平成14年1月17日

お客様各位

株 式 会 社    山 喜 農 園

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球根情勢報告

 

 明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。

 

 年明け第一回目の球根情勢報告となります。

 

 

オランダ産チューリップ

 

2001年産

 

 1月17日現在、まだまだプラスチック・アーリー球からの切花が出荷されていて出荷量が増えてくるのは1月18日以降となるようです。

 

 01年産の気象条件のせいなのか、あるいは古い品種のため種球が老化しているせいなのか、クリスマス系統・ゴールデンアペルドーンなど採花率の落ちるものがあったようです。本来12月上旬に出荷するような品種を3〜4週間採花を遅らせた人と、平年よりも球根納品が遅れたためハウス内温度を上げて急いでしまった人で、大きく採花率に差が出ているようです。2期作以降についてはカビ・腐敗等の事故球を除き、ゆっくり栽培する分については比較的順調に生育しているようです。

 

 とにかく今年は、納品当初から言い続けていますが、無理な加温をしないでじっくり栽培することが大変重要な年となるようです。

 

 オランダ国におけるチューリップ切花栽培も日本と似通った状況です。12月末までの出荷本数は前年から見ると30%減少しているそうで、相場は非常に高かったとのことです(残念ながら日本は良くない)。例えば、9/10cm・10/+cm球使用のスーパーマーケットとの契約栽培(低価格マーケット)では、25セント/1本で利益が確保できる水準なのに28セント/1本で契約されていたそうですし、市場価格も平均28〜30セントで利益確保できるといわれた水準のものが40セントを超えた日が何日も続いていたとのことです。

 

 南ヨーロッパに寒気が入っているそうで、オランダ・ドイツ等の北側のマーケットは花が不足気味となり、1月一杯は高値が続くであろうとのことでした。生産されている切花品質は日本同様もしくは日本以上に悪く、大きな事故が散見されるそうです(発根不良・丈不足・ブラインドなど)。デンマーク・スウェーデンなどでも、同一ロット/同一作型なのに栽培農家ごとの採花率が極端に違うという現象が多々出ているようです(球根品質が不安定な年ほど管理の差が大きく出る)。

 

 全国の入荷数はどのように推移するかわかりませんが、当社においては99.8%でほぼ昨年並みとなりました。

 

2002年産

 

 すでにバンザンテン社・ヤンデビット社 Plastic/球Early球の価格表を送付させていただいております。ハークマン社Turbo球については調整中です。もうしばらくお待ちください。昨年以上にゆっくりとした滑り出しとなりました。

 

 価格表は1EURO =¥115-で計算されていますが、現在円安傾向に向かっているため、今の切花市況の中では「球根代がやや高いな」という印象です。近日中に1EURO =¥117〜119-レベルで計算し直した価格表をお送りします。あくまでも目安としての価格表です。

 

 標準球については2月中旬以降のお知らせとなります。

 

 現在の球根作況についてですが、定植環境は近年になく素晴らしい年でした。その後12月1月は低温気味にきています。今現在も圃場湿度は高く気温が低いため、芽も極端に早く進んでいないということで、良いコンディションといえそうです。ただし、01年産の養成球は切花用/ドライセール用販売球と同様フザリウムに汚染されているロットも多くあるため、生産者間/品種間の差が大変大きくなりそうだとのことです。

 

 栽培面積はほぼ横這いといわれていますが古い品種の淘汰が加速度的に進んできており、栽培面積上位10種が全体栽培面積を占める割合はかなり減っているようで、品種の分散化が進むようです。ここ2〜3年の傾向ですが、ピンク系はヨーロッパ・アメリカではあまり人気が無いため、面積減少率が高いようです。

 

 球根価格は為替の影響だけなく、ヨーロッパ切花市場の好調さに支えられ高めのスタートとなるようです。大型の水耕栽培農家などは中小規模の輸出業者以上の購買力があるようで、自身の栽培体系に向いた品種(ベンバンザンテン・パープルプリンス・アニースキルダー・リーンファンダーマークなど)の10/11・11/12サイズを100万球・200万球という単位で市場から引き抜くという動きも出ているそうです。輸出業者(球根販売会社)は非常に仕入れが難しい年になっているようです。

