平成15年11月17日

お客様各位

株 式 会 社    山 喜 農 園

新潟県北魚沼郡堀之内町原1280-1

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FAX.    4-4168

E-mail:info@yamaki-noen.co.jp

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球根情勢報告

 

 

 平素よりお引き立ていただきありがとうございます。

 

 

オランダ産アイリス

02年産抑制球

 

 納品終了。既に早い作型の採花が始まっています。

 

 本年取り扱いの中で3ロットほど昨年と同様の事故が確認されました。切花生産者レベルの保管精度の向上と「ロット別に管理する」という意識の向上のおかげで、事故率の低下及び対輸出業者との交渉も納得できる内容で進められそうです。ご迷惑をおかけしました。また、ご協力ありがとうございました。

 

 本年は、一部切花産地によっては昨年以上の事故率となっているところもあると聞いています。国産球ブルーダイヤモンドの減少とも相俟って、国内産アイリス切花の流通本数は減少するのではと考えています。

 

 現在栽培されているブルーマジックについては、昨年同様良い出来となっているようです。

 

 イエスタディを早い作型に導入しています。西日本・関東地区においての9月〜10月上旬の高温が影響したようで、若干ボリューム不足というコメントがあります。「採花率は高まるであろう」と言われていますので、次年度にも期待しています。

 

 

03年産(04年抑制作型用)

 

 11月5日〜11月11日までオランダ出張してまいりました。ようやく過去2年間の問題を引き起こす原因となっていた、バルブコンポスト(球根を腐敗発酵させて作った肥料)を使用しないで栽培した圃場の球根が取り扱えるようになります。

 

 4〜5年前の安定した品質に戻ってくれればと期待しています。

 

 イエスタディの需要の増加は、イコール当社仕入先のJ.W.社だけでは賄いきれないという現象を引き起こしかねません(イエスタディの方がやや花持ちが悪いのではという話もあります。お気を付けください)。

 

 ブルーマジックは、バルブコンポストを使用しないで重粘土質土壌でネット栽培した球根(約5ha)を主力に納品したい考えと聞いています。

 

 

 ブルーマジックジャンボについては、どうしても必要なら取り扱い数(生産者の植込み数)の13%以内に留めてほしいという依頼を受けています(保管性の問題・J.W.社より)。

 

 そろそろ受注期を迎えます。導入検討をお願いします。

 

ニュージーランド産チューリップ

03年産

 

 切花が始まっています。心配されたアンジェリケは「まあまあな出来」となっています(球根の品質の割りには)。インツェルの採花率が悪いようです。球根サイズを1ランク下げてなおかつ冷蔵を長めに設定した効果が出たようで、葉潜りの発生はほとんど確認されていません。順調だと思います。

 

 当年は約250,000球の入荷量でしたが、10月/11月採花のチューリップが一体どのくらい日本の市場に必要とされているのか、どのくらいの価格で消費されるのか、結果を待って次年度04年産の導入計画を立てたいと思います(品種は制限されますが球数は充分ありますので、慌てる必要はありません)。

 

オランダ産チューリップ

03年産

 

 無冷蔵球/プラスチック栽培/ターボ球/アーリー球ほぼ納品終了。全体取り扱い数の約65%出庫されています。オランダの気象条件/作況/着荷状況から、今年は品質上大きなトラブルは起きないであろうと考えていました。

 

 結果的に今現在目立ったクレームは来ていません。品質に加えて発根も順調のようです。このまま標準冷蔵球も順調に行けばと考えています。

 

流通販売状況

 

 オランダでは04年に向けて、約1,200件の農家(球根栽培会社/この10年間に40%減少している)が定植をほぼ終了しています。本年の販売状況は本当に酷かったようですが、なんとか植込むことはできたようです。過激な話ですが、定植された畑が果たして何件の農家のよって掘り取られることになるのかわからないとのことです(掘り取りまでに10%以上の農家が倒産。別の農家に圃場ごと販売される、または圃場廃棄することになるといわれている)。

 

 日本の状況は、

 

 

    全国

  当社状況

 

 01年産

   296,000,000球

 9,400,000球

 

 02年産

   238,000,000球

 10,200,000球

 

 03年産

200〜205,000,000球(9月時点の予測数より下方修正)

 7,700,000球

 

 

 うち切花/鉢物などの営利栽培家向け

 

 

    全国

   当社状況

 

 01年産

    84,000,000球

  9,000,000球

 

 02年産

    73,000,000球

  8,000,000球

 

 03年産

  68〜70,000,000球

  7,600,000球

 

                               過去10年間の営利市場占有率は

                               ずっと10〜11%の範囲です

 

