平成15年2月15日

お客様各位

株 式 会 社    山 喜 農 園

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球根情勢報告

 

 

国産百合

 

2002年産

赤塚産透かし百合・L.A.(ドライセール,秋植え用球根)

 

 全体的な作況は、特に目立った問題も少なく肥大は例年並かやや良好です。長年にわたり肥大不足・腐敗等により生産が困難であった白系やピンク系の透かし百合も、L.A.ハイブリッドの登場によって一層生産性向上が見込まれるようになっています。

 

 L.A.ハイブリッドについては、まだ特有の問題(例:植付け前の芽伸び,養成中の苦土欠症状による部分的枯死,掘り取り後の管理温度の現段階での不明瞭さ等)も見られるものの、定植後の上根の発根の生育の旺盛さ、また管理中の疫病(ボトリチス等)に対する抵抗性等が明らかに従来の透かし百合をしのぎ、結果的に球根の肥大性も優れたものとなっています。

 

 一方の透かし百合については、特に世代の古い品種においては窒素成分の量に敏感に影響を受け、多過ぎれば球根底部に腐敗が出やすく、また少なすぎた場合には顕著に肥大不足というデメリットが出てきてしまう傾向となっています。近年の傾向でいえば、窒素成分の過多による球根底部の腐敗がまた目立ってきているように感じられます。あるいは近年の春先の降雨の少なさから、追肥の効きだすタイミングがワンテンポ遅れてきているのかもしれません。

 

赤塚産早掘り・オリエンタル(ドライセール,秋植え,促成用球根)

 

 全体的にいえば、一部の圃場を除き近年中では肥大は良好な年でした。9月前半の好天候に恵まれ、掘り取り作業も順調に行なわれたため、その後の納品/冷蔵スケジュールもほぼ順調に推移できました。ただし透かし百合/L.A.と同様に、ここにおいても一時期減少してきていた球根底部の腐敗がここ1〜2年の間に再び増えてきているように感じられます。この傾向は、過去に百合を作ったことのある圃場においてより多く見られるようです(連作障害といえます)。

 

 また、近年の5〜6月の高温によってアブラムシの飛散が年々早まってきていることも一因であると考えられますが、殺虫剤の散布が遅れた圃場においては、次年度の促成/抑制作型を問わず営利切花栽培中のバイラスの報告がされています(昨年の実例では、コールマールという品種に約30%のバイラスが確認されています)。

 

 

 

 

赤塚産遅掘り・オリエンタル

 

 全体的には、過去3年間の作況の中では、最も球根肥大の面で小さい年だったといえます。ただし、昨年までの球根が太り過ぎであったことを考えれば、丁度よい太り具合だったといえます。原因としては、9月中旬〜10月末にかけての日照不足と、逆に夜温は下がり切らなかったことから茎の枯れ込みが進まず、球根に充分に栄養が落ち切らないうちに11月の低温を迎え、凍結によって急激に茎が枯れこんでしまったためと思われます。

 

 植え付けに関しては、ほぼ同時期に行なわれる9月掘りの段階では肥大はむしろ良かったということを考えると、この秋の天候不順の影響はかなり大きかったものと思われます。球根内部の芽の大きさも例年に比べると小さめで未成熟な芽でしたが、この状況を踏まえ長めの5℃〜2℃での人工的温度処理をすることにより、ようやく回復基調となっています。

 

大和産遅掘り・オリエンタル

 

 今期、球根の肥大という面で最も天候の影響を受けてしまったのが大和産球根です。赤塚地区に比べ定植が2ヶ月近く遅く、生育期の短さから天候の影響を最も受けやすかったためと推測されます。それでも他産地の同一品種/同一サイズと比較した場合、球根内部の芽は例年同様に他の2産地より大きいものでした。赤塚産同様の長めの5℃〜2℃の温度管理により、芽形成の未成熟も大分回復されてきています。

 

津南産遅掘り・オリエンタル

 