 

 いずれにしてもここしばらくは、日本のチューリップ切花農家にとっては厳しい時が続くことになるようです。

 

 前回の情勢報告にも書きましたが、2002年産チューリップ球根供給についてはオランダ産だけでなく国産・ニュージーランド産等にも視野を広げ、飛行機便輸入の再検討も行なわなければならないと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国産百合

 

2001年産

 

 促成球の納品が開始されました。まだ生育状況はわかりません。

 

 抑制球は現在、早オリンエンタル0℃〜−0.5℃、一般オリエンタル及びカサブランカ1.5℃〜2.0℃にて冷蔵温度処理を行なっています。

 

 

2002年産

 

早掘り ドライセール促成季咲き用

 現在生産計画を立てています。近日中に価格表発行予定。

 

遅掘り 抑制栽培用球根

 現在生産計画を立てています。近日中に価格表発行予定。

 

 

N.Z.産百合

 

2001年産

 

 早生の品種(ルレーブ・エジプト・ロサト・マイアミなど)は、採花が始まりました。9月下旬〜10月上旬に小さいサイズから植え込みが始まっており、輪付きはまあまあだが草姿に全くボリュームがないロットがあるようで、市況とも相俟ってあまり良い結果となっていません。定植時まだ暖かすぎたのかもしれません。または、すでに冷凍管理になっていましたが充分な温度処理ができていなかったのかもしれません。ところが、16/18サイズ以上となると状況はがらりと変わって、昨年とは比べものにならない良い出来となっています。これらのサイズの定植は全体的には順調な生育となっています。

 

 

2002年産

 

 1月16日付発行の『透かし百合1月期納品可能在庫リスト』送付時にも短くコメントしていますが目下交渉中です。慌てずじっくり答えを出して、なんとか今の日本の切花情勢に合ったものにしたいと考えています。中華人民共和国の旧正月(日本の盆暮・正月・彼岸以上に切花消費にとって重要な日)は来年早いため、南半球産の球根では多くの品種が最大需要期に間に合わないことがわかりました。いくら景気の良い中国でもあまり高い球根価格は払いきれないようです。

 

 今現在の作況は雨が多くて比較的気温も低く、日格差の少ない安定した状態のようで、順調な生育となっています。「太り過ぎの力の無い球にならなければ良いが」と逆にちょっと心配です。(12月20日〜1月18日)。5月中旬出張予定。

 

 

 

 

 

 

Chile産百合

 

2002年産

 

 現在仕入れ検討中。日本向け球根は当初予測より少ないようです(総生産量は多い)。

 

 オランダ・N.Z.からの輸送料に対して、チリからの輸送料は約2000USドルほど高く、N.Z.産より明らかにコスト高になります。ここ2〜3年の販売経験(99〜01年)からN.Z.産の本来の力、メリットが発揮できる期間は当初予測した期間よりもかなり短いようです。球根が栽培されている環境を考えると、チリ産はその期間がさらに短いような気がしてきました。慎重な対応をしていかなければならないと思います。

 

 今現在の作況は高温乾燥気味だが順調な様子。6月上旬出張予定。

 

 

オランダ産百合

 

2001年産

 

 作況は当初の予想よりも遥かに悪い結果となり、例年にない高い割合の欠品報告が相次ぎました。

 

 多くの品種について欠品報告は済んでいますが、3大品種であるカサブランカ・ソルボンヌ・シベリアにおいても欠品の心配をしなければならない情勢のようです(18/20以上の大球/カサブランカであれば24/+サイズについて)。

 

 作況が悪かったせいなのか球根価格は低迷したままですが、売れ筋の品目はどんどん販売終了となり、人気品種についてはあまり過剰感がありません。むしろ球根が足らないくらいの状態ともいえます。今の日本の経済状態、切花市況等、勘案すればこれくらいで丁度良いのかも知れません。

 