 

 全体の減少率は、01年〜03年に掛けて32.4%となるようです(当社18%)。

 

 営利栽培家向けでは、01〜03年に掛けて19%の減少となるようです(当社15.5%)。

 

 全国の減少率に比べて当社減少率が低いのは、営利栽培家向けマーケットで仕事をしているおかげだと考えています。

 

 単純に残りがすべてドライセールだったとしたら、その減少率は過去2年間で38%にも達してしまいます。末端消費者マーケットに向けた商材は、経済や流行の移り変わりの影響を受ける典型的な事例といえるのではないかと思います(当社02年ドライセール用2,200,000球扱いが100,000球にまで減少したお話は前回の9月情勢報告にも載せさせていただいております。ホームページ(http://www.yamaki-noen.co.jp)をご参照ください)。

 

 とにかく、動きがあまりにも急速なのです(実は営利栽培家向けも95年〜03年まで8年の間にゆるやかに34%減少しています)。

 

 いずれにせよ日本全体での輸入量は大幅に減少しました。オランダ輸出業者の中には、アメリカ的商業主義に日本の切花農家のみならずチューリップまたはオランダ球根産業そのものが付いていくことができるのか、という疑問を唱え始めている会社も出てきました(日本向けチューリップ輸出トップシェアの会社)。球根産業の国際標準がオランダだとしたら、戦略の修正を行わなければならない転換期を迎えたと感じているようです。

 

 なんとか今以上に納品精度を上げて、少しでも利益が出せる環境になればと願っています。

 

国産百合

02年産

 

 10月中旬にクレーム集計を行いました(11月中に処理します)。大きな事故も無く、無事採花も終了を迎えつつあります。大きすぎる球根が納品されて、葉焼け等で苦慮された切花産地もあったようです。大変申し訳ありませんでした。

 

 ところで、小球自家養成切花栽培農家の中には、当社状況とはかなり違う結果(悪い結果)となっている方が居られるようです。新潟県の各々の試験場にて、球根栽培期間中の重要管理点/掘り取り後の重要管理点など、極めてベーシックな実験を行っているそうです。こういった厳しい気象環境の中で球根生産を行うために、本当に基礎的な話が聞けると思います。もう一度原点回帰してみたらいかがでしょうか。

 

03年産

 

@赤塚地区早掘り遅掘り

 早掘り球は主に透かし百合/L.A.で販売苦戦をしました。オリエンタル系も一部、偏りのある生産を行った品種に不良在庫化してしまった品種がありました。

 

A新潟県産遅掘り

 販売状況におおむね目処が立ちつつあります。品質的には「まあまあ」の球根に仕上がったと考えています。

 

 ただし、芽の出来が普通の年に比べて随分小さいかなと感じています。掘り取り環境は天候にも恵まれ、昨年に比べれば大変順調に推移しています(昨年は10月29日と11月上旬に記録的な降雪がありました)。その後のパッキングに至るプロセスも全力を上げて行っています。今年の球根は「いかにストレスを与えないか」が物凄く重要です(球根に力が無いと感じているということです)。自作の球根で切花される方はくれぐれも留意ください。

 

南半球産百合

03年産

 

 02年産は約11,900,000球が輸入されていました。03年産は約8%増加して約13,000,000球が輸入されたと推察されます(当社約5,000,000球、前年比11%減少)。輸入業者レベルの在庫数はさほど大きな数値にはなっていないようです(当社在庫率0.1%以下)。02年産オランダ産オリエンタルは業界全体で幾分減少しています。にも拘らず切花農家レベルでの球根過剰感が発生しているようです(推定1,400,000球)。そういった水準ではないと感じていましたが、切花農家レベルでの過剰感は天候による影響が大きく、改めて難しいものだと感じています。

 

 願わくば1月末日までの定植に使っていただきたかったのですが、どうやら使用期間がさらに延びるようです。

 

 球根品質は、昨年比較で随分良くなっていると感じています。当社の球根出庫率は約65%となっていますが、実際の農家レベルの植え付けは約48%程度ではないかと思います。

 

 今年は輸入業務もおおむね順調に行われました。切花農家が儲かってくれることを願っています。

 

 

04年産

 

 昨年は10月末〜11月くらいから仕入れ計画がスタートしていましたが、今年は03年産オランダ産の百合球根の安値もあり慎重になっています。なんとか2月〜3月くらいまで(切花結果がある程度わかるまで)各輸入商社の発注期が遅れることを願っています。絶対慎重に行くべきです。球根を消費するのは日本だけではありません。世界でどのように消費されるかを考えないと、適正な価格(球根製造原価のことではなく、マーケットの実勢に合った価格)での供給ができません。信頼できる輸出業者(マーケット情勢を無視して自分の都合だけを主張する輸出会社も中にはいます)と充分な打ち合わせの中で行ってほしいものです。

