平成15年7月29日

お客様各位

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03年産オランダ産百合球根在庫表送付について

(オランダ産百合球根情勢報告)

 

 

 平素よりお引き立ていただきありがとうございます。

 

 

 03年産オランダ産百合球根在庫表を送付させていただきます。

 

 先日ご案内させていただきましたように作付面積表が発行されました。発表された数値は、ほとんどの輸出業者が予測していたとおりの動きだったようです。開花球の作付面積の減少が最低でも10〜15%無ければ国際消費との需給バランスが取れないことがわかっていましたから、たったの4%の減少率ということで、予測していたとはいえ「ガッカリ」というのが輸出業者の今の心境のようです。

 

 

透かし百合+L.A.

 透かし百合は開花球全体で6%の減少、L.A.は21%の増加となっています。

 

 下記に示すような面積バランスを経て

 

 

 

透かし : L.A.

 

99年産

1983 ha

 86 % : 14 %

 

00年産

2015 ha

 82 % : 18 %

 

01年産

1717 ha

 75 % : 25 %

 

02年産

1705 ha

 67 % : 33 %

 

03年産

1753 ha

 61 % : 39 %

 

両方合わせると3%の増加となります。

 

L.A.の面積当たりの生産球数(開花球仕上り率)は透かし百合をはるかに上回りますので、実質の供給数の増加率は計算上3.5%〜4%くらいと考えられます。

 

 

 世界的に透かし/L.A.の消費は回復傾向を見せていますので、この程度の増加であれば吸収できるという見解の輸出業者もいますが(大球販売率の高い輸出業者、いわゆる南ヨーロッパマーケット主流の輸出業者)、10/12サイズ〜14/16サイズが取り扱いの中心となる輸出業者については、色別でかなりの過剰感が生まれると予測する方も多いようです。

 

 

 

 

黄色

全体で減少 △ 4%

価格は横這いから上昇であってほしい(黄系O.T.ハイブリッドの登場の影響?)。

 

ピンク

 〃 増加 +6.6%

残念ながら既に相当安かったわけですが、さらに下降。

 

 〃 増加 + 7%

需要も強いが過剰感も出てくる水準。白系オリエンタルの増加の穴埋め?

 

 〃 減少 △ 3%

品種/サイズによって価格下降するものがあります。

 

オレンジ

 〃 増加 + 10%

透かし百合の増加は予定外、下降のようです。L.A.のオレンジはまだ不足ぎみ、横這いから上昇。

 

アプリコット

 その他

 〃 増加 + 8%

何故こんなに増えているのかわかりません。日本だけで考えれば大暴落になるはずですが、この花色が必要な国があるのでしょう。またはこの花色をオレンジと見なす国があるのかもしれません。

 

バイカラー

 〃 横這い

特殊品なので面積生産量が価格に与える影響は見えてこない。

 

※色別面積の増減は動きが把握できている品種のみで計算。

 

鉄砲百合

 開花球全体で5.5%の減少。

 

・黄色のデリアナ増加。

・ピンク系増加。

・白は日本で消費量の少ないホワイトヘブンが増加。フォックスとエレガンスは減少、気を付けないと売り

 切れるかもしれない。

 

オリエンタル

 開花球全体で12.5%の減少。ただし、O.T.ハイブリッド/L.O. ハイブリッド/鹿の子百合群の開花球との合計だと10.5%の減少。オランダ輸出業者は大抵10〜15%の面積の減少を見越していたので、予測の範囲内となった。需給状況からいけば20%近くの減少が必要とされていることから、「わかっていたこと」とはいえガッカリしています。

 

 透かし/L.A.と違い色別での傾向は無い。オリエンタルは完全に品種ごとで状況が違う(強いていうなら白は明らかに過剰だった)。重要な品種の動きすらまるで違った傾向を示します。

 

例:カサブランカ

大幅な減少(△20%)。大球22/24・24/26の確保は難しくなると思う(もしくは価格が上昇する)。

 

  ソルボンヌ

減少が少なすぎる(△6%)。価格は下げ圧力が強まる。ただし、動き出したら早い(一転上昇に転じる)。

 