 多くの輸入業者は慎重な仕入れ計画を立てており、未販売在庫は例年より少ないはずですし、今後追加販売分については円安のため1EURO=¥117〜120くらいのレート適応(1月17日現在)となると思われますので、球根価格は円価ベースだと若干上昇することになります。円安ですから切花の輸入も以前よりは減少すると思われますので、なんとか切花価格が上向きになればと願っています。

 

 日本全体では155,000,000球〜162,000,000球くらいの輸入数になるのではと考えています(前年比較△10,000,000球〜△17,000,000球)。ピークの95年産96年産から見ると△44,000,000球〜   △51,000,000球と、ほぼ94年産当時の水準に戻ることとなるようです。これに2002年産南半球産を加えても(8,000,000〜10,000,000球を予測)昨年の総輸入量を超えません。H10年の切花市場売上げのピークから見れば市場規模は10〜15%減少(△600億円)していると推定されますから、これで適正だと考えてよいと思います。

 

 当社の状況は、透かし百合19%減少、オリエンタル4%減少、L.A.鉄砲百合150%増加(透かし百合減少分はカバーしきっていない)、合計で約6%ダウン(発注ベース)、9%ダウン(受注ベース)(前年最終取り扱い数48,500,000球比較)。前年の同時期(2001年1月末日45,000,000球)と比較すると約2%減少の44,000,000球となっています。

 

 

 

 

 着荷状態から予想される球根品質ですが、やはり早期到着分は球根も柔らかく、リンペン腐敗等が昨年同様確認されます。大きな違いは11月上旬に現地でも調査してきたことですが、大変芽が大きいということです。

 

 オランダ球根輸出業者は輸送時の温度を以下のように設定しています。

 

 1月12日

清水港到着分まで

0.5℃〜−1.0℃

 

   26日

   〃   

1.0℃

 

2月 2日

   〃   

本来の設定温度に近い透かし −1.5℃

 

 

 

       オリエンタル −1.0℃

 

 

 この2月2日分までは着荷時に球根はまだ凍っていない状態で到着します。オランダから完全凍結された形で入荷するのは2月3週以降入港分ということになります。これは例年と比較するとかなり高い温度管理がされているという印象で、10月の高温の影響を踏まえた判断となっているようです。

 

 

 受け入れる当社の温度設定は

 

 透かし百合は

12月29日より

2.0℃

 L.A.・鉄砲・オリエンタルは

1月15日まで

  0℃〜-0.5℃

 

以降

1.5℃の設定を行なっています。

 

 オランダの業者とは見解の別れたところではありましたが、一部の透かし・L.A.についてはすでに休眠打破されて促成伸長を始めているロットもありました(すべて促成栽培用に出荷済/大きな芽は休眠が覚め易い)。

 

 2000年産は球根に力が無かったり未熟な状態の球根管理が行なわれ、酸欠型の不発芽の多い年でしたが、2001年産は凍害型の不発芽が多くなるのではと考えています。促成作型は良い品質の切花ができると思いますが、抑制についてはまだわかりません。

 

 

2002年産

 

 基本的にはまだ仕入れ契約をスタートさせていません。近年では、前年の10月頃から取引準備に入り、多くの輸出業者が来る1月中には50〜70%くらいの契約が結ばれるという流れだったのですが、本年は01年の抑制球の代替となる02年産南半球産の商談も本格的に始められない状態です。

 

 オランダの輸出業者はすでに2002年産の仕入れ契約を栽培農家と結んでいるようですが、現在の情勢と比べるとそれらは若干高い仕入れとなっている様子です。生産面積の大幅減少が予測される透かし百合は若干早く始まるかもしれません。L.A.については面積の大幅増加が予測されていますが、透かし百合の減少分を埋めきれるかはまだわかりません。今現在は世界的に取引を急いでいないようで、商売のペースは90年隔離検疫免除直後から94年産の状態に戻るようです。

 

 今年は10年に一回のフロリアード開催の年にもなっています(期間4月〜10月)。

 

百合の展示は キューケンホフリリーパレード 5月15日〜5月20日(こちらがメインです)

       フロリアードでは       6月29日〜7月 7日

 

 の予定です。もう一度原点に立ち返って考えるには良い年だと思います。