産のOH/OT系発注確保数が76%とやや少なめとなっています。07年産の成績が悪かったことだけが影響しているわけではありません。対日南半球産百合最大供給業社であるVZ社が作付けに対して相当慎重な販売を行なった影響と考えます。

 

 実際に日本向けOH品種入れ替え時期を向かえている様で、

 当社の場合、VZ.NZ社産/VZ社扱いの代表的品種の確保率は

  ソルボンヌ 16/18  18/20  昨年比  73.4

  シベリア  16/18  18/20  昨年比  38.0%       あくまでも当社/VZ社の間の商売

  リアルト  16/18  18/20  昨年比  117.0%      です。これしか売ってもらえなかった。

  ルレーブ  14/16 16/18 18/20 昨年比 104.5%      買えなかった。日本全体に対して

  カサブランカ20/22  22/24  昨年比  94.4%       どうなのか未調査です。

 

 ソルボンヌ、シベリア、カサブランカの生産量を大きく減らしていた様です。07年産では青カビ、輪ペン腐敗等で皆様には大変ご迷惑をお掛け致しましたが、やはり「ラカイヤ産」の球根は絶対必要だと考えています。(長い目で見て)南半球産の中で12月〜2月定植作型で最も「安定的な力」を発揮してくれているのがBakker社と合わせてVZ.NZ社だと考えています。

 

 *08年の球根生産状況と07年産からの切花の結果の影響を受けて

  07年産OH/OTNZ産:CH産割合 6931  だった比率が、220日現在だと

  08年産OH/OTNZ産:CH産割合 6238  となっています。

 

 

山喜農園の南半球産百合球根確保状況

 

07年産 最終取扱い数

 

 

 

 

 

 

NZ

 

CH

 

合計

 

AH/LA

501,125

34,825

535,950

OH/OT

4,593,270

1,608,445

6,201,715

 

5,094,395

1,643,270

6,737,665

 

 

 

 

 

 

 

08年産 220日現在確保数

 

 

 

 

 

NZ

 

CH

 

合計

 

AH/LA

1,197,400

196,500

1,393,900

OH/OT

3,867,750

2,311,732

6,179,482

 

5,065,150

2,508,232

7,573,382

 

 07年産OH/OTNZ産:CH産割合  7426 だった数字が、220日現在だと

 08年産OH/OTNZ産:CH産割合  6337 となっており、全国の確保バランスと同様な傾向となっています。

 (AHLA/OHOTを合わせたNZ産:CH産比較は 全国は 6535  当社6733 です)

 昨年はNZ産確保率を高くできたのですが、今年は今までの所、全国平均とほぼ一緒になりました。

 

 

  作況・生産状況について

 ニュージーランド

  全産地とも作況は良好と聞いています。「高温干ばつがどの程度肥大に影響するか」を気にする程度です。VZNZ社は第一販売期に、定植球数に対して約85%の販売を行なっているそうです。「もう5%くらい追加販売して良いかも」という見込みをたてている様です。Bakker社はPO社との受発注契約を結んだそうです。(輸出業社が直接生産している農家以外では今年最初の球根農家:輸出業社間取引成立第一号):(昨年比大幅安の価格提示を了承してくれた。Bakker社と、PO社の長い取引き関係、信頼関係が、なせる業。)

 チリ

  「夏のチリ」の圃場巡回は3シーズン振りでしたがまずはその変化に驚きました。今回は8件いる栽培農家のうち5件の農家を回り6地区での生産を見てきました。5件の農家の圃場を見た印象は、

  2件の大手農家の圃場品質はオランダの平均品質をはるかに上回り、すでにオランダの平均圃場品質を越えている4件のニュージーランドの球根農家の平均圃場品質を超えていると感じました。(JA津南の農事組合法人「友里」の圃場品質を上回り、北海道給T屋花卉事業部のTYS圃場よりももっと良い。今から30年ほど前、先代社長が生産した1.2haの網室の中の透し百合母球生産圃場は自分が13歳のときでしたが本当にきれいだった事を覚えています。)

  従って、自分が今まで20年間見てきた、日本・オランダ・ニュージーランド・チリの中でもTOPにランクできる圃場風景といえると思います。(当然世の中には自分よりいっぱい見ている人もいるわけですので、あくまでも私の個人的印象見解です。)

 

  栽培密度も適切に管理され、施肥・潅水管理もうまく実行されている様です。前回訪問したときはPO社エバート氏、FLC高橋社長様他2名、鞄園片岡専務様と同行したのですが、その際に皆が気がつき注意したポイントが、栽培密度とつぼみ取り方法、茎切り込みの長さ、切り取りをするタイミングなど、栽培圃場の「土部分にまで到達する光の量」についてでしたが、ものの見事に改善されていました。

 

両者ともオランダで大規模経営を行なっているOriental Andijk社会長、ヨープファンフェン社ジョン氏のアドバイスを受けた中での改善なのだろうなあと感じました。全体的には良い印象なのですが、唯一そして最大に気になった点は、やはり天候に関わる部分です。チリの天候は全部の地区がすべてそうだとは言いませんが、基本的に、オランダの条件というよりも、新潟の条件に近いと考えています。

 

  オランダでは球根定植期間が概ね2ヶ月近く設定されています。新潟は平野部であっても山間部であっても、最大で2週間くらいしかベストな定植期がありません。(早すぎてもだめ=寒すぎ、暴風、雪が消えていない)(遅くなれば球根が太らない。仮に太っても適期に定植したものよりボリュームでない。輪つき悪い。冷凍保管性劣る。)=遅く植えた時、定植から開花までの成長が早すぎる。木出来はするが中身が無い。遅く植え付けた時の球根に力が無くなる事は、新潟がすでに失敗済みです。

 

  「70日で咲いたカサブランカ」と「95日で咲いたカサブランカ」随分日持ちに差があると思いませんか?

 

この2件の最大のボトルネックは設定されている経営規模にあるように感じます。機械や施設が計算上その栽培面積をクリアしていても、オランダが設計したタイムスケジュールで定植作業、掘り取り作業を、行なっていたのでは、どんなに圃場品質が良くても、良い球根だけが掘り取られるわけでは在りません。

 

  この点をよく理解した1)生産規模設定を行なってもらう様に説得するか2)タイミングのあった時期に植えつけた球根。タイミングのあった時期に堀り上げそのステージにあった温度処理をされた球根を扱うしか、買い手の立場から取れる品質確保の方法は無い様です。2)の方法は「見極める力」をもっている人でも簡単には出来ません。

 

  残念ながら当社のこの分析は新潟の古くから球根を栽培していた農家、県内の一部球根業社、県内の切花農家、県外でも昔から新潟県産球根を使ってくれた切花農家しかわかってもらえない、というところです。

  何とか実証してこの考えを現地の栽培農家に聞き入れてもらい、彼らの経営のヒントにしてもらえたらと、本当に願っています。

 

  昨年から生産を始めたばかりの農家にも行ってきました。Oriental Andijk社の指導の元、生産を始めた会社です。初心者なのに良く作っていました。あまり経営規模を大きくしない様に願っています。

 

  他の2件については、イタリア、南アメリカ、台湾向け品種が多く、圃場管理品質も最初の3件に比べればやや劣ります。(あくまでも圃場状態の比較。実際はタイムリーな仕事が出来ているのはこちらなのかもしれません。)

 

 夏のチリから、爆弾低気圧の為大雪が降る魚沼に帰ってきたら、風邪を引いてしまいました。乱文、乱筆で申し訳ありません。

 

 以上 情勢報告でした。

森山 隆