  シベリア

大幅な減少(△20%)。この品種ほど難しい品種は無い。昨年の速報値では185haと発表されたものが、確定値が発表となったら200haと15haも伸びている(隠れていた)。そのオランダ栽培農家の段階のトリッキーな動きと、最大の消費国である中国マーケットの動きはさらにトリッキーであるため、栽培面積が減少することはわかっていながら、なおかつソルボンヌよりも生産性が悪く栽培コストが掛かる品種であることが知られていながら、相当下落した価格でスタートしていた。一部の輸出業者を除き、シベリアの生産面積については「疑いの眼差し」で見ている。このため生産面積の減少が価格上昇の要因にはまだなっていない。ただし、ひとたび「作況が悪い」「中国が買い始める」などの動きが出てくると上昇するかもしれない。

 

  ルレーブ

面積の増減がほとんど無かった(皆が減少すると考えていた)。

 

  スターゲイザー

大幅な減少(△27%)。ヨーロッパ/アメリカなどで最も消費されている品種でしたが、03年よりヨーロッパ/アメリカなどのスターゲイザー離れが起きてきました。なんとかソルボンヌの過剰分を吸収してくれればと思っています。ちなみに、必要とされた減少率は50%くらいで、まだ過剰だそうです。

 

  アカプルコ

    (アクティバ)

両品種合わせて約9%の増加。世界的には依然アカプルコの人気が圧倒的に強く価格は上昇、以前から見るとアクティバの価格も大分下がっているが、今後どのような動きになるかわからない。

 

  シンプロン

大幅な減少(△24%)。白系の過剰生産の象徴的な品種。これだけ減っても価格はまだ下落する様子。

 

  マルコポーロ

大幅な減少(△26%)。重要な花色なので(特に日本)、ウィレクアルベルティ/シーラ/ジャスティナ/マレロなど、早く増えてほしい。

 

  リアルト

    (ノバセンブラ)

両方合わせて大幅増加(+61%)。リアルトは増えないでほしい(増える)。ノバセンブラは増えてほしい(増えない)。

 

  コンカドール

   (イエローウィン)

  (O.T.ハイブリッド)

両方合わせて大幅増加(+217%)。両品種とも大幅に増加しており、O.T.系全体でも174.4%の増加となっている。仮にO.T.系の97%が黄色だったとしたら、黄色はオリエンタル系全体の3.5%くらいになったということです。育種会社は7〜10%くらいまで増やしたいと考えているようですが、一体どのくらいの量が妥当なのかまだわかりません。

 

  コンカドール

増えすぎのような気がします。最大の生産者が育種会社であるヴレッター社で、まだほとんど販売していないようなので、今後の動きはかなり球根農家にとって厳しいものとなるようです。

 

  イエローウィン

小さい生産規模の農家のものは既に売り切れ、最大の栽培農家であり育種会社でもあるマック社の球根も、少なくとも農家レベルでは売り切れ、在庫は輸出業者/輸入業者へ移動しています。もう1件の大型農家(ヨープファンフェーン社)の分は流通経路が複雑でわかりにくいのですが、少なくともバルガーブランク社(大変優秀な農家)がヨープ社のために委託栽培している分は既に販売され、在庫は輸出入業者へ移動しています。したがって面積増加は需給バランスの取れたものとなっているようです。

 

 

 

 

 面積の増減と現在の流通状況との関係を書きましたが、すべての品種が栽培農家のコスト、栽培原価計算から遊離した球根相場で価格が決められてしまいます(安くも高くも)。本当に適正な球根価格にまで戻るためには(そうでなければ良品質の球根生産はできない)、減少率が足りていないということです。オランダの業界紙に書かれていた見出しは、「Much Too Small(淘汰されるべき品種が消えていない)」「Much Too Little(減少率が少なすぎる)」「Much Too Late(減少し始めるのが遅すぎた)」というコメントでした。

 

 

※※1:参考

 当社の受注状況はH15年7月28日現在、透かし+L.A.+鉄砲の受注率は前年比較69%となっている。また、オリエンタルはやや動きが進んでおり約81%となっている。合計約38,200,000球。

 

 

 以上、面積表発行に関わる球根情勢報告及び在庫表発行のご案内でした。詳細はお問い合わせください。