 肥大に関しては、前述の2産地とは若干違った状況となっています。定植は大和町とほぼ同時期なのですが、7月中旬〜8月末までの高温による生育の停滞が少ないため、9月上旬の圃場確認の時点ですでに相当の大きさに成長していました。その後、9月下旬〜10月中の降雨や曇天の多さから日照時間が少なく、最高気温は例年より低かったものの、逆に夜温の低下は著しく遅れていました(これは山間部の紅葉の遅れなどからも見てとれました)。これによる植物体の枯れ込みの遅れが、掘り取り後の球根の充実に大きな影響を与えてしまったと考えられます。特に10月末の降雪の前後に掘り取られた球根の充実の差異は顕著でした。降雪前に掘った球根は、時期的には例年通りの掘り取り開始であったものの、植物体の枯れ込みが充分でなく、特にメデューサ等の低温に強い品種では、結果的に若掘りされたときに見られる燐片の腐敗を多く出してしまいました。一方、降雪後で10日間くらい雪の下になった球根は、同一品種/同一ロットの種球を用いながら全く腐敗が無いという状況でした。

 

 オリエンタルは昨年3つの産地で球根が作られたわけですが、全産地で共通していえることは、ルレーブ,マルコポーロ等の比較的早く芽形成の行なわれる品種について、特に10月末の降雪により一気に芽形成が最終段階に進み、例年以上に本冷への以降が早くなりました。しかし、ソルボンヌ等の一般的な色物オリエンタル、特に形成の遅めなカサブランカはあまりに極端な温度変化によって芽形成が中断され、それを回復させる時間を要したため、却って本冷への以降が遅れてしまうという年となっているようです。

 

2003年産

赤塚産透かし百合・L.A.(ドライセール,秋植え用球根)※8月上旬〜下旬掘り取り

 

 今期も例年通り新潟市赤塚地区にて透かし百合とL.A.の委託栽培を行ないます。過去2年間(2001年試験的導入,2002年本格導入)の結果を踏まえ、今期は遂にL.A.ハイブリッドの委託球数が透かし百合を上回りました。過去2年の実績では、その圧倒的な肥大スピードの早さとボトリチス等への抵抗性により、既に老化しつつある透かし百合品種群を明らかに上回る回収率と肥大率を残しています。L.A.ハイブリッド特有の問題(植え付け前小球の先伸びの早さ,一部品種の苦土欠症状,収穫後の冷蔵管理の不明確さ)はすべてクリアーされているとは言い切れないものの、過去2年間特に目立った事故の報告も無く、今後もオランダ産のみならず国内生産についても、透かし百合からL.A.ハイブリッドへの移行はさらに加速していくものと考えます。

 

赤塚産早掘りオリエンタル(ドライセール,秋植え,一部促成冷蔵向け)※8月末〜9月下旬掘り取り

 

 今期の栽培計画は若干の減少となります。本来この早掘りオリエンタルの需要の大半を占めていたドライセールマーケットの縮小により、相対的には堀之内を中心とする県内産地の秋植え用球根と、12月末〜1月初頭の休眠打破を目的とした促成栽培用球根といった、営利栽培家向けの球根の比率が上昇しています。今後ますますのウィルスコントロール,使用目的別の細かい掘り取り期の設定が必要となってきています。

 

津南産遅掘り用オリエンタル(抑制栽培向け)※10月末〜11月上旬掘り取り

 

 同産地のメリットは他の2産地と比較して、やはり7月〜8月の気温、特に夜音が下がるため、地温が過度に上がりにくいということがまず挙げられます。そのため高温による生育停滞もしくは高温ストレスを受けにくいといえます。これらの恵まれた環境で生育した球根は根座も綺麗で、こと収穫率という面では他の2産地を上回る結果が期待できます。

 