 

 


 

オランダ産百合

02年産

 

参考:山喜農園及び日本の状況(資料1)

H15年6月30日付発行情勢報告をH15年11月17日に追加・修正)

    (ニュージーランド) (チリ) (オランダ)

当社輸入状況(N.Z.産 +Chile産 + N.L.産)及び98年産〜02年産百合球根弊社出荷状況及び予定

                                          (単位:1,000球)

 

    12月出庫

(N.Z.+Chile+ N.L. )

1月出庫

2月出庫

3月出庫

4月出庫

5月出庫

6月出庫

98年産

  (  130+3,270)

4,000

2,700

4,300

4,300

3,400

3,800

99年産

  ( 1,350+2,750)

4,900

4,600

4,600

2,900

3,600

4,400

00年産

  ( 2,450+2,750)

4,400

2,700

5,000

3,300

4,000

4,100

01年産

  ( 3,500+2,100)

4,300

2,900

4,500

5,200

3,100

3,800

02年産

  ( 5,600+2,100)

4,300

3,200

4,400

4,600

3,200

5,600

03年産

  ( 5,000+  ? )

 

 

 

 

 

 

      (↑カッコ内左:N.Z.+ Chile)

 ニュージーランド/チリ産球根の出庫数は掘り取り年の9月〜翌年2月10日までの合計出庫数です。

 

 

 

 

 

 

 

 

当社輸入量

 

 

7月出庫

8月出庫

9月出庫

10月出庫

11月出庫

12月出庫

合計1

(当社占有率1)

合計2

(当社占有率2)

98年産

6,200

5,800

4,500

 3,600

 1,300

   400

47,700(25.6%)

48,800(26.0%)

99年産

6,600

5,800

4,500

 2,300

 1,050

   250

49,600(27.0%)

50,800(27.5%)

00年産

7,000

6,300

3,500

 1,500

   800

   540

48,300(27.5%)

49,200(27.6%)

01年産

6,400

6,000

3,100

 1,200

   700

   220

47,000(28.4%)

49,050(28.5%)

02年産

5,800

5,100

3,300

 1,500

11月1日現在
未出荷数
1,280,000

50,200(28.7%)

49,400(28.1%)

03年産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本の輸入量(推定)

参考

   合計計算式1

(N.Z.+Chile+ N.L. )

合計計算式2 

98年産

    150   +186,600 = 186,750

188,100 

99年産

  1,500   +182,100 = 183,600

185,100 

00年産

  3,000   +173,000 = 176,000

178,500 

01年産

  5,500   +160,200 = 165,700

172,100 

02年産

 11,890〜 +162,900 = 174,790

175,900 

03年産

 13,000〜 +  ?

 

    (↑カッコ内左:N.Z.+Chileの推定球数)

※合計計算式1:同一掘り取り年のオランダ産+南半球産の輸入合計数(02年産は予定)

※合計計算式2:オランダ産+翌年の南半球産の合計数(02年産オランダ産はほぼ確定/03年産南半球産は

        推定)

 

 

 

 

 

 

 

 

 02年産の球根の納品もいよいよ残すところ約820,000球となりました(約1.9%)。例年どおり10月中に事故報告を集計し11月中に処理する予定です。本年は細かな冷蔵障害等が出庫後半に散見しましたが、今のところの感触は事故総処理額は昨年産との比較で大幅に減少しそうです(触れが大きい。前年対比50%以下の処理総額になります。球根は本当に農産物なのだと改めて思います)。

 

 大変ありがとうございました。

 

                                        単位:(1,000球)

        全 国    当社取り扱い数 透かし+L.A.+Longi(山喜扱い)  Oriental(山喜扱い)

 99年産

182,100 ( 1,500)

  48,250

   22,008

  26,242(1,350)

 

 00年産

173,000 ( 3,000)

  45,850

   18,460

  27,390(2,450)

 

 01年産

160,200 ( 5,500)

  43,500

   18,369

  25,131(3,500)

 

 02年産

162,900 (11,890)

  44,400

   19,336

  25,064(5,600)

 

 カッコ内:同年南半球産(外枠)                  カッコ内:同年南半球産(外枠)

 

 当社の動きは過去10数年ほぼ全国市場の動きと一致しています(26%〜28%の間)。別途記載の表の合計計算式2の計算法だと、実は占有率はやや前年比較より減少していますが、

 

(オランダ産)+(南半球産)

