平成15年8月12日

お客様各位

株 式 会 社    山 喜 農 園

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球根情勢報告

 

03年産南半球産百合の動向

 

 

 平素よりお引き立ていただきありがとうございます。

 

 

 先日来、掘り取り結果に伴い、相当数の受注修正のご案内をお送りさせていただいております。隔離検疫免除以来、毎年大きな事故が起きたり、作況によるところの受注変更が発生したりと、何かとご迷惑をお掛けすることが多く大変申し訳ありません。

 

 導入が始まった初期の頃からすでに予想はしていたこととはいえ、栽培経験の乏しさ、インフラ整備の遅れ、そして何より不安定な気象条件などから計画から大きく外れた結果が続き、「どうしたものか?」と考えていますがなかなか良い答えが見付からない状態です。考えてみれば、新潟県産/北海道産または鹿児島の沖永良部の鉄砲百合でさえ、実際掘り取られ出荷されるまではその数値確定はできていない状況なので、南半球産がそれら産地よりも高い精度管理ができないのは「やむを得ないことなのか」とも思います。

 

 世界の球根の流通状況を参考にすれば、まずオランダ産の球根がベースとしてあり、夏の暑い時期の植え付けにフランス産が用いられ、9月以降の植え付け作型にはオランダ産冷凍保管球ないしN.Z./Chile/オーストラリア/ブラジル/南アフリカなどの南半球産の球根が「補完的」に使われるというパターンが一般化してきているようです。

 

 日本においても、全体的な動きではないにせよ、オランダ産をベースに国産早掘り(11月末〜1月上旬定植用)、国産遅掘り(5月下旬〜9月中旬定植用)、以降N.Z./Chile産という形に動きつつあります(国産球からの切花生産はゆうに10,000,000本を越えています。全国的な切花作型を考えれば最低その2倍は必要です)。

 

 また、これだけの欠品が発生しているにもかかわらず、Vletter社の新品種を含め価格は高騰するどころかむしろ下落したままの状況なのは、南半球産/北半球産を問わず高い球根を消費する切花産地は世界的に減少しているのだと感じます(勿論品種によって状況は違います。リアルト/マニサなどは全く足りない)。

 

 当社を含め、日本全体ではこの03年産南半球産を約14,000,000〜14,500,000球の発注をしていたはずです(02年産の輸入実績は日本全体で11,890,000球)。

 

 今回のV.Z.社ラカイヤ産/P.O.社バルデビア産の欠品報告は、日本市場に輸出されてくる球数減少には大きな影響があるように見えます。温室に植え付ける球根が無くなるようでは困りますが、球根過剰は切花農家にとっていいところはひとつもありません。冷静な対応を取っていかなければと考えます。

 

 

 例として、99年以降ニュージーランド産の球根が免除になってから99年〜01年までは高知県樺村農園様とともに100%のジョイント輸入を実行してきました。そのときの2社の全体シェアは80%以上でした。

 

 少なくとも01年産の輸入までは、当社独自に南半球産の輸入量増加はオランダ産の輸入量を減少させる、というバランスを取ってきたつもりなのです。残念ながら(当然起き得る現象なのですが)02年産以降は南半球産の生産量は大幅に増加し(チリ産の免除も含め)、入荷量も爆発的に増えています。このことは冬季間の切花市場を高値に安定させるためには絶大な効果があったようです。一方で市場側も予測し得ない、5月/6月の新品目のL.A.や黄色系O.T.の集中出荷を引き起こしているとも考えられます(2月/3月/4月に植え付けられる品種/品目の変化を助長。行き過ぎまたは計画的ではなかった)。

 

 今現在も、「オランダ輸出業者」のセールストークに流されると透かし/L.A.の需要期を無視した球根輸入と切花実行が行なわれ、結果的に今後のオランダにおける球根生産を考えれば大切に育てなければならないL.A.も、価格的に振るわない情勢となってしまいます(04年ないし05年産には透かし/L.A.の球根流通数は逆転して、L.A.の方が増加してきます)。

 

 南半球産についてもまったく同様で、年間の栽培計画が乱れるようではいいことはありません。大切に育てなければならない原材料だと思います。

 

 現地生産者側にも日本国内情勢を一生懸命つないでいきますが、切花農家または球根業者ともに必要量の把握、過剰にならないための情報交換が本当に大切だと思います。

 

 一球根業者の戯言ですが、今の切花市場動向からすれば上手にバランスを取っていかないと必ず歪みが生まれ、一方で儲かってもどこかで損をします。日本は資本主義/自由主義経済の国ですから、誰も市場コントロールすることは不可能ですし、そうしたからといって良いことは一つもありません。しかしながら、オランダの百合球根栽培農家、N.Z./Chileの栽培農家が引き起こしてしまった過剰生産の影響をそのままダイレクトに受ける必要は無いと考えます。日本は世間で言われる「国際グローバル化」からは遅れているかもしれませんが、ヨーロッパやアメリカの影響を受けつつも日本独自の「花の価値観」が確立できると思っていますし、それが国際競争に勝ち残っていく最大の手段だと思います(球根輸入統計/切花輸入統計/植物防疫検査結果資料/卸売市場統計/オランダ産百合球根の世界消費状況からの考察)。

 

 

 何卒ご理解いただきますようよろしくお願いいたします。

 

 

 なお、今回の南半球産の作況からくる流通状況の調査及び03年産オランダ産チューリップ/アイリス/百合等の現地確認を行なうため、8月29日(金)〜9月2日(火)までオランダ出張してまいります。国産百合球根の掘り取り流通期ではありますが、ご迷惑をお掛けしないよう段取りを付けていく予定です。よろしくお願いします。