 しかしながら、一方で高い標高ゆえに降雪への危惧は不可避であり、どうしても他産地よりも早めの掘り取り開始を選択せざるを得ません。また近年同産地の球根においては比較論、葉色が出にくい、またトラ葉症状が出る等の高PHの圃場で見られやすい障害が報告されています。

 

 昨季の一部品種の燐片腐敗といった反省を踏まえ、今季は植え付け前のPHの管理/追肥のタイミング(もう少し2回目を前進させる)、また掘り取りの順序の再検討を行いたいと考えています。

 

赤塚産遅掘りオリエンタル(抑制栽培向け)※11月中旬〜11月末掘り取り

 

 同産地のメリットは、日本海側砂丘地の降雪の少なさから、他の2産地より圧倒的に早く植え付けを開始できるということ(3月上旬〜)、また逆に最も掘り取りを待てるということが挙げられます。

 

 反面、夏の地温の上昇は他の2産地より厳しいもので、この高温期に潅水を怠ったり、施肥量または種類を誤ると、根座の傷みや燐片腐敗で取り返しの付かない被害を出す可能性があるということです。一般的に同産地の球根はその生育期間の長さから、肥大は良く葉枚数は多いものの輪が付きにくいという特質を持っており、球を大きく育て軸のしっかりした輪の付き過ぎない花を作るのに向いていて、昨今の県内産地に求められる草姿に仕立てやすいといえます。

 

 同産地で特に留意したいのは、やはり早い春の到来によりアブラムシの飛散が早いため、ウィルスコントロールをまめに行なうということ、とにかく夏場過乾燥とならないよう徹底していきたいと考えています。

 

大和産遅掘りオリエンタル(抑制栽培向け)※11月上旬〜11月下旬掘り取り

 

 同産地のメリットは、他の2産地と比べ特筆できるものは見当たりません。しかし、同産地で生産される球根は非常に特徴のある、葉枚数が異常に多いながら全く輪が付かない、という性質の球根ができます。

 

 現在同産地では、高温期によりボリュームのある品物を作るという非常に狭い期間限定向きの球根を作るために、少し大きめの種球を用いてのカサブランカの生産と、通常輸入球では多輪となるため大きいサイズを使いづらい品種であるメデューサとロンバルディアの生産を予定しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2003年 2月 7日

 

*以下の文章は、2月 5日、ニュージーランド・サザンフローラ社(弊社、デヨング社取扱い生産業者)より送られたファックスの内容を和訳したものです。

 

 

サザンフローラ(NZ)リミテッド(ゴア産)

 

 

拝啓 森山様

 

 ご要望にお答えし、ここに2003年産の現在までの生育状況を手短にお伝え致します。

 種球の植え付けは、今期は10月14日から開始されました。これは昨年よりは1週間、標準的な植え付け開始の目標日であるところの10月1日からは、2週間遅れた定植開始となります。この定植開始の遅れの原因は、第一には昨季の球根掘り取り時期の加湿状態(過去50年間の冬で最も加湿であった)から来てしまったものです。次に挙げられるのが、圃場の土壌耕起の開始の遅れという結果に伴い、栽培地を変えたということからきています。

 

 植え付け開始から初めの3週間は、天気にも恵まれ非常に順調に推移しました。11月1日までには全体の約2/3の球根が植え付けられました。標準的な年の植え付け完了のターゲットは11月1日です。しかし11月の初めの2週間の多雨が特に第2週の植え付け作業を全くの無に帰してしまいました。不安定な天気はその次の週にも続き、更なる作業の遅延を余儀無くされ、最終的に植え付けの終了は11月22日まで伸びる事となってしまいました。

 

 12月から1月の第2週までの天気は非常に良好で、概して日照も十分なものでした。最高気温は、20〜25℃程度まで多くの日が達しました。最初の摘花は1月6日に行われ、これは昨年比で1週間の遅れとなりました。1月の後半の2週間はずっと温度が下がり、日照も少なく、不安定な天気となりました。最高気温は数日間13℃位まで下がり、平均でも約16℃位まで落ち込んでいました。先週は天気もずっと安定して来て再び暖かくなっています。