  全国

  当社

  01年産+02年産

 172,100

 49,050 (28.5%)

  02年産+03年産

 175,900

 49,400 (28.1%)※03年産全国増加に対して当社減少したため

 

 おおむね横這いであったのではと考えています。

 

 反省点を挙げるとしたら、南半球産オリエンタルの増加は止むを得ないこととしても、オリエンタル百合は経済情勢に合わせてもう少し減少させるべきだったのではないかと思います(0.2%減少。03年産南半球産を加えると約2%増加)。

 

 大手市場の動きのみを追従する形で透かし百合/L.A.(全国で推定約3,000,000球増加、うち当社約900,000球増加)は前年対比約5%の輸入増となってしまいました。全国の動き、マーケットの実勢を捉えていない油断があったような気がします。皆が自己中心的なのはこの業界の宿命なのでしょうか(自戒も込めて)?

 

03年産

 

作況

 

鉄砲百合

 

・掘り取り終了(11月10日時点)。

・ホワイトフォックス:10/12〜14/16多い。16/18〜18/20少ない。

・ホワイトエレガンス,ヘブン,アビタ:10/12〜14/16少ない。16/18〜18/20多い。

・品質:よいと思う。

・価格動向:やや下げ気味。

 

 

透かし百合,L.A.

・掘り取り約50%。前年よりやや遅い。

・業者への納品はほぼ同水準。球根肥大しすぎ。10/12,12/14,14/16不足感発生す

 る様子(欠品の可能性有り)。16/18使用するマーケットが無く大暴落(12/14

 並みの価格)。18/20良く売れている。

・価格動向:世界的に透かし百合から安価なL.A.への切り替えが進んでいる。

 従って透かし百合は球根価格横這いから下降。L.A.は安価な品種の黄色が価格

 上昇する様子。

・品質:良いと思う。フザリウムに弱いといわれるバフピクシー,ブラックジャック,

 ゴールデンタイクーンなども「この程度で済めば上出来」といった話でした。

 

オリエンタル

 

・品質:良いと思う。

・価格動向:しばらくは底這い状態が続く。10月/11月になってようやく他国も導入

 計画を立て始めた様子。今現在はターボコンディション以外はまだ掘り取られて

 いないのでよくわからないが、掘り取りが始まる頃には上昇方向に動くのではと

 いわれているものの、上限は抑えられるだろうとのこと。

 

 

 

 全系統とも芽形成が進んでおり、ちょうど01年産と同様のコンディションのようです。

 

 オリエンタルだけでなく百合類全般、または球根類全般といった方が良いと思いますが、価格低迷のため大変な状況となっています。生き残るといわれている営利栽培家向け球根輸出業者は、自己資本比率35%〜60%くらいあるといわれています。安定した経営ができている農家(球根栽培会社)はそれよりはるかに高く55%〜75%くらいといわれています(全世界対象となると相当な利益を必要としているのだと思いました)。

 

 昨年と今年の球根価格低迷で、特に百合球根栽培農家(会社)は相当な打撃を被ることとなる様子です。

 

 ショッキングだったのは本年9月末日までに生産されている百合球根のうち、「農家から輸出業者に、輸出業者から各国に販売された率は約50%しかなかった」という話でした。

 

 約15億球生産されている百合球根のうち、オランダ切花農家が推定消費量の65%、日本が同様に約80%、その他が30%となっています(中国/韓国に至っては11月中旬となった今でも 50%にも満たない)。行き先が決まっていた球数が約7億5千万球、生産量の半分が行き先が決まっていなかったとのことです。あくまでも全体論であって、球根農家/品種/サイズによってその状況は様々です。残念ながら今年は優秀な農家のものさえ暴落してしまったとのことです。1件の球根栽培会社の売り上げが単年で平均25%強落ちることになるそうです。

 

 百合の球根栽培農家はここ10年で50%近くも減少しており、世界の切花農家のためにたった250件くらいしか残っていません。果たして来年何件の農家が生産を継続していけるのか、相当心配な水準に到達してしまいました。ついに100ha規模の大型農家が厳しい状況に入ってきています(拡大路線の破綻。輸出入業者の情報を信用しなかった球根取引市場と、生産を拡大させ続けた農家も悪いのです。それを伝え切れなかった業者も悪いのです)。

 

 

受注状況

 

 11月14日現在 約46,500,000球(前年11月末との比較98.2%)

                (前年総取り扱い数との比較92.4%)

 

 大変ありがとうございます。

 対日輸出主力業者のコメントでは、日本全体で85%〜88%くらいの受注状況だそうです。

 

 

 以上、情勢報告でした。