 

 総降水量は、10月が43o、11月が108o、12月が78o、1月が54oでした。

 

 潅水は12月の中旬から開始されました。ただし第一回潅水は、主に肥料分を溶出させる目的で行われたものです。その後4サイクルの潅水が行われ、毎回約20o程度が与えられました。 最後の摘花は、今週中に行われる予定です。これはやはり植え付け作業の遅れから来ているのですが、例年に比べると2週間の遅れとなっています。

 

 全体的には、作況は良好であると考えております。特に11月1日以前に定植が出来た全体の2/3の球根はかなりの好結果を見込んでいます。しかしながら、遅く植え付けられた残りの

1/3の球根が、先に植えられた球根の品質に追いつく為には今後更なる好天が続く事が必要と言えるでしょう。

 

 この情報が、あなたの問い合わせに足るものである事を希望します。もし何か足りない部分があれば、遠慮無く再度お問い合わせください。

 

 

 敬具。

 

ポール ウェッセル (Paul Wessels)

 

 

2003年 2月 8日

 

*以下の文章は、2月 5日にバンザンテンフラワーバルブ社より送られたファックスの内容を和訳したものです。

 

 

ニュージーランド・ラカイヤ地区の気象状況概要(第43週より)(ラカイヤ産)

 

 

38−42週

 定植環境は良好。この期間は非常に好天に恵まれ日照時間も多く、数日間のみ曇り。僅かながら降雨も見られた。

 

43週

 例年並みの天気。僅かに曇り。週を通しての気温は、日中最高気温が20℃前後。夜温は10〜12℃。降雨無し。

 

44週

 例年並みの天気。僅かに曇り。週を通しての気温は、日中最高気温が約16℃。夜温は10〜12℃。降雨少々。

 

45週

 例年より寒かった。日照時間少なめ。風の強い日が多く、降雨量、7o。

 

46週

 幾分温度は上昇。日照量少なめ。無風。降水量、9o。

 

47週

 週の初めは、晴れ。後半に入り曇り多く、気温も下がった。降水量、46o。

 

48週

 暖かい日が続く。最高気温21〜23℃、夜温10〜15℃。雲も無く晴れが続いた。降水量、3.5o。

 

49週

 暖かい日が続く(平均23℃)。週中1日のみ最高気温32℃。早朝ないし夜温平均、12℃。週の終りに曇りとなり、引き続き雨へ。降水量、22o。

 

50週

 週を通して、非常に風の強い日が続く。雲は少なく気温は暖かかった。降雨無し。

 

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51週

 週を通して暖かい日が続いた。風はだいぶ少なくなっている。最高気温20〜25℃。降雨無し。

 

52週

 週全体に非常に暑い日が続いた。最高気温32℃以上。反対に夜温はずっと下がり、クリスマス付近の二日間は5〜6℃位まで落ち込んだ。朝方は深い霧が立ち、日中は多くの日照があった。降水無し。

 

 1週

 暖かく、雲もなかった。降水無し。

 

 2週

 週前半は、暖かく約25℃に達する。週後半に曇りはじめ、後、雨となった。降水量、25o。

 

 3週

 週の初めは、曇りの日多く、若干霧雨。週後半は、晴れとなった。雲もなく、日照も多かった。最高気温、22〜25℃。降水量、10o。

 

 4週

 週の初めは、日照も多く、暖かかった。後半に入って、南の風が吹き込んできて、若干の降水と曇りの日が多くなり温度が下がった。降水量、23o。

 

 5週

 週の初めは寒く、霧雨。その後も雲の多い日が続いた。週の終りにようやく晴れとなり、北風が強く、太陽も照り付けた。

 

 6週

 週の初めは好天。日照も強く、最高気温は、23〜27℃。若干の降水もあった。降水量、15o(水曜日まで)。

 

以上。